fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

お知らせ・防備録。
記事および画像の無断転用はお断りいたします

Information

『アゲイン アゲイン』(あかね書房)『わくわくもりのはいくえん はる おともだちできるかな』『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~4巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

第21回俳句甲子園 関東大会(東京会場)in羽田空港

2018年06月10日 | 俳句
 昨年、初めて俳句甲子園を観戦し、すっかりはまった私。(以下、長文です)
 今年は諸事情で、松山には行けず、東京会場のみの観戦となりました。

 東京会場は、関東地区大会ということで、千葉や茨城の高校も含め、2会場で行われました。
 身はひとつ。なので「童子」編集長である佐藤明彦氏が審査委員長をつとめる第2会場を観戦。こちらの審査員には、髙柳克弘氏もいらしたのもよかったです。

  第一会場(バックに、飛行機の離着陸)
 ただ、昨年の全国優勝佼、開成高校が2チームとも第1会場ということで、うーん、開成の句やディベートもリアルタイムで見たかったなあとは思いましたが。

 開会式。審査員を代表し、髙柳克弘氏が挨拶されました。

 1 びびらない。  びびりは言葉を濁らせる。
 2 あせらない。  鋭い質問にあせって、しどろもどろにならないように
           言葉は、相手に届かないといけない。
 3 あきらめない。 言うことが尽きてしまうことがあるが、持ち時間を使い切ってほしい。

 と、勝ち上がるための3つの「ない」を伝授。これって、他の場面でも、通じることだなあ。特に、言葉は相手に届いてこそのもの、というところ。ホント。

 第2会場では、海城高校Bチームが松山への切符を手にしました! おめでとうございます。

 一つだけ、対戦をご紹介します。

 赤 春眠より靴紐結ぶごと覚める     6(1)・7・9(1)・6(1)・7
 白 春眠に消えた土曜の謎を追え!    6・6・6(1)・7・6・9(1)
 
 4対1で、赤の勝利。( )内は、鑑賞点、ディベート分の加点です。
 でも、白に9点をつけた審査員も。「ああ、俳句甲子園に来たな!」と思ったそうです。
 確かに、こういう句、私達は作りませんからね。

 髙柳克弘さんは、 両方ともびっくりする俳句だったが、赤は驚きと共感のバランスがいい。白は、謎の答えが(一日寝ていたんだ)ということがすぐわかる。答えが出ている。との評でした。

 第2会場の最優秀句は、

 蛙踏むシェークスピアの幕開けよ  千葉県立総合幕張高校  でした! 
 
 正直言って、句会でこの句が出た場合、迷うかもしれません。シェークスピアの劇が始まる。そのときに、蛙を踏んだということなのでしょうか? 読みの難しさ、でも読み手の心をゆさぶるものがある句。審査員の評価は全員が8点と安定していました。

 また、
 
 蜜豆を待ちたる雨上がりの街  立教池袋

 の対戦後、「中7から下5にかけての句またがりが、この句に適切だったか」 という髙柳さんのご指摘。そして、佐藤明彦さんが、「この句またがりが適切だったどうか」をまず、ディベートでは真っ先につっこみ、そこをしっかり議論するべきだった」と。そして後藤章さんは、「自分はこの句またがりは、OKと思うと」。
 各審査員の先生のご指摘が、新鮮でした。

 他に私が好きだったのは、

 水性の街のぼやけて蛙をり    海城A 
 母蛙卵密かに引きずれば     総合幕張A
 春眠の氾濫原に立ちにけり    海城B
 蛙鳴く沼地に不意にバイブ音   総合幕張B
 春眠や鞄は街の色をして     立教池袋B
  

 5人の審査員の先生達の評価が一致というのはほとんどなく、俳句観はそれぞれ。その辺りも観戦しておもしろいと感じるところです。
 ディベートの点で、勝ち負けがわかれてしまう場合も多く、俳句は自分で作るだけではなく、他の人の句をどう「読む」かが大事な文芸なので、聞いていておもしろかったです。


 第2会場の結果が出てから、よしっと第1会場へ行ってみたら、まさにラストの決勝が行われていました。

  第一会場 羽田空港利用者が、階段から、2階3階からも観戦できるというスペース

 開成高校Aチーム対立教池袋Aチーム。このディベートが白熱していて、すごかった。皆さん、すばらしいですよ。開成高校敗れましたが、このあと投句審査があり、その審査次第では松山行きの可能性が残っています。きっと・・・。そして、松山で再び怒濤の戦いを繰り広げてくれるのではないでしょうか。
 
 今年は、第一会場に、海城AB、千葉県立総合幕張AB、が、そして第二会場に、開成ABが、という抽選結果になったため、同じ高校チーム同士の対戦も(海城)出てしまいました。

 最後、第二会場審査委員長、佐藤明彦さん(「童子」編集長)が、「きつい事を言われてもめげないように。全部ひっくるめて、俳句って楽しい。」とおっしゃいました、途中の句評でも、「普段おじいさんおばあさんとばかり句会をしているので、新鮮な気持ちになれた」とも。全くもって同感です。

 後藤章さんは、「俳句は筋肉と同じ。毎日作らないと向上しない」と。まったくです……。
 日頃、閉ざされた結社内にいるので、(特に東京会場は)審査員の先生が、俳壇の第一線で活躍されている方なので、その俳句観を拝聴できるという贅沢な場でもありました。(しかも、無料)

 あー、楽しかった! 
 

 他の地方からも、続々と松山行きが決定されることでしょう。高校生の皆さんを、心から応援しています! 

(*長々と書きました。全部読んで下さった方、ありがとうございます。相変わらずの勢いで書いていますので、誤字などがありましたら、御容赦ください)