般若心経は、僕が唯一暗唱できるお経である。
子供の頃、母から毎日一緒に読経するように言われ、いつのまにか暗記してしまった。
高松支店赴任により、生まれて初めて四国に足を踏み入れた。
その時に思い立ったのが、四国八十八ヶ所札所巡りだ。
札所では般若心経を読経する。
子供の頃に暗唱できるようになったことが、こんなところで日の目を見た。
といって、特に信心深いわけではない。
高松支店は四国全域が管轄だった。
札所巡りをやったことで、四国全体のおおまかな地理がわかり、各地域の雰囲気や特徴もつかめた。
単身赴任で土日は暇であり、明確な目的をもってドライブが楽しめた。
それに、納経帳は、大人のスタンプラリーだ。
高松から東京勤務に戻ると、札所巡りの勢いに乗って、坂東三十三ヶ所札所巡りを始めた。
神奈川、東京、千葉、埼玉、栃木、群馬と広範囲に跨っており、ドライブの目的ができ、スタンプラリーが楽しめた。
滋賀に着任した時は、西国三十三ヶ所札所巡りを行った。
兵庫、京都、大阪、和歌山、奈良、滋賀、岐阜と、こちらも広範囲で、かつ立地柄有名で立派な寺院が多かった。
札所巡りで唱えた般若心経だが、実は内容が理解できていない。
「色即是空 空即是色」という有名な一節も何やら哲学的である。
「空」の概念を理解することがキーポイントのような気がするが、よくわからない。
般若心経の本を買っては途中で挫折することを繰り返している。
youtubeで、こんなのを見つけた。
日本の僧が、般若心経を音楽としてコンサートを行っている。
場所は台湾の台北。
最初は、尊いお経を貶める行為ではないかと思ったが、聞いているうち、これもアリかなと思った。
意味はわからなくても、癒し系の音楽のように、心地よい読経の声音が心に響く。
驚くべきは息継ぎがわからないことだ。
それがまた音楽としての完成度を高めていると思う。
こちらは般若心経の読経に笛、太鼓、法螺貝を加えての宗教行事だが、こちらも音楽性が高い。
終盤に向けての太鼓が大迫力。