チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

松ノ葉

2021年06月20日 10時35分59秒 | 日記
ちょっとした贈り物に
「心ばかり」
「気もち」
「ありがとう」
「寸志」
などが最近は多い、もっと前は
「松ノ葉」
という熨斗をつけるのが一般的であった

「松之葉」は細くて常緑、ささやかな物ですが、あなた様が常に健やかでいらっしゃるように、という意味なのだそうな
謙遜をした贈り物という、お返しを考えないでいいですよという意味もある

こういう言葉に感情を乗せた作法が日本にはたくさんあるが、最近はそれを感じる人もいなくて、意味は通じないことが多い
それで「こころばかり」という分かりやすい言葉の登場であろうか

お中元の時期になると、どんな言葉を乗せるかということで頭を悩ます
勿論そのものずばりの「お中元」という言葉が一般的
本来は夏至に入るとお中元、暑中見舞いとなり、立秋に入ると残暑見舞いとなるのだが、そういう作法を知っている方たちも鬼籍に入られた人が多い
こうやって日本のしきたりも日々変化をしている

消えていくものはなきに等しい、という言葉もある
本当の日本って何だろうと考える日々

松ノ葉と書かれた熨斗
心ばかりと書かれた付け熨斗
二つの文字を見比べながら、本当の日本って何だろう?と思いに沈む日曜日

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