[8月28日15:00.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
私とリサは突然、善場主任に呼ばれて東京中央学園に向かった。
さすがのリサも、体操服は着替えている。
但し、スカートの下にブルマは穿いているようだ。
それはそれとして……。
愛原:「あ、そこでお願いします」
運転手:「はい」
私達はタクシーに飛び乗って、学園に向かった。
相変わらず警察車両が見えるが、通用門の所には既に善場主任がいた。
私がタクシーチケットで料金を払い、後からタクシーを降りると……。
善場:「愛原所長、お疲れさまです」
愛原:「善場主任こそ、お疲れさまです。こんな日曜日に……」
善場:「人命が掛かってますからね、そんなことは言ってられません」
愛原:「もしかして、本当に高橋が見つかったのですか?」
善場:「いえ、まだです。ですが、愛原公一氏の関係者として、所長にも協力して頂きたいと思いました」
愛原:「なるほど。あの年寄りは、おどけているように見えて、無意味なことは喋らないタイプです。それがああして、わざわざ大掛かりなことをしてきたわけですから、やはり意味のある内容なんだと思います。因みに、これが件のUSBメモリーです」
私は高橋が残して行ったUSBメモリーと、公一伯父さんが送って寄越したUSBメモリーを渡した。
善場:「お預かりします。内容は、こちらでも精査致します」
愛原:「お願いします」
学校の敷地内に入り、教育資料館へと向かう。
そこは警察官が立っていて、完全に立入禁止となっていた。
爆弾が爆発した所のトイレには、ブルーシートが掛かっている。
愛原:「BSAAが防空壕跡を調べた時、何も無かったんですよね?」
善場:「そうです。公一氏は、明らかに旧校舎だと言ったのですね?新校舎にも地下室はありますが、そこではないと?」
確かに、新校舎の地下室も怪しい。
何しろ、白井伝三郎がここの講師だった時に使用していた科学準備室があるのだから。
愛原:「ええ。『古い校舎』と言ってましたから、旧校舎のことだと思います」
善場:「分かりました。それでは、これを着用してください」
主任は防護服を渡してきた。
夏場にこんなものを着けるのは、正直しんどい。
リサ:「わたしも着なきゃダメ?」
善場:「これ以上、化け物になりたくなかったらね」
リサ:「むー……」
防護服を着用し、私達は旧校舎内に入った。
愛原:「何か、霧が立ち込めている」
善場:「これが特異菌の胞子ですよ。入った瞬間に感染して、それが怪奇現象を見せるわけです」
リサ:「すると、旧校舎の怪談話の正体は特異菌!?」
善場:「……による幻覚ですね」
リサ:「新校舎でも怪談話はあるけど……」
善場:「それは旧校舎に入って感染した人達が見た幻覚ではないでしょうか?」
リサ:「なるほど……」
愛原:「すると、“トイレの花子さん”も幻覚だったというわけか……。とんでもない話だ」
善場:「そうですよ。だから、特異菌はトンデモナイのです」
私達は件の壁まで向かった。
尚、隣の男子トイレにはブルーシートが張られている。
防護マスク越しに見ると、確かに壁から定期的に胞子の煙が出ていることが分かった。
リサ:「やっぱり、この壁を壊さないことには何も分からないのかもしれない」
善場:「分かりました。リサ、あなたがやりなさい」
リサ:「え?」
善場:「あなたの力なら、この壁を破壊できるでしょ?早くやりなさい」
リサ:「って、言われても……」
愛原:「リサ。オマエが発情した時、俺がこの壁の向こうにいると思えばいいんだよ」
リサ:「おーっ!」
するとリサ、第1形態に戻ると、壁に体当たり。
壁には大きなヒビが入った。
そして、ブワッと飛び出る特異菌の胞子。
なるほど。
これを吸い込んだ暁には、怪奇現象の幻覚を見せられて、錯乱するというわけか。
尚、私達はBSAAで開発された対特異菌用の防護服と防護マスクを着用している為、感染する危険は無い。
リサ:「ガァァァッ!!」
リサは第2形態まで変化すると、壁にパンチを食らわせた。
バラバラと崩れて穴を開ける壁。
善場:「人、1人通れる分の穴で十分ですからね」
そして実際、リサがそれくらいの穴を開けると、善場主任は手持ちのマグライトで中を照らした。
善場:「おっと!」
と、善場主任が後ろへ飛び退く。
中からは……。
モールデッド:「ギャアアッ!!」
黒カビに覆われた2足歩行のクリーチャーが現れた。
確か特異菌に感染して、適応できなかった人間の成れの果てだと聞く。
愛原:「このっ!」
私は手持ちのハンドガンを向けて、モールデッドに発砲した。
それは善場主任も同じ。
リサ:「ガァァァッ!!」
しかし、リサの方が圧倒的に強かった。
身長2メートルくらいあるモールデッドに飛び蹴りを食らわせて転倒させた後、首を掴んで捩じり切ってしまったのだ。
さすがのモールデッドも、首を千切られれば死ぬ。
モールデッドは真っ黒な血を噴き出して絶命した。
愛原:「リサ、よくやった!」
リサ:「エヘヘ……」
映画では、オリジナルのリサ・トレヴァーがリッカーの首を捩じり切って倒すシーンがある。
そのウィルスを受け継いでいる日本版リサ・トレヴァーも、こういう倒し方を好むのかもしれない。
善場:「……うん。今のところ、モールデッドはこの一匹だけのようですね。見てください。BSAAは騙されたようです」
愛原:「えっ?」
私も壁の中を覗くと、奥行きは2メートルも無かった。
しかし、黒カビに覆われており、これならモールデッドがいてもおかしくはない。
……そう、2メートルしかない。
つまり、この壁の向こうは、例の防空壕がある教室なのだろう。
BSAAは、この狭い空間に気づけなかったのだ。
では、この小部屋みたいな空間には何があるのかというと……。
善場:「やっぱり!ここにも下への扉があるようです!」
床には跳ね上げ式の扉があった。
鍵は掛かっておらず、それを開けると、下に下りる梯子があった。
明らかに防空壕とは、違う所へ繋がっていそうな感じだった。
愛原:「どうします?」
善場:「もちろん、下りてみます。もしもモールデッドの巣窟だったら、引き上げましょう」
数匹程度なら私達のハンドガンや、リサの攻撃で何とかなるかもしれないが、更に多いとキツいかもしれない。
リサ:「私が先に下りようか?」
善場:「お願いします」
リサが先に梯子を下りて行った。
その後に私、そして主任と続く。
下りてみると、防空壕跡のような素掘りの空間が広がっていた。
いや、防空壕だったのかもしれない。
学校は当時から避難場所になっていたから、防空壕が1つだけということは無かっただろう。
学校によっては、複数用意していた所もあったのかもしれない。
しかし、特に何も無かった。
リサ:「……あそこ!」
夜目の利くリサが、目ざとく何かを見つけた。
それは、卒業証書とかを入れる筒である。
私がそれを拾って、中を開けた。
すると、中には鍵が1つと、紙が入っていた。
愛原:「住所が書いてあります。埼玉県さいたま市中央区……って、これ!斉藤社長の家の住所じゃ!?」
善場:「この鍵は何だと思いますか?」
家の鍵にしては小さい。
あとは……。
愛原:「金庫の鍵とか、キーボックスの鍵とかに似てますね」
斉藤家なら金庫くらいあるかもしれない。
本物の高橋を捜しにここに来たのに、何かミスリードされてないか?
本当にこれで大丈夫なのか?
最後に私達は、この地下空間を調べ、再び梯子を上って小部屋を確認したが、やっぱり他には何も無かった。
私とリサは突然、善場主任に呼ばれて東京中央学園に向かった。
さすがのリサも、体操服は着替えている。
但し、スカートの下にブルマは穿いているようだ。
それはそれとして……。
愛原:「あ、そこでお願いします」
運転手:「はい」
私達はタクシーに飛び乗って、学園に向かった。
相変わらず警察車両が見えるが、通用門の所には既に善場主任がいた。
私がタクシーチケットで料金を払い、後からタクシーを降りると……。
善場:「愛原所長、お疲れさまです」
愛原:「善場主任こそ、お疲れさまです。こんな日曜日に……」
善場:「人命が掛かってますからね、そんなことは言ってられません」
愛原:「もしかして、本当に高橋が見つかったのですか?」
善場:「いえ、まだです。ですが、愛原公一氏の関係者として、所長にも協力して頂きたいと思いました」
愛原:「なるほど。あの年寄りは、おどけているように見えて、無意味なことは喋らないタイプです。それがああして、わざわざ大掛かりなことをしてきたわけですから、やはり意味のある内容なんだと思います。因みに、これが件のUSBメモリーです」
私は高橋が残して行ったUSBメモリーと、公一伯父さんが送って寄越したUSBメモリーを渡した。
善場:「お預かりします。内容は、こちらでも精査致します」
愛原:「お願いします」
学校の敷地内に入り、教育資料館へと向かう。
そこは警察官が立っていて、完全に立入禁止となっていた。
爆弾が爆発した所のトイレには、ブルーシートが掛かっている。
愛原:「BSAAが防空壕跡を調べた時、何も無かったんですよね?」
善場:「そうです。公一氏は、明らかに旧校舎だと言ったのですね?新校舎にも地下室はありますが、そこではないと?」
確かに、新校舎の地下室も怪しい。
何しろ、白井伝三郎がここの講師だった時に使用していた科学準備室があるのだから。
愛原:「ええ。『古い校舎』と言ってましたから、旧校舎のことだと思います」
善場:「分かりました。それでは、これを着用してください」
主任は防護服を渡してきた。
夏場にこんなものを着けるのは、正直しんどい。
リサ:「わたしも着なきゃダメ?」
善場:「これ以上、化け物になりたくなかったらね」
リサ:「むー……」
防護服を着用し、私達は旧校舎内に入った。
愛原:「何か、霧が立ち込めている」
善場:「これが特異菌の胞子ですよ。入った瞬間に感染して、それが怪奇現象を見せるわけです」
リサ:「すると、旧校舎の怪談話の正体は特異菌!?」
善場:「……による幻覚ですね」
リサ:「新校舎でも怪談話はあるけど……」
善場:「それは旧校舎に入って感染した人達が見た幻覚ではないでしょうか?」
リサ:「なるほど……」
愛原:「すると、“トイレの花子さん”も幻覚だったというわけか……。とんでもない話だ」
善場:「そうですよ。だから、特異菌はトンデモナイのです」
私達は件の壁まで向かった。
尚、隣の男子トイレにはブルーシートが張られている。
防護マスク越しに見ると、確かに壁から定期的に胞子の煙が出ていることが分かった。
リサ:「やっぱり、この壁を壊さないことには何も分からないのかもしれない」
善場:「分かりました。リサ、あなたがやりなさい」
リサ:「え?」
善場:「あなたの力なら、この壁を破壊できるでしょ?早くやりなさい」
リサ:「って、言われても……」
愛原:「リサ。オマエが発情した時、俺がこの壁の向こうにいると思えばいいんだよ」
リサ:「おーっ!」
するとリサ、第1形態に戻ると、壁に体当たり。
壁には大きなヒビが入った。
そして、ブワッと飛び出る特異菌の胞子。
なるほど。
これを吸い込んだ暁には、怪奇現象の幻覚を見せられて、錯乱するというわけか。
尚、私達はBSAAで開発された対特異菌用の防護服と防護マスクを着用している為、感染する危険は無い。
リサ:「ガァァァッ!!」
リサは第2形態まで変化すると、壁にパンチを食らわせた。
バラバラと崩れて穴を開ける壁。
善場:「人、1人通れる分の穴で十分ですからね」
そして実際、リサがそれくらいの穴を開けると、善場主任は手持ちのマグライトで中を照らした。
善場:「おっと!」
と、善場主任が後ろへ飛び退く。
中からは……。
モールデッド:「ギャアアッ!!」
黒カビに覆われた2足歩行のクリーチャーが現れた。
確か特異菌に感染して、適応できなかった人間の成れの果てだと聞く。
愛原:「このっ!」
私は手持ちのハンドガンを向けて、モールデッドに発砲した。
それは善場主任も同じ。
リサ:「ガァァァッ!!」
しかし、リサの方が圧倒的に強かった。
身長2メートルくらいあるモールデッドに飛び蹴りを食らわせて転倒させた後、首を掴んで捩じり切ってしまったのだ。
さすがのモールデッドも、首を千切られれば死ぬ。
モールデッドは真っ黒な血を噴き出して絶命した。
愛原:「リサ、よくやった!」
リサ:「エヘヘ……」
映画では、オリジナルのリサ・トレヴァーがリッカーの首を捩じり切って倒すシーンがある。
そのウィルスを受け継いでいる日本版リサ・トレヴァーも、こういう倒し方を好むのかもしれない。
善場:「……うん。今のところ、モールデッドはこの一匹だけのようですね。見てください。BSAAは騙されたようです」
愛原:「えっ?」
私も壁の中を覗くと、奥行きは2メートルも無かった。
しかし、黒カビに覆われており、これならモールデッドがいてもおかしくはない。
……そう、2メートルしかない。
つまり、この壁の向こうは、例の防空壕がある教室なのだろう。
BSAAは、この狭い空間に気づけなかったのだ。
では、この小部屋みたいな空間には何があるのかというと……。
善場:「やっぱり!ここにも下への扉があるようです!」
床には跳ね上げ式の扉があった。
鍵は掛かっておらず、それを開けると、下に下りる梯子があった。
明らかに防空壕とは、違う所へ繋がっていそうな感じだった。
愛原:「どうします?」
善場:「もちろん、下りてみます。もしもモールデッドの巣窟だったら、引き上げましょう」
数匹程度なら私達のハンドガンや、リサの攻撃で何とかなるかもしれないが、更に多いとキツいかもしれない。
リサ:「私が先に下りようか?」
善場:「お願いします」
リサが先に梯子を下りて行った。
その後に私、そして主任と続く。
下りてみると、防空壕跡のような素掘りの空間が広がっていた。
いや、防空壕だったのかもしれない。
学校は当時から避難場所になっていたから、防空壕が1つだけということは無かっただろう。
学校によっては、複数用意していた所もあったのかもしれない。
しかし、特に何も無かった。
リサ:「……あそこ!」
夜目の利くリサが、目ざとく何かを見つけた。
それは、卒業証書とかを入れる筒である。
私がそれを拾って、中を開けた。
すると、中には鍵が1つと、紙が入っていた。
愛原:「住所が書いてあります。埼玉県さいたま市中央区……って、これ!斉藤社長の家の住所じゃ!?」
善場:「この鍵は何だと思いますか?」
家の鍵にしては小さい。
あとは……。
愛原:「金庫の鍵とか、キーボックスの鍵とかに似てますね」
斉藤家なら金庫くらいあるかもしれない。
本物の高橋を捜しにここに来たのに、何かミスリードされてないか?
本当にこれで大丈夫なのか?
最後に私達は、この地下空間を調べ、再び梯子を上って小部屋を確認したが、やっぱり他には何も無かった。
着て来た私服の上に着るには、スカートは邪魔だったので。
旧校舎から出た後で、防護服から着替える。
それを見た善場は……。
善場:「本当に、学校にブルマを復活させるつもりなの?」
リサ:「うん。愛原先生の命令」
善場:「凄い命令ねぇ……。でもまあ、暴走しないだけマシだわ。せいぜい、やり過ぎないようにね?」
リサ:「うん、分かったっ」
愛原:「ん?善場主任、私達は帰りますが……」
善場:「あ、はい。お疲れ様でした。帰りのタクシー代も、こちらに請求で構いませんので」
愛原:「ありがとうございます」
善場:「……愛原所長の年代ですと、いつまで女子はブルマでしたか?」
愛原:「ええっ!?……ちゅ、中学校まででしたが……」
善場:「なるほど。そうなのですね」
善場、ポーカーフェイスのまま大して表情は変えないが、しかし口元は僅かに歪んだ。
愛原:(リサぁ、余計なこと言うなぁっ!)