山本 兼一 著 「利休にたずねよ」を読みました。
飛び抜けた美的センスを持ち、刀の抜き身のごとき鋭さを感じさせる若者が恋に落ちた。
堺の魚屋の息子・千与四郎――。
後に茶の湯を大成した男・千利休である。
女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、気に入られ、天下一の茶頭に昇り詰めていく。
利休は一茶人にとどまらず、秀吉の参謀としてその力を如何なく発揮。
秀吉の天下取りを強力に後押しした。
しかし、その鋭さゆえに、やがて対立。
秀吉に嫌われ、切腹を命ぜられる・・・。
利休が切腹を命じられた前日から物語が始まります。
利休切腹の瞬間ときから逆に時間を遡さかのぼって、最後は再び戻って切腹直後へ。
利休本人を含め、信長、秀吉、師匠の武野紹鴎、古田織部、 弟子の宗二、妻宗恩らが登場する逸話によって、利休の一生が浮き彫りにされる。
その全ての逸話の軸となっているのは利休が保有している一つの「緑釉の香合」。
若き利休が恋こがれた高麗の女性が所有していた「緑釉の香合」。
切腹までしてかばった「緑釉の香合」と恋こがれた高麗の女性との想い出。
その真実が明らかになる・・・。
歴史物が苦手な人にもオススメの一冊です。
第140回直木賞受賞作。