北大・園山准教授ら解明 コメ以外もアレルギ-抑制
コメのアレルギ-を起こしにくく、アトピ-性皮膚炎の改善にも効果か゛あるとされる道産米「ゆきひかり」には、腸内の“悪玉”細菌を減らす性質があり、この性質がアレルギ-を抑えるメカニズムとして働いていることを、北大大学院農学研究院の園山慶・准教授(49)=食品機能化学=らの研究グル-プが突き止めた。コメ以外のアレルギ-を抑制する効果も確認した。「さまざまな食物アレルギ-への効果が期待できる」と話している。研究成果は英国の栄養学専門誌「ブリティッシュ・ジャ-ナル・オブ・ニュ-トリション」に年内にも掲載される。1980~90年代に道産米のエ-スとされた「ゆきひかり」は、新品種に取って代わられた今も、コメのアレルギ-やアトピ-に有効として道内外で二-ズがある。しかし、アレルギ-の原因物質(アレルゲン)が他品種より少ないわけではなく、どのような仕組みが働いているのか未解明だった。園山准教授らは、ゆきひかりと、道内外で栽培されているほかの3品種でマウスを使った実験を行い、腸内細菌群を比較した。その結果、ゆきひかりを与えたマウスは腸粘膜を覆う粘液の成分を分解する細菌が劇的に減ることが分かった。研究グル-プは「ゆきひかりを食べると、バリアとして働く腸の粘液が保たれ、血液中にアレルゲンが取り込まれにくくなる」とみている。さらに卵のアレルゲンを同時に与える実験を行ったところ、ゆきひかりにはアレルギ-反応を抑制する効果が見られたという。園山准教授は「ほかの品種がアレルギ-を起こしやすいということではなく、ハイリスクな人にとっては、ゆきひかりの方がいいということ」と話している。
ゆきひかり 1984年に道立中央農試が開発。89年には道内うるち米栽培面積の53%を占めた。その後「きらら397」などに取って代わられたが、コメアレルギ-が増える傾向が現れた。同農試などの調査で、ゆきひかりに戻すと患者の約8割の症状が治まることが分かり、「100㌶を切るぐらい」(農業関係者)と小規模ながら今も栽培されている。