「長江哀歌 (ちょうこうエレジー)」
出演:シェン・ホン:チャオ・タオ(趙 濤)/サンミン:ハン・サンミン(韓 三明)
2006年ベネチア国際映画祭 金獅子賞グランプリ
大河・長江の景勝の地、三峡。
舞台はそのほとり、二千年の歴史を持ちながら、ダム建設によって伝統や文化も、記憶や時間も水没していく運命にある古都「奉節」。
16年前に別れた妻子に再会するため、山西省からやってきた炭鉱夫サンミンと、2年間音信不通の夫を探すシェン・ホンの2人を軸に描かれる。
二人の男女、それぞれの、妻と子、夫探しの物語だが、二人に関わる奉節の住人との暖かい交流が、作品に一段と深みを与えています。
それと平行して、洪水の被害から国民を守るため計画された三峡ダム建設により、二千年の歴史有る古都「奉節」が、長年住み慣れた我が家が、長江の河底に埋没してしまう庶民の悲哀が淡々と描かれます。
先週の日曜日、この映画を観ました。
映画の内容はさて置いて、
その中で主人公のサンミンが古都「奉節」に来て、建物の解体現場で日雇い労働者として働く場面が出てきました。
古いマンションのような建物を作業員達が大ハンマーだけで解体していました。
日本のビルの解体現場のような大型重機類は見当たりません。
壁から床、梁までもがハンマー一つで簡単に解体できるようでした。
いわゆる、レンガブロック造りでその中に鉄筋は殆んど入っていません。
”これじゃ、地震が起きたらあっという間に崩れるな”
という印象をその時に持ちました。
その予想が最悪な事にすぐに現実のものとなりました。
四川省で起きた地震による死者が推計で5万人以上に上るそうです。
確認されただけで約1万2300人がなおもガレキの下に生き埋めになっているそうです。
一瞬の判断が生死を分けた事でしょう。
中国政府もようやく各国からの救援を認めましたが、すでに国の体面などと言っていられない状況です。
今回の地震は中国国内のみならず、国際的にも北京オリンピック開催の意義について大きな議論を呼ぶ事でしょう。
ミャンマーのサイクロン被害といい、今年は大変なオリンピックイヤーとなりましたね。