3作続けての近藤史恵作品。
探偵・今泉の梨園シリーズ。
歌舞伎の公演中、桜の花びらが降るはずのないところで舞い散る。
それに気付いた菊花師匠がその謎どきを今泉にたくす。
そこには、一卵性双生児として生まれた梨園の御曹司市川伊織と
死んだことにされた弟のせつない運命がかくされていた。
話が、小菊、伊織、紅子の一人称で語られているんだけど、
ちょっと時間軸がこんがらがっちゃうところがあるかな。
伊織が双子だったって謎が最後に解けるんだけど、
じゃあ破滅にむかっているようなあの語りは伊織だったの?
それとも死んだことにされた弟だったの?ってわかんなくなっちゃう。
伊織の弟のことをたくされていた紫のがなんともせつない。
読後感はなんとも後味悪いけど、
せつなくて冷たい世界観が好きかも。
しかし、梨園に同じ顔の役者は2人いらないっていう考え方は
今もあるのかなー。
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散りしかたみに (角川文庫) |
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