Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

nuke-nukeと

2014-10-09 00:30:00 | コラム
QTタランティーノを一躍有名にした快作『パルプ・フィクション』(94)に、こんなシーンがある。

ユマ・サーマンとジョン・トラヴォルタのデート。
ユマが選んだレストランに拒否反応を示したトラヴォルタに対し、ユマが「画面上に」四角形を描き、「もしかして、あなたって、あれ?」という。

字幕では、「あなたって、四角四面?」になっている。

説明するより、動画を観てもらいましょうか。




四角形は英語で「square」、日本語と同様に「頭が堅い」みたいな意味で通るから「あなたって、四角四面?」とした翻訳はナイスかな。

それにしても、画面上に線を引いてしまうとは。

こういうことを「ぬけぬけとやってしまう」監督が好きだ。


そんな、映画のなかの「ぬけぬけとやっちまった」名場面10傑を展開してみようか。

映画史上「初」というわけでもないけれど、通常の映画では「なかなか見られない」野心的な描写の数々―そういうものに出会う喜びというのも、映画鑑賞の醍醐味のひとつだと思う。


(1)『アニー・ホール』(77)

登場人物が観客に向かって話しかける。
建前の会話を音声で、それぞれの本音を字幕で表現する。

このころのウディ・アレンって、最高に尖っていたのだ。

(2)『キャリー』(76)

キャリーの復讐を分割画面で描写する。

デ・パルマは分割や同時進行が好きで、ジャンルや時代に関係なく「やっちまう」ところが好き。

(3)『キル・ビル Vol.1』(93)

オーレン・イシイの少女時代をアニメーションで表現している。

実写部分との整合性はけっしてうまくいっていない―でも、やりたいからやる! という傲慢さが素敵よね。

(4)『グッドフェローズ』(90)

クライマックスの裁判シーン。
その後半で主人公のヘンリーは唐突に立ち上がり、移動するカメラに沿って歩き「俺の人生、もう終わりだ」と告げる。

あらゆる映画技法を駆使した作品は、観客への語りかけで幕を閉じるのだ。

スーパークーーーーーーーーーーーーーール!!

(5)『刺青一代』(65)

開ける度に、襖の向こう側の背景色が変わっていく―映画を玩具といい切る鈴木清順らしい、遊び心に満ちた名シーン。

(6)『蒲田行進曲』(82)

出演者全員が並ぶラスト―演劇の形式を映画にぶち込み、新鮮な驚きがあった。

(7)『ヘンリー五世』(89)

狂言回しが、観客に物語の進行を説明する―当時、演劇界の鬼才と呼ばれたケネス・ブラナーの演出だけに、「ぬけぬけと」というより「満を持して」感のほうが強かったかな~。

(8)『天国と地獄』(63)

モノクロームに、煙だけ赤紫の色を与える。
当時としては、おおいなる冒険だったにちがいない。

(9)『マグノリア』(99)

別々の場所に居る登場人物たちが、エイミー・マンの主題歌を口ずさむ。

不思議と、ぜんぜん違和感がなかった。




(10)『ひなぎく』(66)

デ・パルマより頭がおかしい監督が、60年代のチェコに存在した!!

だって主演するふたりの女子は、画面に映るあらゆるモノ・コトを切り刻むのだから!!

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(91)』

コメント (3)
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