年末企画、第3弾は「90年代の外国映画10傑」。
個人的に、最も映画鑑賞数の多い10年なので、選出にいちばん時間を要しましたです。
(1)『グッドフェローズ』(90…トップ画像)
『タクシードライバー』(76)でスコセッシを知り、そしてこの映画に出会って、自分にとっての「神化」が決定づけられた。
『ゴッドファーザー』(72)のアンチテーゼとして創られたリアルなギャング映画だが、映画界に影響を与えたのは「語り口」のほう。
ナレーションと音楽の洪水、あらゆる映像技法を駆使して紡がれるスタイルは「ヒップホップ的」と称され、ここを目指す映画監督が続出した。
(2)『ピアノ・レッスン』(93)
ニュージーランドからやってきた女性監督が紡ぐ物語に、多くの映画ファンが衝撃を受けた。
公開当時、これが大好きな女子大生と知り合って、エイダが海から生還するクライマックスに触れたいがために、何度も何度も一緒に鑑賞した思い出が残っている。
(3)『カノン』(99)
単なるフランスの前衛映画と思ったら大間違い、ちっぽけな、けれども、それによって「ぎりぎり」生きていける主人公のプライドが切実に過ぎて、多くのイケてない男の涙腺を刺激した。
こんなに泣いた映画は、ほかにない。
(4)『アンダーグラウンド』(95)
豊かなイマジネーションと、残酷な歴史と。
笑うほかはないだろう、というクストリッツァの開き直りが生んだ傑作。
(5)『さらば、わが愛/覇王別姫』(93)
京劇役者の視点から描かれる、中国の50年。
最近振るわないチェン・カイコーだが、これ一本で充分かもしれない・・・と思わせるほど、重厚感たっぷりの愛憎劇。
(6)『トレインスポッティング』(96)
2000年代の青春映画の流れを決定づけた作品は、英国からやってきた。
さぁ、続編はどうかな。
(7)『レザボア・ドッグス』(92)
大学で映画を学んでこなかったオタクだって、傑作をものにすることが出来るんだ―当たり前のようでいて、それを証明する映画監督は登場していなかった。
だからQTタランティーノの出現は、90年代の事件だったのよ。
(8)『マグノリア』(99)
スピルバーグやコッポラ、スコセッシを継ぐ映画監督は、たぶんPTAポール・トーマス・アンダーソンだろう。
(9)『奇跡の海』(96)
無償の愛という一大テーマを、映画的話法で描く。
トリアーの映画で最も湛えるべきは、「いつも」主演女優だと思う。
(10)『JFK』(91)
情報量の多さという意味では、映画史全体で捉えても上位に食い込むだろう。
それを器用にさばいてみせるオリバー・ストーンって、ただただすごい。
ドナルド・サザーランドが演じるXはいう、「真相はもっと深く、そして、もっと醜い」。
(次点)『セブン』(95)、『バートン・フィンク』(91)、『ワイルド・アット・ハート』(90)
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『<年末企画(4)>年代別10傑 日本映画90年代篇』
個人的に、最も映画鑑賞数の多い10年なので、選出にいちばん時間を要しましたです。
(1)『グッドフェローズ』(90…トップ画像)
『タクシードライバー』(76)でスコセッシを知り、そしてこの映画に出会って、自分にとっての「神化」が決定づけられた。
『ゴッドファーザー』(72)のアンチテーゼとして創られたリアルなギャング映画だが、映画界に影響を与えたのは「語り口」のほう。
ナレーションと音楽の洪水、あらゆる映像技法を駆使して紡がれるスタイルは「ヒップホップ的」と称され、ここを目指す映画監督が続出した。
(2)『ピアノ・レッスン』(93)
ニュージーランドからやってきた女性監督が紡ぐ物語に、多くの映画ファンが衝撃を受けた。
公開当時、これが大好きな女子大生と知り合って、エイダが海から生還するクライマックスに触れたいがために、何度も何度も一緒に鑑賞した思い出が残っている。
(3)『カノン』(99)
単なるフランスの前衛映画と思ったら大間違い、ちっぽけな、けれども、それによって「ぎりぎり」生きていける主人公のプライドが切実に過ぎて、多くのイケてない男の涙腺を刺激した。
こんなに泣いた映画は、ほかにない。
(4)『アンダーグラウンド』(95)
豊かなイマジネーションと、残酷な歴史と。
笑うほかはないだろう、というクストリッツァの開き直りが生んだ傑作。
(5)『さらば、わが愛/覇王別姫』(93)
京劇役者の視点から描かれる、中国の50年。
最近振るわないチェン・カイコーだが、これ一本で充分かもしれない・・・と思わせるほど、重厚感たっぷりの愛憎劇。
(6)『トレインスポッティング』(96)
2000年代の青春映画の流れを決定づけた作品は、英国からやってきた。
さぁ、続編はどうかな。
(7)『レザボア・ドッグス』(92)
大学で映画を学んでこなかったオタクだって、傑作をものにすることが出来るんだ―当たり前のようでいて、それを証明する映画監督は登場していなかった。
だからQTタランティーノの出現は、90年代の事件だったのよ。
(8)『マグノリア』(99)
スピルバーグやコッポラ、スコセッシを継ぐ映画監督は、たぶんPTAポール・トーマス・アンダーソンだろう。
(9)『奇跡の海』(96)
無償の愛という一大テーマを、映画的話法で描く。
トリアーの映画で最も湛えるべきは、「いつも」主演女優だと思う。
(10)『JFK』(91)
情報量の多さという意味では、映画史全体で捉えても上位に食い込むだろう。
それを器用にさばいてみせるオリバー・ストーンって、ただただすごい。
ドナルド・サザーランドが演じるXはいう、「真相はもっと深く、そして、もっと醜い」。
(次点)『セブン』(95)、『バートン・フィンク』(91)、『ワイルド・アット・ハート』(90)
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明日のコラムは・・・
『<年末企画(4)>年代別10傑 日本映画90年代篇』