万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

英EU離脱の行方-EU側の大幅譲歩が必要では?

2016年06月14日 16時55分28秒 | ヨーロッパ
英国がEU離脱なら「世界恐慌」の引き金に? 勢い増す「離脱派」、日本企業にとっても脅威
 EUからの離脱を問う国民投票を今月23日に控え、イギリスでは離脱派の勢いが増しており、各社による世論調査の結果も、軒並み離脱派が残留派を上回っております。イギリスのEU離脱は、いよいよ現実味を帯びてきました。

 イギリス国内の残留派が焦りを募らせる一方で、EU内でも、イギリスの離脱派はEUの弱体化を意味するため、懸念が広がっております。こうした中、一つだけイギリスに残留を思い止まらせる方法があるとしますと、それは、EUによる大幅譲歩なのではないかと思うのです。事の発端は、今年2月のキャメロン首相とEUとの最終交渉にあり、イギリス側が折れたため、EUに移民政策等に関する権限を認める形で妥協案が成立してしまいました。言い換えますと、EUへの残留は、事実上、国境管理や難民・移民等に関する主権的な権限のEUへの委譲を意味してしまうのです。離脱派が優勢な理由は、近年の急激な移民増加と相まって、英国の国家主権へのEU側によるに浸食への抵抗感にあり、一般のイギリス国民をして国家消滅の危機感を抱かせているのです。このまま投票日を迎えれば、イギリス国民は離脱を選択することでしょう。

 となりますと、唯一、23日の国民投票を中止(過去にも状況の変化により国民投票中止の前例あり…)、あるいは、離脱の決定を防ぐチャンスがあるとすれば、それは、EU側がイギリスに対して、国境管理や難民・移民政策に関する主権的な権限の全面的な返還を申し出ることです。あらゆる犠牲を払ってでも離脱を決意したイギリス人の心情を、EU側も、汲むべきではないかと思うのです。

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