チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

女正月

2022年01月16日 09時26分53秒 | 日記
1月15日は小正月であり女正月でもあった
まだ女たちが社会に出て働くという習慣のない時代、家庭において女たちは忙しかった。暮れから正月は大掃除の陣頭指揮から始まり、餅つき、正月飾りの用意、三が日はどこもお休みで、もちろんコンビニなどない、お節料理は必須だ。さらに家族の下着の用意、昔はお正月に新しい下着を下ろす習慣もあった。そういう下着の用意も女たちの針仕事だ。中流家庭以上は女中がいたが、暮れからお正月にかけてはそれぞれの里に帰すので主婦は一挙に仕事量が増える。そんなこんなで家族だけになっても主婦は大忙し

家族だけで過ごす元旦が終わると、初詣やあいさつ回り、年始客の接待、書き始め、稽古始め、鏡開き、どんど焼きと行事も続き、始業式、務めはじめでやや落ち着き正月行事の一切が15日までに終わる。その日を「女正月」として女たちが集まり、お互いをねぎらい一年が始まる

料理を持ち寄り、ちょっとおしゃれして、お茶席にしたり、お稽古の発表を行ったり、今でいえば女新年会。子供たちは一緒にはいかないので、主婦たちの社交場だ。この時「頼母子講」というのも開かれて、みんなでお金をお出しあい、まとまったお金を順番にくじ引きで決めていくという楽しみ会もあった

昔の女たちは「晴と褻」を心得ていて、女正月には一つ紋などの紋付で、それぞれ割烹着をもって集まる。作法にのっとった改まったご挨拶をしている姿を幼い私は違和感を感じるのだが(常日頃はざっくばらんな言葉で話し合っているのを知っているので)女たちはそれがまるで儀式のように進めていく。集まる家にも順番があり、我が家に人が集まる年は、私も綺麗なおべべを着せられているので、みんなに可愛いといわれ、有頂天になって、喜んでいた

晴れ着姿で集まっている女たちは華やかで美しい、家じゅうに明かりがともったように明るくにぎやか
女たちの年齢も様々なので、長幼の礼も身に付き、いろんな女学も教わっていたのだと思う

市谷に事務所を持っていた時は、女ばかりのスタッフだったので、女正月をしていた、みんなで短歌を詠んだり、今年の抱負を語り合い、近くの会社の氏神様にお参りをしたあと飲んだくれていた

今年は浅草ビューホテルで絶景の景色を見ながら恵子さんと女正月を楽しんだ


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