「童子」の清水雪花さんの第一句集です。
雪という白いイメージの俳号をお持ちの雪花さんの句集の表紙がこんな鮮やかな真紅とは、意表をつかれました。
玲瓏って何だろう。龍のことかな。と思いながら調べたら、
①金属・玉などがさえた美しい音で鳴るさま。また,玉を思わせる美しい声の形容。
②玉のように美しく輝くさま。さえて鮮やかなさま。
とありました。うーん、すばらしく美しいって感じでしょうか。
雪花さんは、薬剤師さん。ばりばりのリケジョです。でも現在の俳壇の礎を築いた俳人の多くが、医師など理系だったこともある。思いを表に出さない俳句は、理系の頭を持つ方に向いているのかもしれない。
枯菊にたつぷりと日の当たりけり
扇ぐでも閉ぢるでもなく秋扇
混浴のやうな足湯や梅の昼
深爪をしたる八十八夜かな
水温み百本洗ふ試験管
美人湯にスリッパあふれ寒の雨
草花が枯れても、ちゃんとそこには日が当たっている。この目がやさしい。
普段、句会もご一緒する機会は少ない雪花さんですが、お見かけした姿は凜として、まさにリケジョ。でも、この句集を読んで、ご家族を大切になさっている様子、病と向き合っている様子が伝わってきて、胸が熱くなりました。