昨日久しぶりに「東おどり」を新橋演舞場で見てきた
芸者さんはその名の通り「芸」を持つ人だ
お稽古で鍛え抜かれた肢体がかくも美しいかと改めて感じ入る
日頃のけいこの成長具合を見せるお祭りのようなもので、劇場全体が料亭の雰囲気を出し、マス酒持ってうろうろする殿方も多い
何しろ協力会社の名前がすごい。名だたる企業の名が永遠に続く
お座敷遊びの習慣もなくなったかに思えるが、やはりそれはそれ。長く続いた花柳界の文化はすたれない
最後には江戸芸者の粋な姿での口上がいい
柳結びという帯結びはコシノ線を色っぽくそして立姿に品格を見せる。襟の抜き具合、裾の広がり、帯の位置、どうしてここまで完璧なのだろうとため息が出る
帯位置が決まっていて、下前の裾のあげ方が巧み、なので腰の線はもとよりヒップラインの美しい、芸者さんたちの着物姿は完璧な美を追求し成功している
「東おどり」は新橋芸者さんたちの舞台
この新橋からは明治維新に活躍した男たちの妻になった人も多い、芸事はもとより政治経済、古典文化、装いの美、おもてなしに秀でていたのだから、近代国家を担う男の妻として国を代表する社交ができたのだ。
平安時代から正妻は家柄のいい女性を選び、側室に気働きの利く女を置くというのが、国を動かす男たちの希望だったように、明治維新もやはりその風習は生きていた
劇場内では他の町の花柳界の芸者さんたちの姿もあり、彼女たちの着物姿はやはり一味違う、粋で美しい。歩き方、会話の仕方、挨拶などすべて洗練されていて眺めているだけで幸せ気分、きものってこれだよね!
知ってる顔に出会いしばらく立ち話、その姐さんに挨拶を送る後輩の芸者さんたちもみな風情がある
ある取材先で「何か違う」というという雰囲気の女性に会い、何回かあってお話していていたある日、彼女の着物姿に出会った
「アッ」
前身は?と聞くと
「浜町に出ていました」
やっぱり、そこはかとなく漂う色香、これはその道での鍛錬のたまもののようだ
お座敷文化はやはり必要