Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(174)

2016-07-19 06:48:43 | コラム
にん「しん」→「しん」めとりー

表現分野におけるシンメトリー(symmetry)とは、左右対称の様式美を指す。

物理学的にいうと「よく分からん」ので、そのまま放っておくことにしようか。

結局のところ、どういう状態なのか―それを説明するには、キューブリックの映画を観てもらうのが手っ取り早い。

こんなのもあれば、



こんなのも、ある。




たしかに様式「美」だが、なんだか怖くもあったり。


キューブリックの映画は難解と評される・・・割には、映画少年のほとんどが10代後半、遅くても20代までには「きちんと」クリアしていくでしょう、
ゴダールやタルコフスキーとちがって。

だからそれは、キューブリックがやっていたことが「目に刺激的」だから、、、だったんじゃないかって思うんだよね。


現役の映画監督では、ウェス・アンダーソンが積極的にシンメトリーの構図を作ることで知られる。

それでも専門的に過ぎる、、、というのであれば、ジャン=ピエール・ジュネの『アメリ』(2001)を観返してほしい。
あの映画にも、数多くのシンメトリーが登場するから。

※ポスターも、そうだった




「映画小僧あるある」でいえば、監督志望の子がカメラを持ち始めたころに、まず試すのが「めまいショット」(各自調べてね)であり、
2~3本の短編を経過し、少し慣れてきたところで試すのがシンメトリーだろう。

じつは古典的な手法ではあるのだが、いざ撮ろうとすると難しい。
いや撮ること自体は難しくないのだけれど、その映像が不自然にならないように表現することが難しいっていうか。

狙い過ぎというものは、えてして「さむくなりがち」だし。

じゃあキューブリックの映像は自然なのかというと、そんなことはない。

完全に狙っているのだが、あまりにも堂々としているので、逆に? クールに見えるっていうね。

映画小僧はそこを目指す、しかしなぜだかキューブリックのようにはいかないのだ。





さて、このシンメトリーの遊びを音楽アルバムの曲順に取り入れたひとが居る。

椎名林檎ちゃんだ。

真ん中の曲を中心に、文字数が同じでしょう。



これだって、ひとによっては「さむい」と感じるだろう。

私見だと「ぎりぎり、セーフ。」だと思っているのだが。


なにがいいたいかっていうと、やっぱり表現って難しいよねと。

「寒い」とか「恥ずかしい」とかいわれても気にせず、やりたいことをやればいいとは思うが、表現するひとって基本は繊細ですからね。


次回のしりとりは・・・
しんめと「りー」→「りー」とんぷそん。

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明日のコラムは・・・

『恐縮です。』
コメント (1)
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