年末企画の最終回。
アップしたあとに、あぁあれも入れ忘れた、これも入れ忘れた・・・と、本気で悔やむ毎日。
それだけ傑作が多いというのは映画を愛するものとして幸福なことだけれども、自分で好きでやっといて「勝手に落ち込む」っていうのは、どうかとも思うが、これこそ映画小僧の性なんですわ。
では、いくぜ!!
(1)『天国と地獄』(63)
個人的に、黒澤の最高傑作だと思っている。
社会性と娯楽性の絶妙なブレンド、密室劇から解放されたあとのダイナミズム、完璧な画面構成、音楽の使いかた・・・などなど。
山崎努が揺する金網の音は、未だ耳から離れない。
(2)『切腹』(62)
武家社会の非人間性を告発した、唯一といっていい「社会派の」時代劇。
竹光での切腹なんて、想像するだけで恐ろしい。
(3)『豚と軍艦』(61…トップ画像)
イマヘイ今村昌平による独自ジャンル、「重喜劇」が誕生した記念碑的作品。
横須賀に豚の大群という発想そのものが痛快、そして吉村実子が抜群に格好いい。
(4)『絞死刑』(68)
怒れるオオシマが放つ、死刑制度の是非。
オオシマがほんとうに訴えたいのは、ひとがひとを殺すことではなく、「国が」ひとを殺すことなんだ。
(5)『飢餓海峡』(65)
10年にいちどくらいの確率で原作を超える映画が出てくるが、本作はその最高のケースか。
敢えて16mmフィルムを多用したりと、内田吐夢の野心が随所に感じられて感動する。
(6)『殺しの烙印』(67)
映画を「玩具」と定義する鈴木清順が、遊び心を散りばめて紡ぐ「早過ぎた」快作。
この映画に理解を示さなかったスタジオトップは、現代の感覚でいえば「無粋だ」ということになるが、当時は、ほかのスタジオであっても同じ判断を下されたのかもしれない。
(7)『おとうと』(60)
不思議な色彩を創り出した技術―銀残し―という点でも歴史に残る映画だが、物語そのものも素晴らしい。
すべてが終わったエンディングで、いつものように家事を始める岸恵子が日本的で味わい深い。
(8)『肉弾』(68)
主人公「あいつ」の視点で描かれる、先の見えない戦争とは。
大谷直子の裸身に、目が釘付けになった。
この映画と『絞死刑』を観ると、ATGのギラギラした感じが伝わってきて羨ましくもなる。
(9)『秋刀魚の味』(62)
小津の遺作。
何度か書いているように、10代のころは小津×原節子のドラマにピンとこなかった自分は、カラー化され、ヒロインを岩下志麻に変えた本作のほうが観易くて感情移入出来たのだった。
(10)『砂の女』(64)
難解といえば「超」難解、けれども映画的要素に溢れた安部公房の原作小説を果敢に映像化、結果としては大成功に導いた労作。
岸田今日子の妖しさに戦慄した。
(次点)『用心棒』(61)
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『「キャリー・ホワイトとレイア」予告篇』
アップしたあとに、あぁあれも入れ忘れた、これも入れ忘れた・・・と、本気で悔やむ毎日。
それだけ傑作が多いというのは映画を愛するものとして幸福なことだけれども、自分で好きでやっといて「勝手に落ち込む」っていうのは、どうかとも思うが、これこそ映画小僧の性なんですわ。
では、いくぜ!!
(1)『天国と地獄』(63)
個人的に、黒澤の最高傑作だと思っている。
社会性と娯楽性の絶妙なブレンド、密室劇から解放されたあとのダイナミズム、完璧な画面構成、音楽の使いかた・・・などなど。
山崎努が揺する金網の音は、未だ耳から離れない。
(2)『切腹』(62)
武家社会の非人間性を告発した、唯一といっていい「社会派の」時代劇。
竹光での切腹なんて、想像するだけで恐ろしい。
(3)『豚と軍艦』(61…トップ画像)
イマヘイ今村昌平による独自ジャンル、「重喜劇」が誕生した記念碑的作品。
横須賀に豚の大群という発想そのものが痛快、そして吉村実子が抜群に格好いい。
(4)『絞死刑』(68)
怒れるオオシマが放つ、死刑制度の是非。
オオシマがほんとうに訴えたいのは、ひとがひとを殺すことではなく、「国が」ひとを殺すことなんだ。
(5)『飢餓海峡』(65)
10年にいちどくらいの確率で原作を超える映画が出てくるが、本作はその最高のケースか。
敢えて16mmフィルムを多用したりと、内田吐夢の野心が随所に感じられて感動する。
(6)『殺しの烙印』(67)
映画を「玩具」と定義する鈴木清順が、遊び心を散りばめて紡ぐ「早過ぎた」快作。
この映画に理解を示さなかったスタジオトップは、現代の感覚でいえば「無粋だ」ということになるが、当時は、ほかのスタジオであっても同じ判断を下されたのかもしれない。
(7)『おとうと』(60)
不思議な色彩を創り出した技術―銀残し―という点でも歴史に残る映画だが、物語そのものも素晴らしい。
すべてが終わったエンディングで、いつものように家事を始める岸恵子が日本的で味わい深い。
(8)『肉弾』(68)
主人公「あいつ」の視点で描かれる、先の見えない戦争とは。
大谷直子の裸身に、目が釘付けになった。
この映画と『絞死刑』を観ると、ATGのギラギラした感じが伝わってきて羨ましくもなる。
(9)『秋刀魚の味』(62)
小津の遺作。
何度か書いているように、10代のころは小津×原節子のドラマにピンとこなかった自分は、カラー化され、ヒロインを岩下志麻に変えた本作のほうが観易くて感情移入出来たのだった。
(10)『砂の女』(64)
難解といえば「超」難解、けれども映画的要素に溢れた安部公房の原作小説を果敢に映像化、結果としては大成功に導いた労作。
岸田今日子の妖しさに戦慄した。
(次点)『用心棒』(61)
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明日のコラムは・・・
『「キャリー・ホワイトとレイア」予告篇』