~今村昌平のキャリア10傑~
裕福なわけではないが、ときどき贅沢もしているし、経済的には「中の、中」くらいなんじゃないだろうか。
それでも「金持ちはいいよなぁ、金持ちになりたいなぁ!」と思うことがある。
それは市井の民にとっては、ごくふつうの感情なのだが、そんなときにイマヘイ今村昌平のキャリアを眺めると、やっぱりモノがちがうんだな、自分なんか甘ちゃんだクソだ生ゴミだザーメン野郎だと痛感させられる。
赤貧に耐え、
胃潰瘍に苦しめられながらもそれがどうしたといい放ち、
吐血したって映画を撮ることをやめなかった。
日本映画大学(旧・日本映画学校)を立ち上げ、後進の教育にも情熱を注いだ。
すんごいひと。
なんだけれども、現在イマヘイ作品が観られているかというと、映画を志すアンチャンネーチャンでさえ「え、知らな~い」となっちゃっているかもしれない。
いかんですよ、そんな状況では!!
(1)『豚と軍艦』(61)
横須賀の街に豚の大群が疾走? する―その絵を想像しただけで痛快、いわゆる「重喜劇」を完成させた、記念碑的作品。
それにしても、最高にクールなポスターだ。
(2)『復讐するは我にあり』(79)
佐木隆三による原作の映画化権を、多くの映画監督と争い勝ち取った。
その執念は、きっちりとフィルムに焼きついている。
とくに、散骨のシーンが忘れられない。
「血は水よりも濃い」という宿命を表現した、実に鮮烈なショットなのだった。
(3)『神々の深き欲望』(68)
映画の世界で神話を作り出そうとした、おおいなる野心作。
しかしイマヘイが考える神話なので、その世界観はセックスに満ち溢れている。
(4)『にっぽん昆虫記』(63)
「おんな」の生命力の強さを「昆虫」に例えるあたり、さすがイマヘイ。
三世代のセックス・エネルギーを体現してみせた、佐々木すみ江・左幸子・吉村実子に「全員」演技賞をあげたかった。
(5)『黒い雨』(89)
「小説」としては読むことに難儀する井伏鱒二の「記録小説」を、モノクロームで映画化。
田中好子の熱演もあり、キャリア後期の代表作となった。
(6)『赤い殺意』(64)
強盗の子を身ごもってしまうヒロインを、春川ますみが大熱演。
東北訛りによる効果もあるのだろう、哀しい話なのに、どことなくユーモラス。
(7)『人間蒸発』(67)
ドキュメンタリーを哲学する、「疑似」ドキュメンタリー。
と、観る前のひとに解説していいのか困ってしまう実験映画。
(8)『うなぎ』(97)
カンヌ、パルムドール受賞作。
ただイマヘイの映画としては、けっして成功作とはいえない。
芥川賞やオスカーのように、「これより、よいもの創っているんだけどな!」と思いながら受賞シーンを観ていた。
柄本明だけは、最高だったが。
(9)『盗まれた欲情』(58)
記念すべき処女作だが、その後のイマヘイのキャリアや、このタイトルからエロな展開を期待すると肩透かしを喰らうだろう。
今村昌平がイマヘイへと変貌を遂げるのは、この数年後になるのだから。
(10)『赤い橋の下のぬるい水』(2001)
長編映画としての遺作。
潮吹きをこれほどユーモラスに描いたものは、AVだってなかったはず。
もう少し、清水美砂とのタッグが見たかった。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『band-aid』
裕福なわけではないが、ときどき贅沢もしているし、経済的には「中の、中」くらいなんじゃないだろうか。
それでも「金持ちはいいよなぁ、金持ちになりたいなぁ!」と思うことがある。
それは市井の民にとっては、ごくふつうの感情なのだが、そんなときにイマヘイ今村昌平のキャリアを眺めると、やっぱりモノがちがうんだな、自分なんか甘ちゃんだクソだ生ゴミだザーメン野郎だと痛感させられる。
赤貧に耐え、
胃潰瘍に苦しめられながらもそれがどうしたといい放ち、
吐血したって映画を撮ることをやめなかった。
日本映画大学(旧・日本映画学校)を立ち上げ、後進の教育にも情熱を注いだ。
すんごいひと。
なんだけれども、現在イマヘイ作品が観られているかというと、映画を志すアンチャンネーチャンでさえ「え、知らな~い」となっちゃっているかもしれない。
いかんですよ、そんな状況では!!
(1)『豚と軍艦』(61)
横須賀の街に豚の大群が疾走? する―その絵を想像しただけで痛快、いわゆる「重喜劇」を完成させた、記念碑的作品。
それにしても、最高にクールなポスターだ。
(2)『復讐するは我にあり』(79)
佐木隆三による原作の映画化権を、多くの映画監督と争い勝ち取った。
その執念は、きっちりとフィルムに焼きついている。
とくに、散骨のシーンが忘れられない。
「血は水よりも濃い」という宿命を表現した、実に鮮烈なショットなのだった。
(3)『神々の深き欲望』(68)
映画の世界で神話を作り出そうとした、おおいなる野心作。
しかしイマヘイが考える神話なので、その世界観はセックスに満ち溢れている。
(4)『にっぽん昆虫記』(63)
「おんな」の生命力の強さを「昆虫」に例えるあたり、さすがイマヘイ。
三世代のセックス・エネルギーを体現してみせた、佐々木すみ江・左幸子・吉村実子に「全員」演技賞をあげたかった。
(5)『黒い雨』(89)
「小説」としては読むことに難儀する井伏鱒二の「記録小説」を、モノクロームで映画化。
田中好子の熱演もあり、キャリア後期の代表作となった。
(6)『赤い殺意』(64)
強盗の子を身ごもってしまうヒロインを、春川ますみが大熱演。
東北訛りによる効果もあるのだろう、哀しい話なのに、どことなくユーモラス。
(7)『人間蒸発』(67)
ドキュメンタリーを哲学する、「疑似」ドキュメンタリー。
と、観る前のひとに解説していいのか困ってしまう実験映画。
(8)『うなぎ』(97)
カンヌ、パルムドール受賞作。
ただイマヘイの映画としては、けっして成功作とはいえない。
芥川賞やオスカーのように、「これより、よいもの創っているんだけどな!」と思いながら受賞シーンを観ていた。
柄本明だけは、最高だったが。
(9)『盗まれた欲情』(58)
記念すべき処女作だが、その後のイマヘイのキャリアや、このタイトルからエロな展開を期待すると肩透かしを喰らうだろう。
今村昌平がイマヘイへと変貌を遂げるのは、この数年後になるのだから。
(10)『赤い橋の下のぬるい水』(2001)
長編映画としての遺作。
潮吹きをこれほどユーモラスに描いたものは、AVだってなかったはず。
もう少し、清水美砂とのタッグが見たかった。
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明日のコラムは・・・
『band-aid』