GW中に読んだホラー小説のもう1冊がこちらです。
京極 夏彦 著 「嗤う伊右衛門」
小股潜りの又市は、足力按摩の宅悦に、民谷又左衛門の娘、岩の仲人口を頼まれる。
娘を手ごめにされた薬種問屋の依頼を受け、御先手組与力の伊東喜兵衛に直談判した際、窮地に立たされた又市らを救ったのが又左衛門だった。
不慮の事故で隠居を余儀なくされた又左衛門は、家名断絶の危機にあるというのだ。
しかし、疱瘡(ほうそう)を患う岩の顔は崩れ、髪も抜け落ち、腰も曲がるほど醜くなっていた。
又市は、喜兵衛の一件で助っ人を頼んだ浪人、境野伊右衛門を民谷家の婿に斡旋するが…。
「四谷怪談」といえば、鶴屋南北の『東海道四谷怪談』
そして、その中の「お岩さん」は
「貞女岩が夫伊右衛門に惨殺され、幽霊となって復讐を果たす。」
というのが基本的なストーリーなのですが・・・。
しかし、この小説はまったく趣の異なる小説です。
凛とした「お岩」と「伊右衛門」の姿が強く心に残る
哀しく、残酷で、この上なく美しい悲恋の物語
京極夏彦の作家性と実力を実感させる静かな傑作。
お勧めです!
第25回泉鏡花文学賞受賞作品。
2003年監督:蜷川幸雄・出演: 唐沢寿明, 小雪で映画化