チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 74

2018年12月25日 13時05分39秒 | 日記
素材が気になり始めたのは生意気にも「着心地」という感触を肌が覚えた時だ
仕立ての人の手の違いが「着心地」をかえてしまうこと
それぞれの産地の絹の良し悪しが「着心地」を決める
表と裏の素材が違うとそれだけで着心地が悪くなる

襟付けの不得意の人がいるようでその人の仕立てた着物は襟が収まらない
着方が悪いかと思ったのだがそうではなかった
特に一重の着物の襟が収まらないことがあり
その原因は裏衿のそざいが表とあっていないことだった

撮影などで経費を節減するため襟裏に石油繊維のものを使うことがあり
そうすると表の絹と全く反りが合わず襟が浮いてシャッターを押す寸前まで襟元を抑えていなければならない

絹にこだわっている
一番いい繊維だと信じている
しかも肌にとっても酸化を防ぎ細胞にも働きかけて細胞を気持ちよくしてくれる
そのため素肌には絶対絹だと決めている

夏も絹が優れているが麻もいい
絹と麻は太古の昔から日本にある
みんな中国から届いたものだという文章が多いがどうも腑に落ちす調べた
最近やっと縄文の時代から絹も麻もあったという歴史的証拠が出てきてやっと私は落ち着いた
麻は大麻のほうが古く苧麻は少し遅れる
大麻は絹より日本列島では古株 大麻についてはいづれ改める

そう素材だ
その素材の研究のために蚕博士たちと仲良くなったのだった
そして養蚕の土地巡りをしたのであった
蚕の仲間たちの推薦で農水省の審議委員にまでなったのだった!その御蔭で更に絹に詳しくなったありがたいことだと感謝している

そういうお役をしているといろんな糸を見る機会がある
糸そのものに優劣が出る
そうすると蚕にもでるのかといえば「出る」はっきりと「出る」
なんと糸の良さは土壌に関係しそこで育つ桑が影響する
農薬のかかった桑の葉を蚕に与えることはできないが
根に化学肥料を使うことはある

良い糸を作るには土壌から変えなければならない
明治時代「富国強兵政策」で蚕の種、蚕の吐く糸は輸出ナンバーワンで「糸の良さ」「着心地を考えた糸作り」などはどこかえ吹っ飛んで、ひたすら大量の繭づくりに専念する政策が取られた

そのため本当に着心地のよい糸作りは忘れられた

毎日いろんな着物を着ていく中で「これが一番いいかな」という着心地のものが見つかったのは四国の野村町であった
そこの博物館には「エリザベス女王戴冠式」のときにエリザベス女王がお召になった白生地があった

そしてさらにそれより素晴らしい糸作りをしている人にそこであった(つづく)
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