Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(5)

2012-05-11 00:15:00 | コラム
「・・・ねぇ、まっき~」
「ん?」
「さっきは、、、ごめん」
「・・・いいよ、分かってもらえれば」
「痛かったよ」
「・・・そう」
「痛かったけど、それより・・・」
「ん?」
「まさか殴ってくるとは思わなかったら、驚いちゃって」
「うん」
「漏らしちゃったよ、ウンチ」
「!!」

吸いかけの煙草を、落としてしまった―。


驚愕の結末を、敢えて冒頭に持ってきてみた。

というわけで、「喧嘩」初体験エピソードのつづき。

路上で繰り広げられるプロレスごっこ、それに「割って入った」Мに腹を立てた自分は、立ち上がった直後、Mを突き飛ばす。
つづけて彼の腹にめがけ、パンチを放った。

このとき自分は、凄みながらなにかをいっていたはずだが、それは覚えていない。
まぁ、こういう状況で意味のあることばを吐くケースは皆無に等しいだろうから、たぶん「ふざけんな!」とか、そんなようなことをいっていたのだと思う。

5~6発のパンチを放つと、Mは路上に倒れこんだ。

震えた。
それは怒りか爽快感か、、、いや、緊張からくる身体反応だろう。

しばらくしてMは立ち上がり、カブに乗ってどこかに行ってしまった。

怒った?
知らん知らん、みたいな。
プロレスごっこの観客を演じていたほかの同期も、「自業自得だから、放っておいていいんじゃない」という。
自分もそう思ったし、謝るつもりなどなかった。

その約10分後―Mは、新聞専売所に帰還する。

そうして、ガードレールに腰掛けて煙草を吸っている自分に近寄り、冒頭のことばを吐いたのである。
つまりウンチで汚れたパンツを取り替えに、自宅に戻ったというオチなのだった。

殴るほうも初めてなら、殴られるほうも初めてだった、、、ということか。

前回、Mのことを扱いに困ると記したが、少なくとも自分なんかより「はるかに」正直であることは確かなようだ。
だってウンチを漏らしたことを、殴ったほうに報告してくるくらいなのだから。


想像出来るかい、この展開?
忘れようにも、忘れられない初体験でしょう。
ただ「初めての喧嘩」というよりは、一方的であったことから「初めて、ひとを殴った話」なのかもしれないけれど。


トラビスや『わらの犬』(71)のダスティン・ホフマンのように、
このことがきっかけとなり、凶暴化していく・・・という展開にはならなかった。
ただ「自分にも、そういう力がある」ことを知って、「ここぞ!」というとき? には、喧嘩を売る/買うようになった。

38歳の現時点で、勝率は5割をちょっとだけ切る、、、程度の力ではあるけれど。


失笑せざるを得ないMの言動ではあるが、
自分も彼と同様、殴られてウンチを漏らしそうになったことが「いちどだけ」ある。
強調しておくよ、「漏らしそう」になっただけで、実際に「漏らしたわけではない」からね。

27歳のころ、府中刑務所から出所してきたばかりの元ヤクザに殴られたことがあった。

そんな相手にも立ち向かおうとした自分を褒めてもらいたい? ところだが、
当然、相手にもならなかったようで。

元ヤクザは自分の腹に一発、パンチを喰らわせるとこういったのだ。

「いいか、この世は結局、強いヤツが勝つんだ。分かったか!?」

悔しかったが、二の句が継げなかった。

それと同時に肛門が震え、たぶんあともう一発喰らっていたら、間違いなくウンチを垂れ流していたことだろう。

そんな自分の理想の男像は、ダスティン・ホフマンではなく、ミスター・ブロンド(トップ画像)のほうである。


おわり。


※内容とテーマの重さに比べ、やけに陽気な『わらの犬』の予告編




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明日のコラムは・・・

『そんなにウチが、好きなんかい?』


コメント (2)
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