中村健之介さんの『ドストエフスキーのおもしろさ』(岩波ジュニア新書)からの古いメモです。でも、この混沌とした世界に、ドストエフスキーを開いて、何か見つかればいいんだけど、私にはハードルが高くて、薄いの一冊読んだだけでしたね。 この『未成年』はトルストイの小説『戦争と平和』に対抗して書かれた作品です。 「トルトイ伯の描いた貴族は、見事な秩序の担い手だ。彼らは誇りをもって自らの使命に殉じている。彼ら . . . 本文を読む
この前、古本市で井上靖さんの詩集が文庫になっているのを見つけました。三重県の熊野を詩にしたこともある人ですから、それが載ってるかなと取り上げて見てみました。最初から最後まで散文詩で、これでもまあ詩なんだろうなとザーッと見てみました。でも、読んでいません。 残念ながら、熊野の詩が載ってないのだったら、私は買う必要はありませんでした。私は短気で、飽きっぽいから、たぶん、ずっと読まないだろうなという自 . . . 本文を読む
漱石の『坊ちゃん』は、1906年、そこから33年が経過した1939年、1900年生まれの石坂洋次郎によって東北の中学校の英語教師として伊能琢磨が赴任するというお話が生まれます。 地元の人たち、改革を掲げる校長とその一派、それと対立するゴリゴリの地元から出た教員のグループ、二つの派閥の中で、主人公は、自分の位置を築こうともがいているようです。 帝大卒の超エリートとして赴任してきたので、教職経験はな . . . 本文を読む
最近ずっと倉橋由美子さんに小説とは何か、というのを聞かせてもらっています(「あたりまえのこと」2001 朝日新聞社)。 そもそも小説の楽しみとは何であるのか? それはもう、おもしろい、ということではないのか、と思うのですが、その「おもしろい」とはどういうことか、それを倉橋さんは書いておられました。 小説の面白さとは、音楽を聴いて面白いと思うのとだいたい同じなのだ、ということでした。まあ、人の楽し . . . 本文を読む
取り出したのは石坂洋次郎さんの「何処(いずこ)へ」1939 角川文庫 でした。なんと51年前に買った本だったようです。それを今さらながら読もうとしているんだから、長生きはしてみるもんです。そんな風に何でも古いものを復活させられたらいいんだけど、すぐに忘れてしまうし、果たして今の時代に読んでみる価値はあるのか、ただの復古趣味じゃないの? という気もします。 でも、近いうちに読んでみようと思っていま . . . 本文を読む
右側の本は、「街への挨拶」(1974)は山田太一さんの幻の名著という初めてのエッセイ集でした。ずっとまぼろしのままだったものが、1983年に中公文庫から出て、私は飛びつくようにナンバで買ったみたいです。 1983年はまだまだ自分の未来も描けなくて悶々とする日々でした。山田太一さんのドラマなんて、あまり見ていないのに、エッセイならよめそうな気がすると、買ったのかもしれません。すぐに読んだはずですけ . . . 本文を読む
この土日から今日まで、大阪の実家へ行ってきました。家族に会い、お酒を飲んで、肝臓を少しいじめて、ヘロヘロになって雨の中を帰ってきました。 何のために出かけたんでしたっけ? 甥っ子が入試を終え、やっと合格したということだったので、そのお祝いに出かけたんでしたね。それは良かった。未来に向かって彼の行く道が広がっていきます。 どこかに留学したいというので、ロサンゼルスにして欲しいな、とかと思ったりしま . . . 本文を読む
世の中には、いろんな名場面があって、私たちはあまりよくわからないままに、それらを受け入れていて、時々は詳しく知りたいと本でも見るわけですが、この「田村麿」って、誰なんだろう。 坂上田村麻呂というのは、高校の日本史で習いました。平安時代初期のスーパー武人であり、征夷大将軍を受けたというお方です。エゾを征伐に行った、という事柄は習いましたけど、他には何をした人なのか、さっぱりわからなかった。 残念な . . . 本文を読む
キーンさんの自伝は、2007年に『私と20世紀のクロニクル』というタイトルで中央公論新社から出されたもので、文庫化するにあたって『ドナルド・キーン自伝』2011 という本になりました。 ドナルド・キーンさんは、2011年の東日本大震災の後、日本国籍を取得し、2016年に亡くなるまで日本人として過ごされたそうです。 優しくて、理知的で、いろんなことを知っておられて、日本の文学を愛してくださった巨人 . . . 本文を読む
今日やっと、井上荒野さんの「あちらにいる鬼」(2019単行本→2021文庫本)を買いました。ブックカバーは二重になっていて、1枚目は映画のキャストの3人が出ています。トヨエツさんは荒野さんのお父さんがモデルの光晴さん、寺島しのぶさんは瀬戸内寂聴さん、広末涼子ちゃんは光晴さんの奥さん役だそうです。 ドキュメンタリーではなくて、小説ですから、作家の白木篤郎、長内みはるという名前になっていて . . . 本文を読む
(うちのカメラは頑張ったんですけど、ピントが合ってないです。申し訳ありません) ブログを書くとき、タイトルが決まっている時と、そうじゃない時があって、今は何も決まっていません。でも、最近あったことを書きます。メモみたいにならないように、慎重に書きたいですけど、メモになるかもしれない……? 金沢の友だちは、お金もないのに俳句関連の資料を集めています。連日連夜ヤフオクで目に . . . 本文を読む
午前中、庭仕事をしました。といっても、いつもの草むしりです。 スギナ、ドクダミ、その他、とにかく歩けるところを確保しなきゃいけないから、それらをとりあえず抜いてみました。 ブルーベリーは今盛りで、毎日数個ずつは収穫できていて、家族は食べないから、私がコツコツと食べていますけど、そのブルーベリーをこの夏も圧迫し続けたアジサイを、邪魔なところだけ切り捨てました。ああ、やっと解放された、トブルーベリー . . . 本文を読む
久しぶりに電車で通勤しました。何を持って行くか少し悩んで、すぐに読めてすぐに感心してしまう向田邦子さんの「思い出トランプ」を持っていくことにしました。 電車に乗ったら、すぐに本を取り出してみました。そう、あまりお客さんがいなくて、悠々とした感じで、ゆったり本が読めそうでした。そんなに長い時間ではないので、短期集中型の読書です。 「思い出トランプ」はうちの奥さんは持っていました。でも、自分用にまっ . . . 本文を読む
井伏鱒二さんの小説『山椒魚』は1929年に世に出たそうです。あれ、何か関連あるなあと思ってたら、最近は寝る前に『昭和史』(岩波新書)を読んでたから、ちょうど満州事変とか、世界恐慌とか、そのあたりで日本がおかしくなっていく様子を読んでいますので、重なるところがあったんです。 『山椒魚』と題名を変えたのが1929年だそうで、一度1923年に『幽閉』というタイトルで同じような内容の作品を出したそうです . . . 本文を読む
井伏鱒二さんの対談集を読んでいます。あともう少しで読み終わるのに、なかなか終わらない。 安岡章太郎さんとの二回目の対談では、戦争当時を振り返る話になっています。取り上げているのは、「海行かば」でした。悲しい歌でしたね。(安岡)今聴いて、「海行かば」のような音楽は日本人が西洋音楽を学び始めてはじめてマスターしたものという感じがします。 「君が代」なんかは外人だもの、つまり雅楽を編曲してああいうふう . . . 本文を読む