失態を愉しむ

それは「3」という数字を「5」と読み違えたことから始まった
新幹線の発車時刻を東京駅９時52分と思いそれに合わせて家を出た
４０分見てれば楽勝なので余裕ある態度で新宿駅の改札を通り改めてチケットを見たら
なんと！
9時３２分と書いてあるではないか！
9時２５分の急行に乗るもう絶対に間に合わない
東京駅に着いたら9時４０分

１時間後に出る列車になった
クライアントはグリーン券を用意してくれていたのになんと自由席になる

１時間遅れるとチャコちゃん先生の講演キリキリだ
せっかくお相手は１時間の余裕を見てくださっていたのにその恩をお潰してしまった

今日の講演に間に合うように塩漬けの毛抜き合わせの着物を会場ホテルでゆっくり着替える予定だった
パーテイーが二部なので一枚を2枚分楽しむことにして仕立ても急いでいただいた

うわー
どないすんの？
万が一のことを考えトイレで着替えるしかない
下車駅二つ前にトイレに荷物を持ち込んで着替え始めた
最近は子供用のオムツ取り替え機があるのでそこに着物を乗せる
よくよく見ると足を置く板も横にあっらそこに立つとなんとドアーの鏡にもちょうどいい位置

ほー最近は親切だことと感心しながら講演用の着物に着替え
オムツ取り替え機の上で脱いだ着物をたたむ
やれやれ
これでひとまず用意は万全

アレ！なーーーい
網棚に置いてあったコートとストールが消えている
なななぬ

方々探すが見当たらぬ
と
後ろに座っていた若い男性が手真似で車掌が持って行ったと教えてくれる

車掌探しに車掌室までよろけながら歩く
「忘れ物と思ったんです」
だって
長いことトイレにいればそう思われるのも当たり前

コートが戻って着たところで目的の駅に着く
退屈しなかったね

ホテルについて余裕
予定通りきちんと講演は済ませた

100人もの着物姿の女性たちを前にとてもいい雰囲気で終わらせることができ、みなさんに喜んでいただけた
メデタシメデタシ 終わり良ければすべて良し

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