Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

<年末企画(8)>年代別10傑 日本映画70年代篇

2016-12-27 00:10:00 | コラム
きのうの外国映画篇と同様、濃い~作品が並ぶ70年代の日本映画。
といっても一般的には「斜陽化」と評されていた時期であり、たしかにメジャースタジオが制作した映画は少ない。

その代わり元気なのが、にっかつ、であり、独立系であったと。


(1)『愛のコリーダ』(76)

76年に、なにがあったのかと思う。

単なる偶然なのだろうが、『タクシードライバー』と『キャリー』、『ロッキー』、そしてこの映画まで誕生しているなんて!!

表現を志すものとして、この映画は、そのすべてが感動的で、勇気までもらえる。

(2)『太陽を盗んだ男』(79)

闇雲なエネルギーに身体がやられ、くらくらした。

理科の教師が、原子力発電所からプルトニウムを強奪する。

荒唐無稽といってしまえばそれまでだが、原爆製造過程そのものはリアリティに貫かれ、見てはいけないものを見ている気にもさせてくれて、映画の背徳的な魅力が満載で素晴らしい。




(3)『復讐するは我にあり』(79)

映画化権を勝ち取ったイマヘイ今村昌平が、持てる力すべてを注ぎ込んで創りあげたであろう、狂人の哀しき一生。

遺骨を海にぶちまける三國連太郎の表情に、この映画のテーマが集約されている。

(4)『砂の器』(74)

原作を超えた映画という意味で、稀有なる一本。

多くの識者が指摘することだが、わずか数行の遍路描写をスケール感たっぷりに描いたクライマックスが勝因かと。

映画化に漕ぎつけるまで10年、橋本忍の執念に敬意を表したい。

(5)『新幹線大爆破』(75)

オールスターによる、アクション大作。

理屈もへったくれもない、ただただ面白い。

斜陽の時代とはいえ、このころは現代とはちがい、東宝の独り勝ちではなく松竹も東映も頑張っていた。




(6)『どですかでん』(70)

黒澤、後期の代表作。



暗いエピソードをつなぐ群像劇だが、どことなく愛嬌が感じられるのは、六ちゃん(頭師佳孝)の存在ゆえか。

(7)『仁義なき戦い』(73)

俳優全員が「ホンモノ」にしか見えないのが、すごい。
(とくに、眉毛のない梅宮辰夫!)

手持ちでブレブレのカメラが、これほど効果的な映画も珍しい。

シリーズでいえば、『広島死闘篇』(73)がいちばん好き。

(8)『家族』(70)

山田洋次による、日本では珍しいロードムービー。



10代のころ、小津と山田洋次の映画が「なんとなく」苦手だった。

専門学校時代、「半強制的」に観させられたこの作品で、苦手意識がだいぶ薄らいだ思い出がある。

(9)『十九歳の地図』(79)

負け犬を自覚する新聞奨学生が、犯罪に走る。

新聞奨学生をやっていたころに観て衝撃を受け、結果、卒業するまでに10回くらい繰り返し観るほどのバイブルとなった。

(10)『八月の濡れた砂』(71)

多くの野心的な映画というものの原動力って、怒り。なんだと思う。



(次点)『極私的エロス 恋歌1974』(74)

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『<年末企画(8)>年代別10傑 外国映画60年代篇』
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする