毛抜き合わせについて
この言葉はもう死言になっているかもしれない
かなりの年齢の女性でも「エッなあに」と聞く「いまふうに言えばリバーシブル」「ああ」
なんて会話になる
着物の毛抜き合わせは難しいらしい
着物を着て取材に行くことの多かったチャコちゃん先生毛抜き合わせの着物を何枚か用意していた
一枚の着物が裏表で違う表情を見せるので便利、帯を一本用意しておけば5日は過ごせる。
で
久しぶりに毛抜き合わせの着物を作った
ここに至るまで道のりは長かった
仕立ての方「毛抜き合わせ?知りません」「毛抜き合わせ?リバーシブルに縫うということですか?できません」
こういうことを頼める方が相次いで亡くなっていて、それを継いだ方も腱鞘炎でとても毛抜き合わせはできない
しかし
諦めないチャコちゃん先生、最近知り合った地方の和裁の先生に電話をしてみところ「一度も縫ったことはないけど挑戦してみます」御仰ってくださった
なんと素敵な方
更に難題を
「背中に縫い紋を入れたいのです」
「両方にですか?」
「はい」
「わかりました」
うわ~~なんて立派な方
着物は塩漬けの糸で繻子織りしたもの、毛抜き合わせにしても700グラムを切る軽くて着やすい
芝居衣装を始め男物一般の女性もの毛抜合わせは当たり前の着物の仕立てでもあった。男は特に帯一本で着られるので重宝をしたようだ。と考えるともともと男用の仕立てだったのかもしれない
さて31日大阪中央公会堂で行われた安間さんと私の講演「大嘗祭と二つの布」の題目にふさわしく、最も古い蚕の糸で作った毛抜き合わせの着物にした
初日はい白糸そのままの着物、二日目はひっくり返してクチナシで染めた金色に輝く着物。着物を楽しく着るには仕立ての妙も必要。仕立て職人が消え始めている今仕立ての奥深さを伝えたい
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