80年代の肉体派アクション映画で育ってきた世代として、アーノルド・シュワルツェネッガーの「ブリジッド・ニールセンと浮気していた」という告白は、なかなかに衝撃的だった。
セレブならいちどに複数との浮気もあるだろう、だからその内容には驚かない。
ただ、相手が問題だったのである。
ニールセンとは、当時のシルベスター・スタローン夫人。
3人とも、マッチョ。
しかも度を越した。
マッチョは、やはりマッチョに発情するということなんか?
その図を想像すると、興奮なんかしない。
呆れることもない。
ただなんか、怖いよねと。
というわけで、きょうは俳優の身体性(=躍動する筋肉)が活きた映画の10傑を展開。
マッチョな俳優によるアクション映画だけでなく、俳優の身体(筋肉)が効果的に扱われた? 映画に注目してみたので、一見、なんの統一性も見出せないようなリストになったかもしれない。
ランキングの前に、もう少し俳優の身体について。
たとえば北野武が渡嘉敷勝男や薬師寺保栄といった元ボクサーを好んで起用するのは、「即物的な暴力描写にリアリティをもたらすと思ったから」なんだそうだ。
武は「あんまりうまくいかなかった」と語っているけれど、いやいや、けっこう効果があったんじゃないかな~。
元ボクサーならではの構えとか、しぐさ・・・というものではなくって、身体そのものの存在感。
武が期待したのは「たぶん、そこ」で、それがうまくいかないと、以下のワースト3のような「寒い映像」が出来上がる。
(1)『スペシャリスト』(94)
シルベスター・スタローンとシャロン・ストーンのラブシーンは、ぜんぜん色っぽさを感じない。
なんというか、「ふたり夏季五輪」みたいだった。
結果、印象に残るのはグロリア・エステファンのテーマ曲だけなのである。
(2)『プロテクター』(85)
成龍ジャッキーのよさが、まるで出ていない。
それもそのはず、米出資のB級アクションとして制作されたこの映画の監督は、成龍がどういう俳優なのかをまったく知らなかったのだ。
(3)『ホームボーイ』(88)
ミッキー・ロークが「俺様状態」だったころに創られた珍品。
ロークがボクサーに見えないのが致命的で、ゆえに、ボクシング映画史上で最も緊張感のない作品となっている。
ただ、当時はボロカスいわれたが、この時代があったからこそ、現在の「枯れたミッキー」が存在出来るわけで、人生ってほんとうに面白いなぁ、、、とは思う。
では、俳優の身体性(=躍動する筋肉)が活きた映画の10傑とはどんなものなのか。
あくまでも私見だが、こんなバラエティに富んだ10本がそろった。
(1)『トータル・リコール』(90…トップ画像)
シュワ氏ではなく、「偽嫁」を演じたシャロン・ストーンのほう。
このキレのある動きは、志穂美悦子と互角の戦いを繰り広げられると思う。
(2)『タクシードライバー』(76)
腕立てや懸垂だけでなく、腕を火に近づけたりする謎のトレーニング? もおこない、不摂生断ちを試みるトラビス。
そのおかげかどうかは分からないが、売春宿に巣食うクソどもを、たったひとりで退治したのだった。
(3)『スパルタンX』(84)
沢山の主演作で様々なアクションを披露している成龍だが、冒頭にカンフーのトレーニングシーンが描かれる本作こそ、成龍の身体性を最も分かり易い形で提示しているのではないかと。
スケボーを駆使したファストフードのシーンなど、その最たる例だと思う。
(4)『ターミネーター2』(91)
こちらもシュワ氏ではなく、ヒロインのリンダ・ハミルトンを。
前作では柔らかそうな身体だったのに、数年でシャープに。
その身体の変化で、それまでの彼女の物語(苦難)が想像出来る仕組みになっている。
(5)『ロッキー2』(79)
前作の冷凍肉も素晴らしい小道具だったが、本作のニワトリには敵うまい!!
ニワトリを追い回してフットワークを鍛えるというシークエンスは、映像としても物語としても面白くて二重丸だと思う。
(6)『Shall we ダンス?』(96)
映画としては、大嫌いなタイプ。
しかし真夜中にハンガーで背中を固定してダンスの練習に励む役所広司の姿には、素直にジンときた。
このシーン以降、役所さんの動きがしなやかになっていて、俳優ってすごいなと感心したものである。
(7)『ニキータ』(90)
素早い動きが要求されるであろう暗殺者は、やはりシャープな体つきのほうがいい。
そう考えると、ジャン・レノ(=レオン)は、ちょっと図体がでか過ぎるような気もする。
(8)『ファイト・クラブ』(99)
デジタル社会へのアンチを唱えるかのような、ブラッド・ピットの身体。
彼は饒舌だが、じつはヒトコトも喋る必要がなかったのかもしれない。
身体そのものに、思想や哲学が刻み込まれているのだから。
(9)『キル・ビル』シリーズ(2003、2004)
日本刀がこれほど似合う西洋女子が存在することに、まず驚いた。
長身のユマ・サーマンは香港映画の色調にも染まることが出来て、このあたりにも、QTの女優選びの確かさがうかがえる。
(10)『TOKYO FIST』(95)
リングに上がれないなら、リング外で戦ってやる。
次々に肉体改造を試みるヒロインを藤井かほりが大熱演、演技力どうこうでは語れない映画ってあるんだな、、、と思い知らされた映画小僧なのだった。
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明日のコラムは・・・
『年末年始企画(6)キュンキュン映画10傑』
セレブならいちどに複数との浮気もあるだろう、だからその内容には驚かない。
ただ、相手が問題だったのである。
ニールセンとは、当時のシルベスター・スタローン夫人。
3人とも、マッチョ。
しかも度を越した。
マッチョは、やはりマッチョに発情するということなんか?
その図を想像すると、興奮なんかしない。
呆れることもない。
ただなんか、怖いよねと。
というわけで、きょうは俳優の身体性(=躍動する筋肉)が活きた映画の10傑を展開。
マッチョな俳優によるアクション映画だけでなく、俳優の身体(筋肉)が効果的に扱われた? 映画に注目してみたので、一見、なんの統一性も見出せないようなリストになったかもしれない。
ランキングの前に、もう少し俳優の身体について。
たとえば北野武が渡嘉敷勝男や薬師寺保栄といった元ボクサーを好んで起用するのは、「即物的な暴力描写にリアリティをもたらすと思ったから」なんだそうだ。
武は「あんまりうまくいかなかった」と語っているけれど、いやいや、けっこう効果があったんじゃないかな~。
元ボクサーならではの構えとか、しぐさ・・・というものではなくって、身体そのものの存在感。
武が期待したのは「たぶん、そこ」で、それがうまくいかないと、以下のワースト3のような「寒い映像」が出来上がる。
(1)『スペシャリスト』(94)
シルベスター・スタローンとシャロン・ストーンのラブシーンは、ぜんぜん色っぽさを感じない。
なんというか、「ふたり夏季五輪」みたいだった。
結果、印象に残るのはグロリア・エステファンのテーマ曲だけなのである。
(2)『プロテクター』(85)
成龍ジャッキーのよさが、まるで出ていない。
それもそのはず、米出資のB級アクションとして制作されたこの映画の監督は、成龍がどういう俳優なのかをまったく知らなかったのだ。
(3)『ホームボーイ』(88)
ミッキー・ロークが「俺様状態」だったころに創られた珍品。
ロークがボクサーに見えないのが致命的で、ゆえに、ボクシング映画史上で最も緊張感のない作品となっている。
ただ、当時はボロカスいわれたが、この時代があったからこそ、現在の「枯れたミッキー」が存在出来るわけで、人生ってほんとうに面白いなぁ、、、とは思う。
では、俳優の身体性(=躍動する筋肉)が活きた映画の10傑とはどんなものなのか。
あくまでも私見だが、こんなバラエティに富んだ10本がそろった。
(1)『トータル・リコール』(90…トップ画像)
シュワ氏ではなく、「偽嫁」を演じたシャロン・ストーンのほう。
このキレのある動きは、志穂美悦子と互角の戦いを繰り広げられると思う。
(2)『タクシードライバー』(76)
腕立てや懸垂だけでなく、腕を火に近づけたりする謎のトレーニング? もおこない、不摂生断ちを試みるトラビス。
そのおかげかどうかは分からないが、売春宿に巣食うクソどもを、たったひとりで退治したのだった。
(3)『スパルタンX』(84)
沢山の主演作で様々なアクションを披露している成龍だが、冒頭にカンフーのトレーニングシーンが描かれる本作こそ、成龍の身体性を最も分かり易い形で提示しているのではないかと。
スケボーを駆使したファストフードのシーンなど、その最たる例だと思う。
(4)『ターミネーター2』(91)
こちらもシュワ氏ではなく、ヒロインのリンダ・ハミルトンを。
前作では柔らかそうな身体だったのに、数年でシャープに。
その身体の変化で、それまでの彼女の物語(苦難)が想像出来る仕組みになっている。
(5)『ロッキー2』(79)
前作の冷凍肉も素晴らしい小道具だったが、本作のニワトリには敵うまい!!
ニワトリを追い回してフットワークを鍛えるというシークエンスは、映像としても物語としても面白くて二重丸だと思う。
(6)『Shall we ダンス?』(96)
映画としては、大嫌いなタイプ。
しかし真夜中にハンガーで背中を固定してダンスの練習に励む役所広司の姿には、素直にジンときた。
このシーン以降、役所さんの動きがしなやかになっていて、俳優ってすごいなと感心したものである。
(7)『ニキータ』(90)
素早い動きが要求されるであろう暗殺者は、やはりシャープな体つきのほうがいい。
そう考えると、ジャン・レノ(=レオン)は、ちょっと図体がでか過ぎるような気もする。
(8)『ファイト・クラブ』(99)
デジタル社会へのアンチを唱えるかのような、ブラッド・ピットの身体。
彼は饒舌だが、じつはヒトコトも喋る必要がなかったのかもしれない。
身体そのものに、思想や哲学が刻み込まれているのだから。
(9)『キル・ビル』シリーズ(2003、2004)
日本刀がこれほど似合う西洋女子が存在することに、まず驚いた。
長身のユマ・サーマンは香港映画の色調にも染まることが出来て、このあたりにも、QTの女優選びの確かさがうかがえる。
(10)『TOKYO FIST』(95)
リングに上がれないなら、リング外で戦ってやる。
次々に肉体改造を試みるヒロインを藤井かほりが大熱演、演技力どうこうでは語れない映画ってあるんだな、、、と思い知らされた映画小僧なのだった。
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明日のコラムは・・・
『年末年始企画(6)キュンキュン映画10傑』