Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

俺「も」、まだ本気出してないだけ。

2013-06-20 00:15:00 | コラム
ここ数週間で観た日本映画の多くが「水準以上」の出来で、いいじゃない! いいじゃな~~い!! と、ひとり劇場で呟いている。

地味だが、力強い作品たち。

(1)木下恵介と母親の関係に迫った『はじまりのみち』。

日本映画黄金期を支えた名匠を加瀬亮が好演、単に細いから・・・かもしれないけれど、この俳優さんは川島雄三も演じられるのではないか、なんて思った。

いやいやそれよりなにより、アニメーションの世界で佳作を放ち続けてきた原恵一という監督が、初実写作品にこの題材を選んだ―そこに、なんというか深い深い映画愛を感じて感動したのである。

(2)歌手の星野源を起用した『箱入り息子の恋』。

中年にさしかかった男の、生まれて初めての本気の恋。

ディープな助平話を軽妙に語る星野くんは前から好きで、しかしこの映画を観ると、歌手でもいいけど俳優としての星野源にもっと触れてみたいな、そんな風に思った。

(3)前田あっちゃんが初めて女優に見えた『クロユリ団地』。

このなかでは、いちばんのヒット。
これで「なにやっても外す女優」というイメージは払拭出来たんじゃないかな。

本人次第だろうけれど、もっと過激な役柄に挑戦すればいいと思う。

たとえば・・・

(4)石井隆の本領発揮、『フィギュアなあなた』。

あっちゃんが石井印の映画に出たら、そりゃあもう大ヒット間違いなしだろう。

石井美学炸裂の映像美は必見だが、と同時に、脱ぎまくって頑張った佐々木心音にも拍手を送りたい。


そして、
(5)『俺はまだ本気出してないだけ』

同名漫画を原作とした、堤真一主演のコメディ。

はっきりいうと60%くらいは娘役の橋本愛目当てだったのだが、作品そのものもじつに面白く、たいへん満足したのだった。

唐突に漫画家を目指し始める「おとーちゃん」の話だが、作品の「顔」となるタイトルがすべてなんだなぁ、、、と。

漫画と同名だから原作者・青野春秋を褒めるべきなんだろうが、
周囲に同じような台詞を吐くひと、居ない?
あるいは、
自分だって、同じようなこと思っていたりしない?

そこらへんを突いているのが、抜群に巧いなと。

自分はどうか。

現在も「そこそこの自信」を持っていたりするが、もっと若いころ、よく「なんでそんなに自信満々なの? 根拠もないし、結果も出ていないのに」と、いわれていた(ような気がする)。

モノカキとしての夢や希望、だけのことではない。
友人関係や恋愛、日常生活にいたるまで「うまくいく」と思っていて、うまくいかなかった場合に「本気出してないから」なんていう。

よくいえばポジティブ、しかし実際は、単なる阿呆か。


じゃあ早く出せよ、本気を。

って突っ込まれれば「うぅ」と詰まるほかはないのだけれど、つまりこれはイイワケみたいなもので、最初のうちは許されても次第に呆れられる、、、という流れが常だろう。

いや、自分でも分かっている。

たぶん、たぶん・・・ではあるが。

自分に甘く解釈すれば、イイワケというよりか、それを励みにしているところがある、、、そういうわけなんだ、、、たぶん。

さっきから、たぶんばっかりだが。

ただ、あんまりそういうことばを多用していると、ふと気づいたら「誰もいなくなった」なんていう状況にもなりかねない。
この映画はそういった悲哀までなんとなく感じさせてくれるつくりになっており、クスクス笑いと同時に、観ているものをチクリと刺すスパイスまで効いていて感心したのである。





…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『権威―ほしくないといったら、嘘になるけれど、、、』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

にっぽん男優列伝(195)高倉健

2013-06-19 00:15:00 | コラム

31年2月16日生まれ・現在82歳。
福岡出身。

映画好きであればファンで当然―みたいに解釈されるのが、吉永小百合と高倉健(たかくら・けん)さん。

いやもちろん、嫌いじゃないですよ。
じゃないけれども、はっきりと好きともいえなかったりして、モゴモゴと「まあまあ好き、、、っていうか」なんて答えたり。

少し前も大きなリアクションで驚かれました、

「えーーーー!! 好きじゃないんですか!?」

いや、だから嫌いとはいってないし・・・。

たとえば。
黒澤好き、ゆえに無条件で三船と仲代も好き。
であるからして、健さんを何度も起用した石井輝男は好きな監督のひとりですし、無条件に健さんを好きな俳優のひとりとして挙げても不思議な話ではない、、、のだけれども、
映画でつながった友人と会っても積極的にこのひとの話はしないですし、本コラムでも、まーーーず出てこないひとなんですよね。

自分でも不思議だったりするんですけれど。

さて、そんな健さんは黒澤映画には出演していません。
いませんが、オファーは受けていました。
『乱』(85)の、鉄修理役で。結局は実現出来ず修理は井川比佐志が演じましたが、ちょっと見てみたかったなぁ、、、と思います。
そうしたら素直に「健さん、好き」といえるのかもしれません。

なんだい、その程度のことなんかいっ! ってね。


ほとんどキャッチフレーズのようになっている「不器用ですから・・・」について、本人は「そんなことないけど、そういうイメージなのかな」というようなことをいっています。
まぁ確かにそういうイメージもありますけれど、
個人的には、ホット/クールの両面を持った朴訥な俳優というか。
「UFCまでキチンと観ている大のMMA好き」というだけでうれしくなりますが、長いキャリアのなかでひとつ選べといわれたら、『新幹線大爆破』(74)と即答しますね。

作品そのものも面白かったけれど、ちょっと屈折したキャラクター、そういうのを演じる俳優さんが好きなものですから。




<経歴>

高倉プロモーション所属。

THE男なイメージが強いですが、幼少期は病弱で、中学生のころからボクシングを始めマッチョな感じはそうして作られていったのかと。

現場では「けっして座らないこと」で有名で、まるでボクサーのジョージ・フォアマンみたいですが、
健さん曰く「疲れますよ、やっぱり。ただ、座ると何となくもう・・・。だんだん精神的にファイトがなくなるような気がして、立っていたほうがいいなと・・・」。


大学卒業後の55年―われらが? マキノ家のマキノ光雄に「発見」され、東映ニューフェイス第2期生として東映に。

56年、『電光空手打ち』で映画俳優デビューを飾る。
ニューフェイスなのに準備期間を置かない、異例のスピードデビューでした。

200本以上の出演作がありますから、その代表作をドドドッと。

【56年】
『流星空手打ち』『大学の石松』『拳銃を捨てろ』

【57年】
『喧嘩社員』『無敵社員』『多情仏心』『血まみれの決闘』

【58年】
『娘十八御意見無用』『非常線』『ひばりの花形探偵合戦』『森と湖のまつり』

【59年】…この年に、江利チエミと結婚。(71年に離婚)

『旋風家族』『黒い指の男』『国際スリラー映画 漂流死体』『静かなる兇弾』

【60年】
『天下の快男児 万年太郎』『大いなる旅路』『ずべ公天使』『殴り込み艦隊』

【61年】
『べらんめえ芸者罷り通る』『男の血潮がこだまする』『悪魔の手毬唄』

【62年】
『二・二六事件 脱出』『恋と太陽とギャング』『三百六十五夜』『裏切者は地獄だぜ』

【63年】
『暗黒街の顔役 十一人のギャング』『暴力街』『ギャング忠臣蔵』

そして『人生劇場 飛車角』がヒットを記録する。

【64年】
『ジャコ万と鉄』『暗黒街大通り』『飢餓海峡』

【65年】
『顔役』『日本侠客伝 浪花篇』『日本侠客伝 関東篇』『昭和残侠伝』

代表作『網走番外地』のシリーズがスタートする。
『続 網走番外地』『網走番外地 望郷篇』『網走番外地 北海篇』

【66年】
『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』『日本侠客伝 血斗神田祭り』『昭和残侠伝 一匹狼』『日本侠客伝 雷門の決斗』

『網走番外地 荒野の対決』『網走番外地 南国の対決』『網走番外地 大雪原の対決』

【67年】
『日本侠客伝 白刃の盃』『昭和残侠伝 血染めの唐獅子』『日本侠客伝 斬り込み』

『網走番外地 決斗零下30度』『網走番外地 悪への挑戦』『網走番外地 吹雪の斗争』

【68年】
『日本侠客伝 絶縁状』『緋牡丹博徒』『人生劇場 飛車角と吉良常』『新 網走番外地』

【69年】
『緋牡丹博徒 花札勝負』『昭和残侠伝 唐獅子仁義』『緋牡丹博徒 二代目襲名』『日本侠客伝 花と龍』『新網走番外地 流人岬の血斗』『昭和残侠伝 人斬り唐獅子』『新網走番外地 さいはての流れ者』

【70年】
『新網走番外地 大森林の決斗』『昭和残侠伝 死んで貰います』『新網走番外地 吹雪のはぐれ狼』

【71年】
『日本侠客伝 刃』『新網走番外地 嵐を呼ぶ知床岬』『昭和残侠伝 吼えろ唐獅子』『新網走番外地 吹雪の大脱走』

【72年】
『関東緋桜一家』『新網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義』『昭和残侠伝 破れ傘』


このあたりでペースを落とし、、、というか、ここまでが驚異的に過ぎたのですが、1年に3~4本くらいに「抑える」ようになります。

似合い過ぎて笑ってしまう『ゴルゴ13』(73)、前述した『新幹線大爆破』、合作映画『ザ・ヤクザ』(74)、
『冬の華』(78)、『君よ憤怒の河を渉れ』(76)、『八甲田山』(77)、『幸福の黄色いハンカチ』(77)、『野性の証明』(78)、『遙かなる山の呼び声』(80)。
『駅 STATION』(81)、『南極物語』(83)、『居酒屋兆治』(83)、『夜叉』(85)、優作ばっかり褒められるけれど健さんだって悪くない『ブラック・レイン』(89)、
『あ・うん』(89)、『四十七人の刺客』(94)、『鉄道員』(99)、『ホタル』(2001)、
チャン・イーモウと組んだ『単騎、千里を走る。』(2005)、そして最新作が『あなたへ』(2012)。


・・・ふぅ、さすがに疲れます。

というかまず、80歳を超えていることに驚いてしまいます。

摂生しているのでしょうね、トップ画像には煙草CMを持ってきましたが、いまは吸っていないようですし・・・。


次回のにっぽん男優列伝は、高品格さんから。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『俺「も」、まだ本気出してないだけ。』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

にっぽん男優列伝(194)高岡蒼佑

2013-06-18 00:15:00 | コラム
82年2月8日生まれ・現在31歳。
東京出身。

公式プロフィール


高岡蒼佑(たかおか・そうすけ)くんの名が「隅々にまで」知れ渡ったのは、たぶん2011年。
本人の責任といったらそれまでだけれど、その話題は「演じる」ということからかけ離れていて、主演映画『さんかく』(2010)を気に入っていた自分は、呑み会などでよく「ちゃんと演技で評価しようよ」といっていました。
が、派手というよりは地味な演技スタイルでありましたから、派手な芸能ニュースに演技力が負けてしまうのはしょうがないといえば、しょうがないのかもしれません。

ツイッター上で唐突(に、見えました)におこなわれた「フジテレビの韓流推し」批判。それに端を発する、お台場でのデモ。
それが遠因になったかどうか、女優・宮崎あおいと離婚。

なんとなく「お騒がせ俳優」のイメージがついてしまいましたが、ナイスガイだとは思うのですけれどね。
軽率?
そうなのだろうけれど、若いってそういうところがあるんじゃないか、、、と肩を持ちたくなってしまうのは、アレヤコレヤで消えてしまうには「もったいない」才能の持ち主だから。

コツコツとキャリアを再構築し始めた現在に期待しつつ、ちょっと面白いなと思ったのは、数ヶ月前にバラエティ番組に出演し、藤原紀香と離婚した陣内智則が「君とは仲良くなれそう」と発したときでした。

照れ笑いを浮かべるだけで、なんのことばも返せなかった高岡くん・・・うん、やっぱり悪いヤツじゃないなぁと。




<経歴>

高校を中退後、米国に短期留学する。
帰国後に読者モデルを始め、そこでスカウトされたことから芸能界にデビューする。

俳優としてのデビュー作は、99年のテレビドラマ『天国のKiss』(テレビ朝日)。
翌年、『NINE』(2000)で映画俳優デビューを飾る。

同年、『バトル・ロワイアル』で生徒のひとり杉村弘樹を演じて注目される。
なかなか主演は張れないものの、『アカシアの道』(2001)や『青い春』(2002)、『blue』(2003)などで印象的な演技を披露し、映画通や業界内で評価されるようになっていきます。

2005年、井筒和幸による『パッチギ!』で李安成役を熱演、ほかのどの俳優よりも鮮烈な印象を残す。

『春の雪』(2005)、『シュガー&スパイス 風味絶佳』(2006)、『あしたの私のつくり方』(2007)、『クローズZERO』(2007、2009年の続編にも出演)、『GSワンダーランド』(2008)、『ROOKIES ―卒業―』(2009)、『ちゃんと伝える』(2009)、前述した『さんかく』、『十三人の刺客』(2010)など、メジャー/インディーズ双方で活躍。

ちなみに、あおいちゃんとは2007年に結婚。
そして2011年、前述したように「いろいろと、いろいろなことが起こり」ときのひとに。

所属事務所の移籍なども重なって「やや」失速しましたが、
『僕等がいた』の「前篇」「後篇」(2012)や若松孝二の遺作『千年の愉楽』(2013)など、作品の出来はどうあれ本人は快演。
最新作は『ROUTE42』(2013)で、ゆっくりとではありますが、ペースを取り戻しつつあるようで安心しています。

がむばってね。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(195)高倉健』

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャンク野郎の生きる道

2013-06-17 00:15:00 | コラム
月に少なくて2回、平均して3回はケンタッキーで鶏を買う。
回数にすれば「それほどでもねーな」という感じだが、1回で5000円ちかく飛ぶので、芸能人であればとっくにCMを任されているクラス? かと。

だから町田駅前店の店員さんも自分がレジ前に立っただけで「待ち構えている」風だったのだが、異動があったのか、自分の知るマネージャーさんやバイトさんがひとりも存在せず、ちょっと困った。
というのも平日の午前中である、5000円ちかくのテイクアウトがオーダーに入るとは思っていないはずで、ちょっと焦らせてしまうかもしれない・・・と。

そこまで考える必要もないのだが、
たとえば自分、コンビニで後ろにひとが並ぶというのが既にNGなのである、
いつも沢山買うから、、、というのもあって、だから混雑時などは客が少なくなるまで店内をうろつき、店員さんが「手すき」になった状態を見つけてダッシュでレジへ向かう。

東京で生きている割には繊細で、神経質に過ぎるかもしれない。
しれないが、そうすることが自分らしさにつながっていると思うので、やめようにもやめられない。

ケンタッキーに入店したこの日も、だから自分の後ろに並ぶお客さんに順番をゆずりまくった。
快く応じてくれる客ばかりではない、「え、なんで?」という顔をされたりもしたし、店員さんでさえ「なんだ、このひとは」という感じで自分を見る。
ヒトリゴトのように「沢山、頼みますから」と返したが、店員さん、その意味が分からなかったんだろうな。

で、やっと自分の番になる。

「―食べ比べパック3つ」
「はい、3つですね」

店員さん、当たり前のようにこれで注文が終わりだと思っている。
そうか、最後に「○○と」というように「と」をつけないと分かり難いわな。

「オリジナルチキン5ピースと」
「えっ、はい5ピースと」

ほれ、やっぱりもう終わりだと思っていたようだ。まだまだ甘いなアンちゃんよ。

「ぶっかけチキンのサンドを単品で」
「単品で、ですね」

「それと、ツイスターのペッパーマヨ味」
「・・・ペッパーマヨ」

ちょっと申し訳ない気もしたが、動揺し過ぎなんじゃないか・・・とも思った。
気持ちが表情に出過ぎている、格闘技じゃ勝てないよ。

「以上でよろしいでしょうか」
「これでチキンは、17ピースになりましたよね?」
「はい、そうです」
「じゃあ、以上で」

スターバックスの店員をやっている子に「グランデ」(いちばん大きいサイズ)を頼む客は厄介だと聞いたことがある、
マックでバイトをしていた子も「クォーターパウンダーを3つくらい頼まれると、ちょっとパニックになる」といっていたっけ。

ファストフードの鉄則は「早く提供すること」であるからして、大量注文に応えることがメインではないから、、、なのだろう。

甘いぜ坊ちゃん、そんなんじゃ21世紀を乗り切れないぞ。

「―少々、お時間いただけますか」
「りょーかい。そのつもりで来てますから、ほかのお客さん優先していいっすよ」
「いえ、それはさすがにちょっと、、、」

ここにきてやっと、自分がほかのお客さんに順番をゆずっていた理由が分かったんじゃないだろうか。


ケンタッキーだけでない、
基本、マクドナルドでも同じ注文の仕方をするし、前述したようにコンビニでもほかのお客さんに気をつける。
気を「使う」というよりは、「つける」のほうが適切かなと。

大喰らいで大量消費主義者であることを自覚しているからの、それなりの処世? 術。


そうすることが気持ちいいからやっているのであって、けっして「えらい」とは思わないが、
ときどき見かける「順番抜かし」や「順番で揉める客たち」に比べたら、自分、なかなかスマートじゃね? などと自分を褒めてみたくもなるのだった。


※というわけでベタだが、レニクラの名曲を。
かっけー!
チョーかっけー!!




…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(194)高岡蒼佑』

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シネマしりとり「薀蓄篇」(44)

2013-06-16 00:58:43 | コラム
たーびゅらん「す」→「す」てぃぐま(スティグマ)

キリスト教を鍵とする米産のホラー映画は多い。

6月6日、午後6時に生まれたダミアンを主人公とする『オーメン』(76)の「666」とは、新約聖書において「獣の数字」とされている。

『13日の金曜日』シリーズ(80~)が、なぜ13日の金曜日を惨劇の日に選んだのかというと、
事実というより「説」になるが、英語圏の国で13日の金曜日が不吉とされているから。
日本の「4」と同じようなものだと思うが、キリスト最後の晩餐に13人の人物が居たため・・・などともいわれており、やはり宗教と無関係ではないらしい。

悪魔と神父の戦いを壮絶に描いた『エクソシスト』(73)、悪魔祓いのために神父が登場する点では共通している『悪魔の棲む家』(79)、
「悪魔の感染症」を描くスペイン産の『REC』(2007)、
出エジプト記による「十の災い」をモチーフにした『リーピング』(2010)などなど。

知っているようで、ぜんぜん知らないキリスト教関連のこと。
あるいは知っていても「映画から授かったこと」ばかりで、もちろん聖書は読んだことがない。
『沈黙』(遠藤周作)は読んだが、『薔薇の名前』(ウンベルト・エーコ)は未読。

なのに(もちろんジョークだが)ジーザスクライスト!! とか叫んでみたりする。
米国人がブッダ! と叫んでも面白くないわけで、つまり自分のそうした言動は「そーとー」イタいと思われるが、ついついやってしまう。

その程度の知識にも関わらず、上記の映画は充分に日本の映画小僧を怖がらせてくれる。
映像の力というものだろうが、その世界について詳しければ「もっと」怖かったのかもしれない。

さて。
その程度の知識にも関わらず、自分が「ぎりぎり」知っていたこと。

聖痕、英語でスティグマ(stigma)。
簡単にいえばキリストが磔になった際、身体に出来た5つの傷。

釘を打たれた左右の手足で4つ、さらに、ロンギヌスの槍による脇腹に出来た傷で5つ。
これらの傷が「熱心なキリスト教信者」の身体に現れたという、科学的に「?」な事例も沢山報告されていて、そのあたりを背景にした映画が『スティグマータ』(99)である。

可愛らしい声の持ち主としても有名なパトリシア・アークエットがヒロインを演じ、彼女の魅惑的な声が恐ろしく野太い声に変わるところなど面白かったが、この映画のユニークな点は、ヒロインを「無神論者」と設定したこと。

これにより、調査に訪れたアンドリュー神父(ガブリエル・バーン)もスティグマとは無関係なものだと判断するのである。

パトリシア好き、、、というよりアークエット姉妹のファンなので、劇場公開初日に観に行った。

入りは3割程度。
その内訳が、なんとなく面白かった。
自分のように「パトリシア目当て」の映画小僧が4割、宗教に興味を抱いているような「頭よさげ」な中年紳士? が3割、「怖がりたい症候群」を患うホラー好きの女子が3割。
もちろん自分の予想でしかないが、けっこう当たっているような気がする。

はっきりいえるのは、こういうタイプの映画はスマッシュヒットこそ記録しないが、いつの時代でも「ある一定のファン」を獲得出来るもので、だから無事に? 劇場公開を果たせる。


ちょっと意外だったのが、制作にB級映画の帝王ロジャー・コーマンが名を連ねていること。
コーマン印にしては「いかがわしさ度」は低めで、あぁこういうのも創るのだな、、、と新鮮な感動を覚えた。






次回のしりとりは・・・
すてぃぐ「ま」→「ま」りーごーるど。

…………………………………………

本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『ジャンク野郎の生きる道』

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする