何年か前から、憧れていた風景がありました。それが城東貨物線の赤川鉄橋の上を貨物列車と人が一緒に行ったり来たりする風景でした。たぶん、鉄道関係の雑誌か何か、関西の鉄道のおもしろい風景を特集したものだったと思います。 愛知県の犬山市では、名鉄と自動車と人が一緒くたになって木曽川を渡る風景というのがありました。そこも以前訪れてみたら、もう電車と車道は分離されていて、鉄道だけの鉄橋に変わってましたけど、 . . . 本文を読む
蕪村さんの図録を持っていました。いつ買ったんだろう。記憶は不確かです。そして、どこで何を見たのか、それさえあやふやです。なのに、うちの本棚の中に大きな分厚い図録がありました。 「蕪村 その二つの旅」とあります。若いころと、年を取ってからの旅ということなのか? それはあり得ます。大坂を出てから、関東に行き、三十代くらいまで関東から東北などを旅した時代、そこから原点回帰で京都に出て、お母さんのふるさ . . . 本文を読む
大阪に住んでた頃、半年くらい自転車通勤をしました。あの時は楽しかった。何も考えていないイノセントな自転車小僧でしたよ。いろいろと道を変えて、暴走できる道を探してました。ほんの少しだけ暴走してたんです、自転車で。 今だったら、ヘルメットをかぶるはずなのに、当時はヘルメットもかぶらず、リュックしょって、帽子もかぶらず、ただ風に吹かれるのが楽しくて、走っていました。 私の住んでたところは、まわりを川に . . . 本文を読む
先週末、大阪の実家に、母のご機嫌伺いと様子見のため、チラッと行ってきました。母の機嫌をよくするには、母が大好きなフリマに行けばよくて、弁天町の交通科学館跡でやっているフリマに、うちの実家の最寄りの駅で待ち合わせて、行ってみました。 向こうに着くと、私はあまり用事はなくて、手持ちぶさたでしたので、母は「私はまだまだ見てるから、あんたはどこか遊びに行っておいで」と言うのです。 「えっ、オカンは膝は大 . . . 本文を読む
突然、ひらめいたので、たぶん、ダメだと思うけれど、見切り発車で書いてみます。途中でダウンしても、それは私の責任です。そりゃもう、もちろん、何も考えてないのに、書き始めたのだから。 1974年、日本公開の季節はいつだったんだろう。春? 秋? もう、よくわかりません。 鳴り物入りというのか、ものすごい話題だけが先行して、フランス映画の「エマニエル夫人」が公開されました。 もちろん、私はそういう映画に . . . 本文を読む
大阪往復の電車で、ほんの少しだけ干刈あがたさんの「十一歳の自転車」という短編集を読みました。ほとんどは寝てたり、目が疲れてたりしたから、あまり進まなかったんですけど、二番目の話が「秋のサングラス」でした。 主人公の拓也は「肩幅が広くて、脚が長くて、皮膚は褐色で、眉が太い。いつもジーパンにスニーカーである。一年浪人して今年の春、大学に入学した一年生」なんだそうです。 彼は、地味な感じの子に興味があ . . . 本文を読む
週末、大阪のツイン21の古本市に行ってきました。25日の最終日に行きました。 私が、古本屋さんなら、どんな本を仕入れたいだろうと思って、ブラブラ本を眺めていました。お店意識で回ろうとしたんですけど……。 そして、あまり売りたい本はないのだ、ということに気づきました。何もプランがありませんでした。あるのは、ただ読みたい本が見つかっただけでした。 5冊の本を買って1600 . . . 本文を読む
母に久しぶりに電話しました。十日以上間が開いたかもしれない。母はわりと平然とした受け答えで、何でもないような感じだった。昔だったら、「久しぶりやね」とか、「長い間電話もせんといて」とか、「子どもを産んだ甲斐がなかった」とか、いろいろとお小言から始めていたのに、何でもない受け答えの方が、逆に少し怖かった。いや、私が後ろめたかっただけなんだろうか。 長い間ホッタラカシにしていたこと、怒ってないのだろ . . . 本文を読む
私は、江戸や明治のころの、この国の原風景を探しているところがあります。 それは、昭和三十年代までそこにあったものもあるし、昭和の頃には失われていたものもあるでしょう。1923年にはものすごい地震もあっただろうし、1877年、ある精神の死もあったことでしょう。 いくつかの消長があって、何が原風景なのか、それさえあやふやです。 でも、明治の頃、西洋並みになろうとしていて、あれこれと無理に無理を重ねて . . . 本文を読む
私に言われなくても、世の中は大変なことになっているのは確かです。暖冬は続いています。温暖化しているのは確かだから、暖かくなっているはずでした。 でも、あまりに急すぎるのです。雪不足でスキー場が閉鎖・倒産している。雪かきを当て込んでいた建設会社も、収入がなくなって別の仕事を探しておられることでしょう。急激な変化だから、たぶん、社会や政治の対応は後手後手になるのは当たり前です。 そして、毎年、「暖冬 . . . 本文を読む
今から十数年前のお盆、弟の家族とキャンプに出かけたことがありました。といっても、うちは家から近いし、帰る気満々で、とりあえず彼の意図するところについていきましたけど、できれば早く帰りたいと思っていた。 本当に甲斐のない兄で、せっかく野営できるチャンスを作ってあげたのに、そういうチャンスをいやいやながらに受け入れて、料理にも参加せず、おもしろいのか、おもしろくないのか、どっちつかずの表情をしている . . . 本文を読む
母の知り合いの方から、河出書房の「世界文学全集」に入ってたパール・バックさんの『大地』というのを読ませてもらったことがありました。長い時間かかって読んで、今もうちにその本はあります。50年くらいうちにあるのかなあ。 中学二年くらいのころ、少しだけ文学に燃えていて、長大なものでも読めそうな気がしていました。中一から司馬遼太郎さんには凝ってたんです。文藝春秋から出ていた全集を奮発して月に一冊くらい、 . . . 本文を読む
私たち夫婦は、それぞれ好きな絵本を抱えているようです。今さらながら気づきました。私は船の写真やらポスターも好きですけど、そういう絵ばかりの本、いくつかあります。進水式絵ハガキばかり集めた本だって持ってます。 そして、モーリス・センダックさくの「かいじゆうたちのいるところ」(1975 冨山房)は、1993年に買っています。子ども用ではなくて、自分用に買ったみたいです。なぜ、買おうと思ったのか、それ . . . 本文を読む
先週見に行った「関根正二展」生誕120年、没後100年の展示でした。 先週、踏ん切りがつかなくて、図録を買えませんでしたが、今日は図録を買うのと、もう一度絵を見るのとで、強い意志で飛び込みました。 奥さんは付いてこなくて、私一人でした。お客さんは、最終日だからそれなりに来ていて、みんな思い思いに見ていたようです。みんな静かに見ていた。 今日は、宗教的な感じの絵よりも、何気ないデッサンとか、彼の短 . . . 本文を読む