家畜ふん尿ガス活用し生産成功 E・C・O室蘭研究所 価格数十分の一に
筒状炭素分子の新素材カ-ボンナノチュ-ブ (CNT)商業生産を目指す、E・C・O(釧路管内 浜中町)の室蘭研究所は、家畜ふん尿から出る バイオメタンガスを用いた生産技術の実用化に、 道内で初めて成功した。CNTをモルタル強化材 に使う技術も開発し、量産体制を整え近く商業生 産を始める。CNTは直径1ナノ㍍(十億分の1㍍) ほどの炭素の結晶。軽量で強度や導電性に優れ た新素材として注目されている。炭素に放電する などさまざまな製造法があるが、同研究所のプラ ントでは家畜ふん尿から出るバイオメタンガスを利 用。触媒となる金属粉と反応させることで、大量のCNTと水素を製造 することに成功した。道内で多く発生する家畜ふん尿を有効活用でき るうえ、バイオメタンガスを燃やさず分解するため、二酸化炭素抑制に もつながる。また、CNTの強度を生かし、強化材としてモルタルに混 ぜ込めるように改良。モルタルの強度を従来の1・7倍に高めた。生産 プラントは北見工大と日本製鋼所などが、国の委託を受けて技術開発 したもので、月160㌔のCNT生産が可能になったという。同社は、家 畜ふん尿の活用によって、従来のCNTの数十分の1程度の価格で販 売できるとしており、日鋼などと技術使用権契約を結び事業家する。