Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(159)

2016-03-19 00:10:00 | コラム
るーだいやもんどふぃりっぷ「す」→「す」らい(スライ)

今年の米オスカー授賞式で、最も意外だったこと。

これに関しては、ほとんどの映画ファンが同じ答えを発すると思われる。

シルベスター・スタローンが、オスカーを取れなかったことである。

助演男優賞―実際にオスカーを手にしたマーク・ライランスでさえ、「スタローンが取ると思っていた」と発言している。

解せねぇ。
解せねぇ、なぁ。

町山智浩は生放送で「スタローンにとっちゃ、最後のチャンスだったんだ」といったが、これはたぶん真実。
肉体派アクションスターがノミネートされるだけでも稀なのに、ここまできたらもう取ってほしかった、、、というか、取るべきだったなぁと。

現在69歳のスタローンは、ガキのころ「スライ」と呼ばれていた。
イタリアの俗語で「ずるがしこい」の意味があり、彼が極貧生活のなかで身につけてしまった「振る舞い」から名づけられたという。
(映画通ほどスタローンのことをスライ、シュワルツェネッガーのことをシュワ氏といいたがる。自分のように笑)


困窮した生活から「仕方なく」ポルノ映画に出演、そこから抜け出そうと『ロッキー』(76)のシナリオを書き上げ、一躍スターになった・・・というアメリカンドリームは、この映画を観ていないものまで知っている。

自分はスライ、シュワ氏、成龍が大活躍した80年代に映画の素晴らしさを知った世代。
誰がいちばん好きかという話でよく盛り上がるが、自分は、ほとんど僅差でスライ/成龍/シュワ氏の順番だと答えるようにしている。

キャリア的に最も成功しているのは、たぶんシュワ氏だろう。
スキャンダルはあったが、政治家としても(結果を残したかどうかは知らんが)成功し、興行的に惨敗した映画はないのだから。

成龍は自分にとってイチローみたいな存在であり、人間としてワケガワカラン笑

酸いも甘いも経験、人間として最も共感出来るのがスライなのだった。
だからこそ、オスカーを手に取ったスライの笑顔が見たかったな~、、、と。


実際はどうか知らないが、俳優として不器用なのはたしかなことだろう。

コメディ映画に挑戦したが、ほとんど笑えなかった。
シャロン・ストーンとのラブシーンが、男女混合の競技としか思えなかった。

しかし監督としては器用なほうで、それは硬派な『パラダイス・アレイ』(78)や『ロッキー2』(79)を観たものなら納得するはず。

そんな才能と人脈があったからこそ、肉体派の仲間たちを集めて『エクスペンダブルズ』(2010)が撮れたのだと思う。

これだけのメンツは、たぶんシュワ氏でも成龍でも集められなかったのではないか。


40代を過ぎてから、スライは非肉体派俳優との共演を果たすようになってきた。
デ・ニーロやハーベイ・カイテル、ドナルド・サザーランドなどなど。

これは若いころのスライでは考えられないことで、スライから歩み寄ったというより、向こうのほうが彼の存在を「認めた」から、、、だと思う。

肉体派が下に見られがち、というより「住み分け」がなされていたような気がするから。

その「見えない」垣根を「無自覚に」崩していった存在、それがスライだったのではないか。


褒め過ぎ?

もうちょっと、愛情をこめてバカにしたほうが、スライの俳優としての面白さが浮かび上がる?

・・・・・。

うんじつは、自分もそう思っています笑笑


※予告冒頭に記された、「ウルトラ」って、なんだべか笑





あすのしりとりは・・・
すら「い」→「い」ーてぃー。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(160)』
コメント (1)
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