年が暮れて春になった。お正月のある日のことです。奥さん(Kに対して)「Kさん、かるたをやりますから、誰か友だちをうちに連れて来てもらえないですか? 正月らしいことをしようじゃありませんか。」K「私に友だちなぞは一人もないです。」奥さん「あら、そうなんですか………。それじゃ、あなたの知った方でも呼んで来たらどうです?」私「はい…&hellip . . . 本文を読む
小説は一つも読んでいないのに、エッセイなら読めるかなって、葉室麟さんの『河のほとりで』(2018 文春文庫)を以前読みました。かなり面白くて、あれこれと抜き書きをしました。勉強になりました。 葉室麟さんは、本拠地を福岡に置かれてたと思うのですが、晩年は京都に本拠地を移転して、ここで取材し、ここで書いていったそうです。そして、エッセイもいろいろなテーマで書いておられて、2017年に新潮社より『古都 . . . 本文を読む
折りから、竈(かまど)のうちが、ぱちぱちと鳴って、赤い火がさっと風を起して一尺あまり吹き出す。「さあ、おあたり。さぞ御寒かろ」と云う。軒端(のきばた)を見ると青い煙りが、突き当って崩れながらに、微(かす)かな痕(あと)をまだ板庇(いたびさし)にからんでいる。「ああ、好いい心持ちだ、御蔭(おかげ)で生き返った」「いい具合に雨も晴れました。そら天狗巌(てんぐいわ)が見え出しました」 逡巡(しゅんじゅ . . . 本文を読む