報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「隠し別荘の戦い」

2024-12-04 16:01:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日12時30分 天候:晴 静岡県富士宮市某所 斉藤家隠し別荘・地下階→地上階→裏庭]

 エレベーターには、下級BOWの『ハンター』が2匹乗っていた。
 見た目からして、αとγである。
 どちらも90年代にアンブレラ本社が開発した下級BOW。
 初めてそれを世話した飼育員にると、『皮をひん剥いたゴリラ』のような見た目である。
 実際に爬虫類と人間の遺伝子を組み合わせて生み出された化け物で、安価に大量生産できることから、2000年代半ばまでバイオハザードの現場に現れていた。
 γは両生類から造られたBOWで、アンブレラでもリストラされるほどの変態博士が開発したBOW。
 αが獰猛な爪で引っ掻き攻撃をするのに対し、γは両生類特有の大きな口で獲物を丸呑みにするのが得意。
 ドアが開くと、ハンターαは雄たけびを上げて私達に走って向かって来た。
 それに対し、γはのんびりと後ろから後を追ってくる感じ。
 走る時は4足歩行になるところは、ゴリラの動作に似てなくもない。

 リサ「だぁーっ!!」

 リサも金棒を振るって、αに対抗した。
 ガキン!という音と共に、αの鋭い爪とリサの金棒が火花を散らして打ち合う。
 私はというと、γを相手にすることにした。
 γがあまり量産されなかった理由は、悪の製薬会社アンブレラでも変態扱いされるような博士が開発した代物というのも去ることながら、αやここにはいないβよりも致命的な欠陥があったからである。

 γ「ガァァァッ!!」
 愛原「おっと!」

 γの攻撃は先ほども述べた通り、大きな口を開けて獲物を丸呑みしてくるところ。
 αやβと同様、飛び掛かって丸呑みしてくることもある。
 だが、それさえ注意すれば、何てことはない。
 αやβのような強い腕力や鋭い爪で攻撃してくることも無い。
 何より……。

 愛原「おりゃ!」

 私は大きく口を開けたγの、その口の中にショットガンを撃ち込んだ。

 ハンターγ「ギャアッ!!」

 口の中が弱点。
 初めてハンターγと遭遇したのは、BSAAの創設メンバーの1人、ジル・バレンタイン氏。
 彼女の手記によれば、γの弱点は臓器が見えるほどに開けた大きな口の中。
 臓器が見えるほどなので、そこに銃弾を撃ち込めば倒せるのだという。
 もう1つの欠陥は……。

 ハンターγ「???」\(゜ロ\)(/ロ゜)/

 ハンターγは視力が弱く、自分の真横に獲物が立っていても気づけない。
 あと、やはりカエルをベースに造ったBOWだからだろうか。
 火に弱い。
 硬い鱗に覆われて火炎攻撃もあまり効かないハンターαとは、大違いだ。
 変態博士は、このγをこよなく愛し、欠陥だらけのγの研究開発を中止に追い込んだアンブレラを『クソ会社』と評していたそうだが、どっちもどっちである。

 愛原「リサ!αのトドメは俺達が刺す!オマエはγを火炙りにしろ!」
 リサ「オッケー!」

 リサはαの頭を金棒でボコッと叩きつけた。

 ハンターα「(@_@)~☆」

 ハンターαが脳震盪を起こしているうちに、私はショットガンを撃ち込んで倒した。
 リサは持っていたタバスコソースを飲み込むと、口から火を噴いた。

 ハンターγ「ギャアアアアア!!」

 ハンターγ、火に包まれる。
 スプリンクラーが作動しないか一瞬心配したが、どうやら違法建築のようで、元々そんなものは無かった。
 もっとも、さすがに消火器は置いてあったが。
 さすがに類焼はマズいので、γが倒れたところで、私は消火器を使用した。

 リサ「マッチ1本、火事の元~!」
 愛原「“ポーの一族”萩尾望都~!」
 パール「んん?!」

 ハンターγは黒焦げの死体と化した。

 愛原「よし、これでいい!地上に向かうぞ!」
 パール「はい!」

 私達はエレベーターに乗り込んだ。
 内外の鉄格子の扉を閉めて、1階のボタンを押す。
 すると、エレベーターがゆっくりと上昇を始めた。

 愛原「自爆装置作動って、あとどのくらいで爆発するんだろうな?」
 パール「カウントダウンもしていないし、分かりませんね」
 愛原「それにしてもリサ、強いじゃないか!1人でハンターを倒せるなんて」
 リサ「エヘヘ……」(∀`*ゞ)

 まもなく地上階という時、そこから銃声が聞こえて来た。

 愛原「な、何だ!?」
 パール「BSAAが来たのでしょうか?」

 アンバー「ギャァァァァッ!!」

 愛原「今の叫び声は!?」
 パール「アンバーですね!」

 一体、何が起きている?
 と、やっとここで動きの遅い古めかしいエレベーターが1階に辿り着いた。
 カチンと鉄格子扉のロックが外れる音がする。
 1階は火に包まれていた。
 まずは地上階から爆発させる気か!

 愛原「このままではマズい!外に逃げるぞ!」

 私達は鉄格子扉を開けようとした。
 だが、内側の扉は開いたが、外側の扉が、熱か何かで歪んだのか、引っ掛かって開かない!

 リサ「うりゃっ!!」

 リサが鬼型BOWの腕力を駆使して、鉄格子をグニャリと曲げてこじ開けた。

 愛原「でかした、リサ!」
 リサ「後で焼肉食べ放題かステーキね!!」
 愛原「了解だ!!」

 私達はエレベーターから降りると、玄関ホールまで向かった。

 愛原「ん!?」

 玄関ホールには血だまりができていた。
 だが、その血の主がいない。
 それは玄関の外にまで続いていた。

 愛原「俺達の与り知らぬ所で、別のストーリーが展開されているのか?」

 私が玄関の扉を開けた時だった。
 外は……特に何も無かった。

 愛原「とにかく、逃げよう!」

 建物の外に出ると、特に2階は完全に火に包まれており、それが1階に類焼した形となったようだ。
 これなら、地下室にいた方が安全だったのかもな。

 パール「先生、あれを!」

 血の跡は裏庭の方に続いていて、そこに行ってみると、血まみれのアンバーが倒れていた。

 アンバー「あ……あ………あ………」

 アンバーは口から血の泡を吹いて、目を見開いていた。

 パール「真相を話す前に死ぬな!!」

 体には銃弾を受けた跡があった。
 この銃弾を放ったのは一体……?
 私は辺りを見回した。
 サスペンス映画なら、ここでアンバーを殺した部下数人を引き連れた黒幕が現れて……なんて展開があったりするが、そんなことはなかった。

 愛原「と、取りあえず、ここから離れよう!」

 ガラガラと建物の2階が崩れ落ちる音がする。
 爆発するのかどうかは不明だが、ここからは離れた方が良いだろう。
 救助が来ている様子はまだ無いが、どこかでデイライトの人達と落ち合って……。

 アンバー「アァア……!!」

 すると、死んだはずのアンバーが呻き声を上げて立ち上がった。

 リサ「ゾンビ化した!?」
 パール「けっ、迷わず成仏しやがれ!!」

 アンバーはTウィルスか何かを保有していた?
 しかも、ただ単にゾンビ化しただけではなかった。
 バリッ!バリッ!と変化を始め、腕が6本になり、そのどれもが長くて鋭い爪を生やしている。
 また、体中が赤く変色した。
 特に頭の部分は、赤紫に変色している。

 愛原「クリムゾンヘッド!?……にしては、変化が過ぎるな!」
 リサ「クリムゾンヘッドの研究なんて、不完全だったからね!」

 私達はクリムゾンヘッドと化したアンバーと対峙した。
 ……何か、上空からヘリの音が聞こえて来る。
 救助か何か来たのかな?
 だが、まずはその前にアンバーを倒さなくては。

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