船戸 与一 著 「虹の谷の五月」を読みました。
トシオ・マナハン、13歳。
フィリピン、セブ島のガルソボンガ地区に祖父と住み、闘鶏用の軍鶏を育てる日々だった。
奥地の「虹の谷」には元新人民軍のゲリラ、ホセ・マンガハスがひとり住みついて闘い続けている。
「虹の谷」は”まんまるい虹が出る谷”だという。
そこへ行く道はトシオしか知らない。
日本から戻ってきたクイーンを谷に案内したことから、トシオはゲリラたちの内紛に巻きこまれていく。
トシオ・マナハン、14歳。
ゲリラのホセ・マンガハスが住む「虹の谷」への道を知っていたことから暗殺、誘拐の硝煙の宴に巻きこまれていく。
そしてトシオ・マナハン、15歳・・・。
日本人との混血児トシオの13歳から15歳の五月の出来事を描いています。
フィリピンの混迷した時代に、
どこかでたらめで薄汚れた大人たち
それでも自分の信念を貫いて生きる者たち
トシオの穢れなき目をとおして、
時代の中で揺れる人々の
リアリティー溢れる姿が描かれています。
そんな背景の中
トシオは一人前の人間として成長してゆく・・・。
少年の夢。
怒りと誇り。
愛する者との別れ。
慟哭の叫び。
少年の成長が実に見事に表現された冒険小説です。
一気に読了!!
第123回直木賞受賞作