Cape Fear、in JAPAN

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<年末企画(6)>年代別10傑 日本映画80年代篇

2016-12-25 00:10:00 | コラム
文化そのものが「軽薄」と評された日本の80年代、
映画も批評的には「からっぽ」だったはずなのだけれども、10本は意外とすんなり揃った。

20本となると、頭を悩ませたかもしれないが。

にっかつの崩壊前夜であったことはまちがいがなく、ATGもディレクターズ・カンパニーも効力を失いつつあった―自分は、そんなころに青春期を送ったというわけです。


(1)『ゆきゆきて、神軍』(87)

自称・神軍平等兵、奥崎謙三が戦争責任を追及するさまを追う、傑作ドキュメンタリー。



初見は奥崎のキャラクター性にインパクトがあり過ぎて「頭がまっしろ」になったが、二度三度と観ていくうちに、ドキュメンタリーという一ジャンルの定義すら揺らいでしまうほどの映画であると評価するようになった。

すべての映画のなかでも、個人的には五指に入る。

(2)『魔女の宅急便』(89…トップ画像)

「らしくない」といわれることが多いが、ジブリのなかでいちばん好きな作品。

上京前日に観たために、キキと自分を投影したってわけ。

(3)『家族ゲーム』(83)

「ボクは、家庭教師ですから」

狙ったネタが「ことごとく」スベらなかったという意味で、奇跡的なコメディとして完成されている。




(4)『黒い雨』(89)

イマヘイ今村昌平の作家性は別のところにあったと思うが、自分が初めて観たイマヘイ映画なので。

記録文学として名高い原作小説は、読むのがしんどかったが、映画はすんなりとのめり込むことが出来た。

(5)『鉄男』(89)

塚本晋也の原点であり、制作姿勢そのものは、現在でも変わらぬものがあるのだろう。



(6)『ヒポクラテスたち』(80)

大森一樹の処女作にして、本人には失礼かもしれないが、最高傑作。

医学生たちを演じる俳優陣、みなが素晴らしかった。

(7)『逆噴射家族』(84)

価値相対主義に陥った社会を、ある家族で描いてみせた異色のホームドラマ。

漫画家・小林よしのりによる毒満載の脚本も出色で、これは別の側面から捉えた『家族ゲーム』かと。

(8)『タンポポ』(85)

原型となった『シェーン』(53)を観ていなくても楽しめる、伊丹十三の最高傑作。

未だ思うよ、なんで死んじゃったんだろうと。




(9)『乱』(85)

黒澤による、色彩を追究した映画。

中身は識者たちがいうとおり「からっぽ」かもしれないが、ピーターの熱演などもあり、長い上映時間は気にならなかった。



(10)『泥の河』(81)

「偽善だ」なんていう声も聞かれるが、清貧を描いて、それだけには終わっていない。

加賀まりこの妖しさは、当時ガキだった自分でもドキッとした。

(次点)『蒲田行進曲』(82)、『ツィゴイネルワイゼン』(80)

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明日のコラムは・・・

『<年末企画(7)>年代別10傑 外国映画70年代篇』
コメント (1)
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