Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

インドア派のはずなのに、密室劇の息苦しさは耐えられない

2016-03-04 00:11:00 | コラム
QTタランティーノの最新作『ヘイトフルエイト』が、「やっぱり」面白い。

ハズレのない監督なので、「さすがに」より「やっぱり」のほうが適していると思う。

場所の移動のない、いわゆる「密室劇」を、よくまぁ160分超「もたせ」られるものだ。

基本は会話劇、ときどきスプラッター笑 で展開される極上の西部劇は「制作中止」になりかけた。
出来上がったばかりの脚本が、外部に流出してしまったのである。

QTの脚本は未だ手書きで仕上げられており、それを近しいものがタイプ化し、関係者に配る数だけコピーした。
つまりパソコンを介していないから、データとして大量送信出来ない。
出来ないということは、数少ないコピーを持つ関係者の誰かが外部に「売った」ということになる。

疑心暗鬼になったQTは、「この映画は創らない」と発言したのだった。

時間が経ち、QTの怒りも収まり、そうして制作がスタートしたと。
出来上がった映画を観て、完成まで漕ぎ着けられてほんとうによかったと思う。

と同時に、売れっ子は大変だなぁ!! とも。

そんなわけできょうは、『ヘイトフルエイト』完成と公開を記念し、(広義の意味における)密室劇映画の10傑を展開してみよう。


自分は高所は大丈夫だが、閉所・密室は苦手。

充分な酸素があるはずなのに、なんとなく息苦しくなってきてしまうのだよねぇ。。。

モノカキ名乗っているクセしてね、趣味も含めてインドア中心なのに情けないことである。


※繰り返すが、広義の意味における密室劇ね

(1)『天国と地獄』(63)

身代金受け渡しのシーン直前まで、約60分間は権藤家の室内で展開されている。



ショットの構図が、いちいち格好いいんだよな~。

(2)『狼たちの午後』(75)

ほぼ銀行内で展開される犯罪劇。

刑事から脱出を持ちかけられるも、「仲間が居るから」と行内に戻っていく女子行員がとんでもなくクール。

(3)『十二人の怒れる男』(54)

王道中の王道にして、脚本家の卵たちにとっての最良テキスト。

陪審員裁判を描き、一瞬も目が離せない。

(4)『砂の女』(64)

これもまた、密室といえば密室。



映画の成功は、原作者・安部公房自身による脚本にあったかもしれない。

(5)『ロープ』(48)

奇人変人ヒッチコックによる、実験性に溢れた快作。

ニーチェ理論を実践する秀才たちの犯罪が暴かれていくさまって、けっこう痛快だ。

(6)『CUBE』(99)

鋼鉄の立方体、そこに閉じ込められた男女の脱出劇。

そーとー異色だが、設定を変えた『砂の女』ともいるかもしれない。

(7)『12人の優しい日本人』(91)

自分はどちらかというと、映画における三谷作品の「アンチ」なのだが、これだけは素直に面白いと思えた。

そんな陪審員制度も、現代では「仮に…」ではなくなったわけで。

(8)『キサラギ』(2007)

アイドルオタクのオフ会と謎解きをからめた会心作。

この脚本家には期待していたのだが、最近は・・・。

(9)『ルーム』(2015)

公開日は未定だが、オスカー主演女優賞に輝いたので黄金週間までには公開されるでしょう。

自分は字幕スーパーのついていないバージョンで鑑賞。
それでも、そーとーな衝撃があった。



内容はたぶん、明かさないほうがいいでしょう。

(10)『ダイハード』(88)

やや反則気味だが、広義の意味だからね。

だってマクレーンは、出られるのであれば、すぐにでもビルから出たかったのだから!!


※最も素晴らしかった演者は、ジェニファー・ジェイソン・リーだろう




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明日のコラムは・・・

『俳優別10傑 海外「あ行」篇』
コメント (1)
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