チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

文楽はいつも新しい

2022年09月13日 10時59分45秒 | 日記
昨日は国立小劇場で夜の部「奥州安達原」を鑑賞
ここの所文楽鑑賞の仲間を募るとあっという間に10人以上が集まる
リピーターはその月の全部の出し物を観たくなるらしい

簑助師匠の部屋でチケットを用意していただいているので、鑑賞をしやすい場所が手に入る。昨日も「袖萩祭文」の段では、勘十郎さんの人形遣いが見もので、それは観客席から左側の舞台で終始行われる。チケットを用意してくださる方がそこまで察して、全員が左側の前の方の席で桐竹勘十郎さんの袖萩を涙
流しながら堪能
この段は名曲と言われている通り、鶴沢清治さんの三味線の音色に心ゆすぶられる、それに合わせて三味線を弾く人形の手が神技

文楽初めての方も感動し興奮を静めながら帰路にに向かった

この物語は八幡太郎義家の「義」を通す腹芸が見事で、奥州を新国家にしたいと思う「安倍の一族」の統領の執念も深い。この時「奥州国家」が出来ていれば日本はまた違った国になっているのだろうなあ、なんと思うと感慨深い

この安倍の一族を祖とするお人が「安倍晋三」さんという説もある。44代目だそうな、この戯曲では一族の野望は消えるのだが、なんだか象徴的

一方八幡太郎義家は源氏の租で源頼朝や足利尊氏の祖先、子孫が鎌倉幕府や室町幕府を作った
さて
件の袖萩は藤原系のむすめ、その娘が恋をして駆け落ちしたのが安倍一族の統領安倍貞仁、親の逆鱗を受けて勘当された後、夫も大志のために去っていく、いやはや悲劇はいつも女が受け持つ

しかし親子対面の場も会いたい、でも許してはいけないと情を抑えながらも「義」を尊ぶ武家の家庭環境、「町人であれば何もかもかなぐり捨てて会えるものを」と嘆く母親

妹は八幡太郎に嫁ぎ、姉は敵方の安倍貞仁、親の悲しみいかばかりと客席は涙


この時代の武士は情と議が一致していて、「私的な一騎打ち」ではなく「争いは戦場という公的な場でおこなうものだと

思い出したが子供頃のめんこには、強い武将の顔が描かれていて、八幡太郎義家は男の子に人気があった。遊びの中から日本の歴史が伝わっていたのね

まだあった義家の子孫は細川元総理

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