万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本の電力会社も政府に賠償請求できる?

2012年06月14日 14時50分54秒 | 日本政治
1兆5000億円を賠償請求=脱原発で独電力各社(時事通信) - goo ニュース
 福島第一発電所での事故を受けて、いち早く脱原発を決めたドイツ。そのドイツで、電力各社が政府を相手取って総額1兆5000億円もの賠償を請求する訴訟を起こす計画があるそうです。

 日本国では、電力会社は、悪者のレッテルを張られ、原発事故の張本人のような扱いを受けています。世間からの風当たりも強く、政府もまた、世論を追い風にして執拗に電力会社バッシングを続けてきました。浜岡原発の突然の停止に始まる原発の稼働停止、エネルギー政策の形成過程からの排除、社内改革の強要、莫大な損失…など、電力会社を一方的に追い詰めてきたのです。東電に原発事故の責任が全くないとは言えないものの、電力会社は、あたかも”まな板の上の鯉”のようです。犯罪者でさえ、弁護の機会が設けられ、自らの権利を護ることができるのですが、電力会社には、弁明や抵抗の機会は殆ど与えられず、その利益や権利は、完全に無視されたのです。たとえ、批判を受ける立場にあったとしても、政府の電力会社に対する態度は、権力を笠に着た暴君そのものと言わざるを得ません。原発事故の責任は、菅前首相を含む政府側にもあったにも拘わらず・・・。

 ドイツの電力会社は、政府による権利侵害を司法の場に訴えたのですが、日本国の電力会社にも、同様に、訴訟を起こす権利があるのではないかと思うのです(もっとも、賠償金は国民の税負担になるのですが…)。日本の場合は、浜岡原発の停止など、法に基づかない政府の決定も少なくありません。判決の行方は分かりませんが、政府もまた、当事者の権利を一方的に無視する政策手法を採ってきたことを、大いに反省すべきなのではないでしょうか。

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コメント (4)
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