fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

お知らせ・防備録。
記事および画像の無断転用はお断りいたします

Information

『そこに言葉も浮かんでいた』(新日本出版社)『アゲイン アゲイン』(あかね書房)『わくわくもりのはいくえん はる おともだちできるかな』『みちのく山のゆなな』(国土社)『ファミリーマップ』、エンタメシリーズ『家守神』1~5巻、『おはようの声』幼年童話『ヘビくんブランコくん』『オンチの葉っぱららららら♪』、短編集『友だちの木』・歴史物語『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』他、好評発売中です。各種ご依頼は、左側のメッセージからお願いいたします。    

『ゆうなとステービー』堀米薫作・丸山ゆき絵(ポプラ社)

2018年10月18日 | 本の紹介
        

 宮城県角田市在住作家、堀米薫さんが絵本を出されました!!
 堀米さんの本は、何度もご紹介させていただいていますが、絵本はたぶん初めてではないでしょうか。
 農業と酪農をやりながら、作家活動をされている方ならではの本を出し続けていらっしゃいます。

 このたびの絵本もまさに!

 ゆうなの家に子牛が生まれます。難産の末に生まれた牛は、目が見えなかった。実際に堀米さんのところであった出来事です。育てた牛は出荷し、食肉となるので、普通は名前をつけないのだけれど、盲目の牛を育てるにあたって、「スティービー」という名前をつけ、普通の何倍も手間暇をかけ育てたのです。
 
 ゆうな視点で、その様子が丁寧に描かれています。
 丸山さんの絵は、優しくかつ迫力があります。冒頭の出産シーンは、息づかいまで伝わってくるようです。
 また、見えない牛の青い目がなんとも、悲しい。

 堀米さんは、何年も前に「季節風」にルポを書いてらっしゃいました。食肉として牛を出荷する凜とした農家の姿でした。「ドナドナドーナ♪」という歌がありますが、そんな感傷的なものではない、というようなことを書いていらした記憶があります。
 やがてスティービーも、出荷の日がやってきます。

 私達がいただいている「命」は、こうして生きていたものたちのものなのだという、まさに食育。
 この一冊の絵本で、それが語られています。

 すばらしい絵本のご上梓、おめでとうございます。
 たくさんの子供達に、そして大人にも読んでもらいたい絵本です。