Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(97)

2014-10-14 02:46:57 | コラム
青春時代の自分を虜にした米国のテレビシリーズ、『ツイン・ピークス』(90~91)が2016年に復活するというニュースを聞いて、うれしいと同時に心底「たまげた」。

米国よりも日本で人気爆発、関連書籍も売れ、架空のヒロインの葬式まで企画された。
マニアはピーカーと呼ばれ、自分もそう自称し、約25年が経過した現在だってピーカーだと思っている。

いるが、もう四半世紀が経っているのだよ。

正直、大丈夫かな?? と。

まぁでも、企画者はデヴィッド・リンチだ。
この変人の頭のなかは誰にも想像することなんか出来ない、凡人は、ただただ待つのが正解、、、のような気がする。


時間が経過してからの続編制作、というものには大変なリスクがともなう。

かつてのファンだって「イマサラ」と思うかもしれないし、
新規の観客にとっては「なんのこと…?」から始まるだろうし。

その点、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)の続編制作は「時間経過的に」絶妙であった。

『るろうに剣心』のような「間隔短過ぎ!」ではなく、
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(89)から約20年を経て制作された『クリスタル・スカルの王国』(2008)みたいに「間隔長過ぎ!」ということもない。

大ヒットした第1作から4年が経過した89年、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』が制作された。

第1作の制作時、続編の予定はなかったといわれている。
「To Be Continued…」(つづく)で終わるエンディングは「あくまでもサービス」であり、観客だってそれを本気にすることなく、あぁ素敵な終わりかただよねとニヤリとしたものだった。

しかし4年のあいだにテクノロジーは進化し、宙に浮くスケボーを表現することだって可能になった。
この2年後にジェームズ・キャメロンは新型のターミネーターを創造・・・つまりCG/デジタルの映像革命「前夜」に制作されたのが、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』だったというわけ。

自分はこの時代に、映写技師のアルバイトを始めている。

「愛想」という武器? を身につけていなかった高校生の自分は、売店の係員として入ったのに翌日には映写係へと配置替えをされた。

支配人の手ほどきを受けながら「共同で」映写した最初の映画は、ミッキー・ローク主演の『ジョニー・ハンサム』(89)。

顔の醜い犯罪者が整形手術を受けて美男子に変身、しかし最後には元通りになってしまうという哀しい物語である。
ロークだけでなく、脇のエレン・バーキン、モーガン・フリーマン、フォレスト・ウィテカーも好演していた。

あまり評価の高くない作品だが、アルバイト経験がプラスに働いているのか、個人的にはとても好きな作品である。


映写機にフィルムを通す作業に手間取った。
Aに通してBに巻きつけ、Cの穴に入れてDで押さえる―なんだこれは、まるでミシンのようではないか。

いちばん嫌いだった授業、家庭科の裁縫を思い出す。

「ちょっと雑に扱い過ぎるね。丈夫とはいえ、それじゃあフィルムが切れちゃうよ」
「すいません!」
「あんまり器用じゃないんだね」
「えぇ、不器用なほうです」
「でも映画が好きなんでしょ」
「はい!」
「じゃあこれを乗り越えないと。映画はフィルムで出来ているんだから!」
「…はい!!」


たぶん。
たぶん、、、ではあるが、この劇場『清流』の支配人だった新名さんというひとは、もう亡くなっている。

ほとんどの映画がデジタル制作になった現在を見て、なにを思うかな新名さんは・・・などと想像してみることがある。


ともあれ。
このひとからの愛のしごきによって、自分はそこそこ上手に映写出来るようになった。

器用なひとなら数日で出来るところを、自分は2ヶ月くらい要してしまったけれどね!!


そして、89年の12月9日―。
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の公開初日を迎え、ふだんはまばらな劇場『清流』も満員御礼となった。

きちんと映写しなければ、ロバート・ゼメキスやスピルバーグ、マイケル・J・フォックスだって怒るだろう。

観客の満足度もきっと、自分の映写技術で決まる・・・とかなんとか。

結果は、もちろん失敗は許されないので、なんとか成功。

冷や汗たらたら、みたいな。
でも、この緊張感は病みつきとなり、同時期に公開された『ニューシネマ・パラダイス』(89)のアルフレードの気持ちが「ドシロートながら、ちょっとだけ」分かったのであった。


おわり。


※トップ画像、そしてこの動画は、映画館・映写室を舞台とした青春映画『~シグナル~ 月曜日のルカ』(2012)。

美女と映写室なんてあり得ないし、物語にもムリがあったが・・・まぁ、いいか。




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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『smile』

コメント (3)
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