道立道南農業試験場研究部長 赤司 和隆 灰に養分、肥料として利用
植物は少なくとも13種類の養分を土壌から吸 収しています。大部分は植物を燃やした後に残 る灰に含まれています。このため木や草の灰は、 昔から肥料として利用されてきました。カルシウ ム、カリウム、リンを多く含みますが、窒素は燃焼に伴い気体となっ て逃げるため、少ないようです。灰と言えば、「花咲じいさん」に登場 します。木のうすを燃やした後の灰を枯れ木にまくと、花が咲いたの を思い出してください。灰が肥料だとしたら、このくだりは少し大胆で すが、次のように解釈できそうです。「昔々あるところでは酸性土壌 が多く、この木も酸性障害で根が傷み、枯れかかっていました。とこ ろが灰をまくと、カルシウムによる酸性矯正や根を元気にするカリウ ム(根肥)の効果で根が健康になり、枯れ木はよみがえったのです。 さらにリン(花肥)の働きで開花の準備も進みました。しかも多くあると 葉ばかり茂り、開花を遅らせる窒素(葉肥)が灰には少なかったため、 見事に花が咲いたのです」このお話の背景には、山林・原野を焼き払 い、灰をすき込む原始的な焼き畑農業の影響があったのかもしれま せんね。