きのうの外国映画篇と同様、濃い~作品が並ぶ70年代の日本映画。
といっても一般的には「斜陽化」と評されていた時期であり、たしかにメジャースタジオが制作した映画は少ない。
その代わり元気なのが、にっかつ、であり、独立系であったと。
(1)『愛のコリーダ』(76)
76年に、なにがあったのかと思う。
単なる偶然なのだろうが、『タクシードライバー』と『キャリー』、『ロッキー』、そしてこの映画まで誕生しているなんて!!
表現を志すものとして、この映画は、そのすべてが感動的で、勇気までもらえる。
(2)『太陽を盗んだ男』(79)
闇雲なエネルギーに身体がやられ、くらくらした。
理科の教師が、原子力発電所からプルトニウムを強奪する。
荒唐無稽といってしまえばそれまでだが、原爆製造過程そのものはリアリティに貫かれ、見てはいけないものを見ている気にもさせてくれて、映画の背徳的な魅力が満載で素晴らしい。
(3)『復讐するは我にあり』(79)
映画化権を勝ち取ったイマヘイ今村昌平が、持てる力すべてを注ぎ込んで創りあげたであろう、狂人の哀しき一生。
遺骨を海にぶちまける三國連太郎の表情に、この映画のテーマが集約されている。
(4)『砂の器』(74)
原作を超えた映画という意味で、稀有なる一本。
多くの識者が指摘することだが、わずか数行の遍路描写をスケール感たっぷりに描いたクライマックスが勝因かと。
映画化に漕ぎつけるまで10年、橋本忍の執念に敬意を表したい。
(5)『新幹線大爆破』(75)
オールスターによる、アクション大作。
理屈もへったくれもない、ただただ面白い。
斜陽の時代とはいえ、このころは現代とはちがい、東宝の独り勝ちではなく松竹も東映も頑張っていた。
(6)『どですかでん』(70)
黒澤、後期の代表作。
暗いエピソードをつなぐ群像劇だが、どことなく愛嬌が感じられるのは、六ちゃん(頭師佳孝)の存在ゆえか。
(7)『仁義なき戦い』(73)
俳優全員が「ホンモノ」にしか見えないのが、すごい。
(とくに、眉毛のない梅宮辰夫!)
手持ちでブレブレのカメラが、これほど効果的な映画も珍しい。
シリーズでいえば、『広島死闘篇』(73)がいちばん好き。
(8)『家族』(70)
山田洋次による、日本では珍しいロードムービー。
10代のころ、小津と山田洋次の映画が「なんとなく」苦手だった。
専門学校時代、「半強制的」に観させられたこの作品で、苦手意識がだいぶ薄らいだ思い出がある。
(9)『十九歳の地図』(79)
負け犬を自覚する新聞奨学生が、犯罪に走る。
新聞奨学生をやっていたころに観て衝撃を受け、結果、卒業するまでに10回くらい繰り返し観るほどのバイブルとなった。
(10)『八月の濡れた砂』(71)
多くの野心的な映画というものの原動力って、怒り。なんだと思う。
(次点)『極私的エロス 恋歌1974』(74)
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『<年末企画(8)>年代別10傑 外国映画60年代篇』
といっても一般的には「斜陽化」と評されていた時期であり、たしかにメジャースタジオが制作した映画は少ない。
その代わり元気なのが、にっかつ、であり、独立系であったと。
(1)『愛のコリーダ』(76)
76年に、なにがあったのかと思う。
単なる偶然なのだろうが、『タクシードライバー』と『キャリー』、『ロッキー』、そしてこの映画まで誕生しているなんて!!
表現を志すものとして、この映画は、そのすべてが感動的で、勇気までもらえる。
(2)『太陽を盗んだ男』(79)
闇雲なエネルギーに身体がやられ、くらくらした。
理科の教師が、原子力発電所からプルトニウムを強奪する。
荒唐無稽といってしまえばそれまでだが、原爆製造過程そのものはリアリティに貫かれ、見てはいけないものを見ている気にもさせてくれて、映画の背徳的な魅力が満載で素晴らしい。
(3)『復讐するは我にあり』(79)
映画化権を勝ち取ったイマヘイ今村昌平が、持てる力すべてを注ぎ込んで創りあげたであろう、狂人の哀しき一生。
遺骨を海にぶちまける三國連太郎の表情に、この映画のテーマが集約されている。
(4)『砂の器』(74)
原作を超えた映画という意味で、稀有なる一本。
多くの識者が指摘することだが、わずか数行の遍路描写をスケール感たっぷりに描いたクライマックスが勝因かと。
映画化に漕ぎつけるまで10年、橋本忍の執念に敬意を表したい。
(5)『新幹線大爆破』(75)
オールスターによる、アクション大作。
理屈もへったくれもない、ただただ面白い。
斜陽の時代とはいえ、このころは現代とはちがい、東宝の独り勝ちではなく松竹も東映も頑張っていた。
(6)『どですかでん』(70)
黒澤、後期の代表作。
暗いエピソードをつなぐ群像劇だが、どことなく愛嬌が感じられるのは、六ちゃん(頭師佳孝)の存在ゆえか。
(7)『仁義なき戦い』(73)
俳優全員が「ホンモノ」にしか見えないのが、すごい。
(とくに、眉毛のない梅宮辰夫!)
手持ちでブレブレのカメラが、これほど効果的な映画も珍しい。
シリーズでいえば、『広島死闘篇』(73)がいちばん好き。
(8)『家族』(70)
山田洋次による、日本では珍しいロードムービー。
10代のころ、小津と山田洋次の映画が「なんとなく」苦手だった。
専門学校時代、「半強制的」に観させられたこの作品で、苦手意識がだいぶ薄らいだ思い出がある。
(9)『十九歳の地図』(79)
負け犬を自覚する新聞奨学生が、犯罪に走る。
新聞奨学生をやっていたころに観て衝撃を受け、結果、卒業するまでに10回くらい繰り返し観るほどのバイブルとなった。
(10)『八月の濡れた砂』(71)
多くの野心的な映画というものの原動力って、怒り。なんだと思う。
(次点)『極私的エロス 恋歌1974』(74)
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明日のコラムは・・・
『<年末企画(8)>年代別10傑 外国映画60年代篇』