報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「大ボス戦と、その後」

2024-12-04 21:50:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日13時30分 天候:曇 静岡県富士宮市某所 斉藤家隠し別荘・裏庭]

 アンバー(クリムゾンヘッド)「ガァァァァッ!!」

 アンバーは6本に増えた腕を全て振りかざして、私達に飛び掛かってきた。
 私がショットガンを撃ち込むが、あまり効いていない感がある。
 リサが持っていた金棒でアンバーに殴り掛かるが、アンバーをそれを受け止めてしまった。

 リサ「うききき……!!」
 アンバー「ウゥゥ……!!」

 私はハンドガンに切り替えて、膠着状態のアンバーの頭に向かって発砲した。
 頭に命中しても、まるで、石が当たった程度のダメージしか無い。

 リサ「あっ!!」

 リサの金棒がアンバーに取られる。
 だがアンバーはそれを使うことなく、両手でぐにゃりと曲げてしまった。

 リサ「ちっ!貰い物だったのに……!」

 上空からヘリコプターが聞こえて来る。
 どうやら、火災が目印になったようだ。
 低空飛行してきたのは、BSAAのヘリだった。
 平日なので、レイチェルは乗っていないだろう。
 ヘリが何やらチカチカとライトで合図を送って来る。
 そして、ヘリの下からニョキッとマシンガンが現れた。

 愛原「逃げろ!ヘリが撃って来るぞ!」

 私達はその場から退避した。
 直後にヘリが機銃掃射をしてくる。
 グレネードランチャーも搭載されているようで、それも撃ってきた。
 が、それが間違い!
 マシンガンの弾は細かいので、アンバーも受け止められなかったようだが、グレネード弾は受け止められたようだ。
 で、どうしたかというと……。

 愛原「投げ返したーっ!?」
 パール「マジで!?」

 爆発する前のグレネードをヘリに向かって投げ返した。
 そして、それはヘリの真ん前で爆発した。

 愛原「か、カプコン製のヘリだから、もしかしたらと思っていたが……」
 リサ「こっちに落ちて来るよ!」
 パール「逃げましょう!」
 愛原「こりゃたまらん!!」

 私達はとにかく、全力ダッシュ!
 ヘリが現場に墜落してくる。

〔自爆します!〕

 愛原「あ!?」

 裏庭から正面玄関前まで逃げてくると、建物の中からそんなアナウンスが聞こえて来た。

 愛原「伏せろ!!」

 物凄い地響きがして、ついに建物が爆発した。
 どうやら、本当に自爆するつもりだったようだ。
 ただ、カウントダウンが長かっただけだ。
 しかも、爆弾は地下に設置されていたようで、それが自爆装置の素だったようだ。
 ただ、建物そのものは既に全焼状態だったので、爆発と言っても、建物の焼け跡に大きな穴が開いただけだ。

 愛原「皆、無事か!?」
 パール「地面が爆発したようなので……。ただ……」
 愛原「ただ!?」
 パール「もしかして、この地響きって、土砂崩れの音だったりします?」
 愛原「あっ!?」

 ヘリの墜落、自爆装置の作動の影響で、地盤が脆くなったらしい。
 ここは高台。
 それが崩れ始めた。

 愛原「ヤバいヤバい!車は!?」
 パール「あそこです!」
 愛原「急いで離脱するぞ!」

 私達はここに来る時に乗って来たライトバンに乗り込んだ。
 パールがすぐにエンジンを掛けて、車を走らせる。

 アンバー「ガァァァァッ!!」

 その時、アンバーが飛び込んで来た。
 車のボンネットにしがみついてくる!

 愛原「まだ生きてたのか!!」
 パール「振り落とします!」

 パールは車を左右に振るが、アンバーは離れない。
 私はハンドガンを取り出し、窓を開けると……。

 愛原「アンバー!いい加減にしろ!しつこい女は嫌われるぞ!!」
 リサ「ゴメンナサイ……」
 パール「ゴメンナサイ……!」

 パンパンパン!とセミオートで発砲する。
 ようやくアンバーは車から落ち、それに轢かれて行った。

 パール「国道に出ます!」
 愛原「469か!?」
 パール「はい!」

 林道のような道から、ようやく国道に出る。
 だが!

 愛原「うわっ、崩れた!!」

 高台が崩れ、その土砂が国道に覆いかぶさってきた。
 さほど交通量の多い国道ではないのだが、付近を走行していた他の車の急ブレーキや急ハンドルの音が響く。

 愛原「あ!?」

 ここぞとばかりに、他のヘリコプターの音や消防車のサイレンが聞こえて来た。

 愛原「今更遅いんだよ!」

 山奥の別荘跡地で、通報が遅れたというのもあるだろう。
 私達は通報していない。
 どうせ後ろから車も来ない。
 パールには国道入口手前で車を止めてもらい、そこで降りた。

 愛原「ん?」

 ふとボンネットを見ると、何かがくっついていた。
 しかも、アンバーがしがみついていた所には、血の跡まで付いている。
 これは返却前に洗車して洗い落とさないといけないな。
 くっついていたのは、1枚のメモ書き。
 見ると、血が滲んでいる所があったものの、何とか読めた。

 愛原「『愛原先生に鍵渡す』だって?」
 リサ「カギ?」
 パール「何のことでしょうか?」
 愛原「……もう1度戻ってみよう」
 リサ「えっ!?」
 パール「正気ですか!?土砂崩れが……!」
 愛原「もしかしたら、アンバーを振り落とした所は崩れていないかもしれない。戻れる所まで戻ってみよう」
 パール「リサさん……」
 リサ「わたしは先生についていく!」
 パール「分かりました」
 愛原「一応、パールはここに残ってくれ。ここにデイライトかBSAAか、もしかしたら警察関係者とか来るかもしれない。その時には、俺のケータイに電話してくれ」
 パール「かしこまりました」

 リサはガサゴソと荷物の中から、今度は『バールのようなもの』を取り出した。

 リサ「金棒が無くなっちゃったから、代わりにこれで」
 愛原「いいかもな」

 因みに、バールはいつも持ち歩いているわけではない。
 今回の探索先が廃墟ということで、もしかしたら使うかもしれないと思い、持って来たものだ。
 私達は山道を歩いた。
 車だとすぐの距離だが、歩くと意外に距離があった。
 しかも、上り坂である。

 愛原「あれだ!」

 ちょうど林道も土砂崩れで塞がれた所。
 そこにアンバーは倒れていた。
 上半身が土砂や倒木に挟まれ、普通の人間なら、まず生きていない。
 実際、今も絶命しているようだ。

 愛原「……これか?」

 ボロボロになったメイド服のポケットに手を突っ込むと、そこから鍵が現れた。

 愛原「何の鍵だろう?」

 何か、コインロッカーの鍵のように見えるが……。
 その時、また土砂が崩れるような音がした。
 ここも危ないのかもしれない。
 とにかく、鍵を回収すると私達は来た道を急いで引き返した。

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