夕方暗くなった頃、遠くの方からマーチングバンドみたいな音楽が聞こえてきた。家庭で音楽ガンガン!というのは別に珍しいことじゃないが、なんか雰囲気が違う。そしたら15分後くらいから、あれよあれよと音が大きくなり、借家の目の前が大騒ぎっぽくなった。
正体はこれ。
現市長の選挙運動行進だった。うちから右のほうを見た写真。後ろの方までずっと続いている。
先頭。
こちらはうちから左方向を撮った写真。ずっと先まで続いている。行列の構成は、① 大スピーカーを積んだバイク集団 と、② 子供も含めた「住民に手を振ったり声をかけたり旗を振ったりする徒歩集団 と、③ 候補者やその家族や知事選に出る候補の看板人形などを載せたトゥクトゥクの第3集団。行列の長さが全部で500メートルくらいあるという大パレードである。
大騒ぎの原因。
その少し前から、お向かいさんちの玄関先でおばさんたちが集まって井戸端会議をしていた。しょっちゅうそうしているので、たまたまなのか、行進を待っていたのかは不明だが、まあ、数人集まっていた。それから、隣の家がアル中か何かのリハビリ施設(個人がやってる)なんだが、金曜の夜で人が結構出入りしていた。比較的人が多いエリアだということで、徒歩集団がうちの目の前で止まって、声かけやプレゼント配りを始めたのである。
顔を出して見物してたら声をかけられたが、ガイジンで選挙権ないからと言ってプレゼントは断った。本当のところは、現市長はわたしの嫌いな労働党所属なため。ノベルティTシャツって作業着に便利なんだが、アカみたいで嫌なので着たくない。それはともかく、選挙権がないと言われてプレゼントを引っ込めるというのは、逆に言えば「物で票を買ってます」と宣言しているようなものじゃないかと思うが、メキシコの選挙法をよく知らないので、別に構わないのかもしれない。ダメだとしても、田舎なんでテキトーなのであろう。
この村では役場主催とか宗教的な行事とか、やたらイベントが多い。田舎で娯楽がないからだと思うが、この選挙運動行進も、はっきり言ってそれと変わらない。実際、井戸端会議をしていたおばさんの1人は「今の市長はいろいろ汚職をしているからもう投票しない」と話していた。
よく、ブロック造の家や塀に政党のロゴなどがペンキで描いてあったり、庭木に立候補者のビニール看板を吊るしてあったりする。
(追記:写真撮ってきた)
丸いのが政党のロゴ。
政治に高い関心があるわけじゃなくて、広告スペースを提供していくらか稼ぐのである。中には、ライバル同士の候補者のビニール看板を両方吊るしてあったり、一つのロゴの上にバッテンして別の党のロゴが描いてあったり、下手すると与野党のロゴがずらりと全部描いてあったりする。写真の2つは大統領選で連立を組んでる政党のロゴなので、特に問題はなさそう。おそらく、白地の部分のペンキ代も党から出ている。
その市長率いる市役所の仕事。
道端の草刈りと、ブロワーを使ってのゴミ集め。終わって数時間はきれいだったが、残念ながら刈り取った草も集めたゴミもそのまま。なので、翌日にはうちの前には枯れ草と集めたところから飛んできたゴミでひどいことになった。ちなみに現場(完成したら住む家)の前は、我々が鬼のようにゴミ拾いするのできれい。向かいの家もたまたま綺麗好きなのか、そこそこきれい。住み始めたらヒルベルトの家の前とか、そのへんの近所とかもゴミ拾いするかもしれない(様子を見ながら)。なにしろ住み始めた当時の海辺の村のように「捨てていくのは観光客だけ」でなく、住民自身が捨てているのである。量が違う。まぁ、この村役場土木課の仕事も、やるだけマシというか、だんだん変わっていくための一歩なのか。。。
天井につける扇風機を買いに、久しぶりにメリダに行った。
ユカタンの旗。
大きなショッピングセンターの近くに国旗掲揚のスペースがあるが、ここんとこ、メキシコの国旗よりユカタンの旗が揚がっていることの方が多い(FBに写真を上げる人が多いので分かる)。
州知事候補のポスター。
ユカタンでは伝統的に、今メキシコ中でウケている現大統領の政党でなく、今の州知事・メリダ市長・プログレソ市長・隣村の市長などが所属している党が強いが(強いから主要都市で勝ったんだが)、その政党はユカタン色を強く押し出している。この候補もそうでRENANさんというんだが、Eのところがユカタンの旗。選挙を前にして、「中央」より「ユカタン」がウケると見ているんだと思う。
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マヤパン遺跡の入り口。
マヤパンはチチェン・イツァへの反乱に成功して13世紀に新しく作られた都市で、古代文明的な魅力には欠けるが、代わりにマヤが細かい国家に分かれて戦国時代に突入するきっかけを作った、歴史的には重要な遺跡。王家の末裔である何代目かの王様は、たまにマヤ文化に関する記事などで紹介される。シウ家。これからも何代も続く(今はただのマヤ人だけど)。
で、そのマヤパン遺跡は、昨年末から地元のエヒードともめて閉鎖中だったんだが、入り口の前を通ったらまだこの様子。エヒードの構成員が設置したバリケードが置きっぱなし。昨年末から6千人もの観光客を逃したというレポートが、数日前にも出ていた。自分たちの聖なる遺産とその周辺なんだから、地元の人は中央政府や州政府が勝手にするのは許せない。メキシコの遺産でいいが、その利用方法を決めるときに地元民の要望をきちんと入れてほしい、権利でもあると考えている。チチェン・イツァでも、マヤ電車ができて露天商が追い出されるという問題でもめているが、土産物を売るという経済的な目的もその理由だが、それだけではない人もいる。
その近くの道路標識。
マヤパン に関係ないが、マヤパン遺跡の下に書かれている村の名前。シュカンチャカンという。高速で通り過ぎると絶対に読めない。読めると今度はスチャラカみたいでおかしい。
こちらはマニ村への入り口。
ユカタンの桜、マクリスがほぼ満開。