~コーエン兄弟のキャリア10傑~
リュミエール兄弟から始まって、
タヴィアーニ兄弟にダルデンヌ兄弟、ファレリー兄弟、そして兄弟を経て姉妹になったウォシャウスキーなどなど、兄弟姉妹のタッグで映画制作するひとたちは、「多くはないけれど」存在する。
その筆頭といえるのが、兄ジョエル/弟イーサンによるコーエン兄弟。
3つちがいの(ともに)60代、どんなジャンルでもこなす器用な監督であり、どれほどふざけたコメディを撮ろうが、不思議と知性を感じさせる・・・のは、本人たちの見た目も関係しているかな。
先鋭的だと捉えられていたデビュー時~90年代前半は、主に批評家と映画通に「のみ」愛された存在だった。
変化が見られたのは、ジョージ・クルーニーやトム・ハンクスを起用するようになった2000年代からでしょう。
誤解を恐れずにいえば、メインストリームに進出したと。
すごいというか面白いなぁ、、、と思うのは、ふつう、そんなキャリアを築く監督は、初期のころに支持していた映画通などから「魂を売った」などと批判されがちなのに、彼らを満足させつつ、一般層からも評価を得たところ。
映画を知り尽くしているであろう兄弟監督の話法に、「否。」といえるひとは、ほとんど存在しないのです。
(1)『バートン・フィンク』(91)
キャリア前期の到達点。
東海岸で活躍していた社会派劇作家の視点で、西海岸の異様さを描く。
この映画の印象が強いからこそ、メインストリームへの進出には驚いた。
(2)『ノーカントリー』(2007)
どんなジャンルを撮っても及第点以上だが、いちばんの得意は、やっぱりスリラーなんじゃないだろうか。
(3)『赤ちゃん泥棒』(87)
疾走感溢れるカメラワーク、これに尽きる。
とにかく、観ていて気持ちがいい。
(4)『バーバー』(2001)
感情ゼロの男の半生を、モノクロームでクールに捉える。
(5)『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013)
自身のスタイルを曲げられない―そんなアーティストへの、応援歌のような愛すべき小品。
ナンダカンダいって、コーエン兄弟は「基本、こっち側」なんじゃないだろうか。
(6)『ミラーズ・クロッシング』(90)
ドンパチでさえスタイリッシュ、この兄弟がギャングを描くと「平熱」のまま物語は進む。
だからといって、退屈というわけはない。
(7)『ビッグ・リボウスキ』(98)
よく分からない物語だが、なぜか繰り返し観てしまう。
最高にハッピーな気分に浸れるし、ジュリアン・ムーアが「よい塩梅で」エロいから。
(8)『未来は今』(94)
フラフープ誕生秘話という、ホラ話。
美人だがヘンな役ばかりやりたがるジェニファー・ジェイソン・リーが、珍しく可憐なヒロインを演じていることにも注目。
(9)『ファーゴ』(96)
なにかのデザイン画のように見える駐車場の俯瞰ショットにはしびれたが、じつは公開時は、それほど感心しなかった。
後年、観返してみて「なぜそんな、バカなことを? きょうはこんなに、いい日なのに」というエンディングの台詞に「遅ればせながら」感動してしまった。
(10)『ブラッド・シンプル』(84)
才気走り「まくっている」、記念すべきデビュー作。
すでにこの時点で、コーエン的話法というのは完成していたのだった。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『オスカー総括(仮)』
リュミエール兄弟から始まって、
タヴィアーニ兄弟にダルデンヌ兄弟、ファレリー兄弟、そして兄弟を経て姉妹になったウォシャウスキーなどなど、兄弟姉妹のタッグで映画制作するひとたちは、「多くはないけれど」存在する。
その筆頭といえるのが、兄ジョエル/弟イーサンによるコーエン兄弟。
3つちがいの(ともに)60代、どんなジャンルでもこなす器用な監督であり、どれほどふざけたコメディを撮ろうが、不思議と知性を感じさせる・・・のは、本人たちの見た目も関係しているかな。
先鋭的だと捉えられていたデビュー時~90年代前半は、主に批評家と映画通に「のみ」愛された存在だった。
変化が見られたのは、ジョージ・クルーニーやトム・ハンクスを起用するようになった2000年代からでしょう。
誤解を恐れずにいえば、メインストリームに進出したと。
すごいというか面白いなぁ、、、と思うのは、ふつう、そんなキャリアを築く監督は、初期のころに支持していた映画通などから「魂を売った」などと批判されがちなのに、彼らを満足させつつ、一般層からも評価を得たところ。
映画を知り尽くしているであろう兄弟監督の話法に、「否。」といえるひとは、ほとんど存在しないのです。
(1)『バートン・フィンク』(91)
キャリア前期の到達点。
東海岸で活躍していた社会派劇作家の視点で、西海岸の異様さを描く。
この映画の印象が強いからこそ、メインストリームへの進出には驚いた。
(2)『ノーカントリー』(2007)
どんなジャンルを撮っても及第点以上だが、いちばんの得意は、やっぱりスリラーなんじゃないだろうか。
(3)『赤ちゃん泥棒』(87)
疾走感溢れるカメラワーク、これに尽きる。
とにかく、観ていて気持ちがいい。
(4)『バーバー』(2001)
感情ゼロの男の半生を、モノクロームでクールに捉える。
(5)『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013)
自身のスタイルを曲げられない―そんなアーティストへの、応援歌のような愛すべき小品。
ナンダカンダいって、コーエン兄弟は「基本、こっち側」なんじゃないだろうか。
(6)『ミラーズ・クロッシング』(90)
ドンパチでさえスタイリッシュ、この兄弟がギャングを描くと「平熱」のまま物語は進む。
だからといって、退屈というわけはない。
(7)『ビッグ・リボウスキ』(98)
よく分からない物語だが、なぜか繰り返し観てしまう。
最高にハッピーな気分に浸れるし、ジュリアン・ムーアが「よい塩梅で」エロいから。
(8)『未来は今』(94)
フラフープ誕生秘話という、ホラ話。
美人だがヘンな役ばかりやりたがるジェニファー・ジェイソン・リーが、珍しく可憐なヒロインを演じていることにも注目。
(9)『ファーゴ』(96)
なにかのデザイン画のように見える駐車場の俯瞰ショットにはしびれたが、じつは公開時は、それほど感心しなかった。
後年、観返してみて「なぜそんな、バカなことを? きょうはこんなに、いい日なのに」というエンディングの台詞に「遅ればせながら」感動してしまった。
(10)『ブラッド・シンプル』(84)
才気走り「まくっている」、記念すべきデビュー作。
すでにこの時点で、コーエン的話法というのは完成していたのだった。
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明日のコラムは・・・
『オスカー総括(仮)』