万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の男性は卑怯ー外国人女性実行犯の起訴

2017年03月01日 14時21分46秒 | アジア
ジョンナム氏殺害 3グループに分かれて犯行か
 マレーシア当局の捜査によると、金正男氏暗殺事件は、北朝鮮の秘密警察である国家保衛省等も関わる周到に計画された犯行である疑いが濃いそうです。正男氏に対して直接手を下した実行犯の外国人女性二人については、殺人の意思ありと判断され、殺人罪で起訴されるとも報じられています。

 マレーシア刑法では殺人罪は死刑ですので、実行犯であるベトナム人女性とインドネシア人女性は、裁判所で死刑判決が言い渡される可能性が高いそうです。この事件で垣間見えるのは、北朝鮮男性の冷酷さと卑怯さです。マレーシア刑法では、共犯や教唆犯の規定がどのように定められているかは分かりませんが、少なくとも、暗殺事件を立案し、組織的に実行に移したのは北朝鮮です。暗殺計画を練るに際して、敢えて外国人女性を実行犯に選んだのは、正男氏に警戒されない点に加えて、自らの身の安全を守りつつ、いざとなれば”使い捨てる”ことができると考えたからなのでしょう。空港内には多数の監視カメラが設置されていることは分かっていたはずですから、女性二人の逮捕はシナリオ通りであったかもしれません。北朝鮮人ではない彼女達には、命を賭してまで暗殺を実行する理由はありませんので、北朝鮮の犯行組織によって言葉巧みに犯行に引き込まれたと推測できるのです。同事件の実行グループの北朝鮮男性の何人かはマレーシア当局に拘束されているそうですが、実行犯ではないので、たとえ起訴されても死刑判決は逃れることができるかもしれません。そして、本暗殺事件の首謀者であり、命令を下した”教唆犯”と見られる金正恩氏は、マレーシア捜査当局の手の届かない安全な場所に隠れているのでしょう。

 日本国をはじめ、騎士道や武士道精神の息づく国では、一般的には、女性や子供を盾にする行為は卑怯とされており、男性は、女性や子供を守るべきとする道徳観があります。しかしながら、北朝鮮の男性は逆であり、女性や子供を犠牲に供して自らは生き残ろうとしているのです。この事件は、暗殺という残酷さのみならず、北朝鮮という国の悪しき体質をも露わにしたのではないかと思うのです。

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コメント (10)
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