たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

舟石新道は鹿道だった

2011年01月10日 | 足尾の山
◎2011年1月9日(日)

 11月に歩いた時は、舟石新道に巡り会えず、1,251mピークに登ってしまった。その際、尾根を南の鞍部まで下れば、新道に出会えたはずなのに、さっさとあきらめてしまった。その後、見事に新道を歩いたばかりか、塔の峰まで往復されたハイトスさんのGPSルートを見る限り、新道部分は高度の低い場所を歩かれている。自分は、不安さから、つい、高みに出てしまうクセがある。今回はできる限り、低地で歩くよう心がけることにしよう。

 備前楯山の駐車場に向かう。庚申山のゲート前カーブは雪まじりの凍結だった。その先も3か所の凍結。靴をどうしようか迷っていたが、あの状況では、登山靴では危険だろう。積雪状況が半端だ。積雪がなくとも、凍結は覚悟だ。だからといって、その都度、軽アイゼンを付けるわけにもいかない。今日の靴は鋲付きのゴム長にした。駐車場には車が4台。いずれもハンター。荷台に猟犬用のケージを積んでいる。

(お初にお目にかかります)


 7時40分出発。今日こそは新道に出会いたい。とにかく、歩き回ってみよう。林道に出てすぐに、適当な踏み跡から入る。住居跡。そして、また、つい上に向かってしまった。縦横する踏み跡がすべて新道に見える。前回と同じ轍を踏みそうになり、一段階下の踏み跡に降りる。そこは、下が林になっているところで、コンクリの標柱が置かれていた。何となく怪しいと思い、そこいら中探し回ったら、何と四角いブリキが目に飛び込んだ。これがまさしく、舟石新道のマーク。お会いしたかった。と、簡単に記すが、これに出会うまで、出発から20分かかった。

(今のところ道幅もある)

(こんな標識も)

(そしてこんなのも)

(凍結箇所も鋲付きゴム長でクリア)


 どこまで辿れるか分からない。とにかく、道沿いに歩くことにする。確かに、ハイトスさんの記載通り、庚申山に向かう方向よりも、舟石峠に戻る方向側から目にするマークが多い。しばらくは、正しいルートを歩いているのか心配になり、何度も振り返ってはマークを確認する。幅広のところもあったり、道は意外にしっかりしていた。今でも使われているかのような道だ。その理由が後で分かる。不明瞭な部分があっても、先に目をやると、ブリキマークが見えるといった具合に、マークの間隔は短い。しばらくは上り調子。枯葉が堆積し、膝まで来るところもある。やがて、凍結箇所が続くようになる。やはり、鋲付きゴム長で正解だったようだ。少なくともしばらくは。ほどなく、1,251m三角点の南尾根鞍部を通過。

 この新道、全体が、山の斜面にしつらえたように、トラバース道になっていて、尾根を登ることはない。先を見ながら、あそこをどうやって越えるのだろうと思うようなところも、うまく迂回してくれる。薄暗いところもなく、疎林の中か展望地を歩く。標高1,350から1,400mあたりに達すれば、あとはほぼ平坦のようだ(今回は途中で戻ってきたため、断言はできないが)。春先には、気持ちのよい歩きが楽しめるだろう。小沢もところどころ通っている。だが、如何せん、長い。庚申山まで行くのなら、いい加減に見切りをつけて、適当な尾根を塔の峰のある尾根に出て、そのまま庚申山に向かった方が、汗をかき、疲労を覚悟なら早いだろう。

(鹿道を追う)


 雪が出てくる。しかし、この新道に沿った雪面にしっかりした踏み跡が続いている。ハンターだろうか。よく見ると、人様の足跡ではなく、すべて鹿の踏み跡。横道に逸れるのもあるが、ほぼ正確に新道を辿っている。ここで、舟石新道健在の理由が分かった。一概にそうとも言えないだろうが、鹿道に化していたわけだ。鹿が歩かなかったら、廃道になって半世紀かよくは知らないが、ヤブ道になっているはずだ。この鹿道も食わせもので、マークを確認せずに鹿道頼りにしたら、ルートを外れてしまった。鹿を追う者、山を見ずか。

 雪が多くなり、ゴム長に入るようになる。縛りヒモも効かない。久しぶりに杖をダブルで使う。1本のストッパーがバカになっている。こんな時にと腹立たしい。一旦、全部、抜いてばらし、収め直したら直った。鹿も、雪が深いところには入らないようだ。鹿道は上に向かっている。しばらく、深さを測りながら、斜面を不安定に歩く。マークがある以上、それに合わせるしか、今日のところは手がない。もう少しで1,455.9m三角点だ。せめて、そこまでは行ってみたい。ここまで来られただけでも幸いだ。鹿が3頭駆け出し、猿がノソノソと横切った。

(日ヶ窪峠)

(庚申山が見える)

(1,455.9m三角点)


 三角点のある尾根の手前にも南東に下った尾根がある。ここで、新道が向きを変える。おそらく、ハイトスさんはここで迷われたのだろう。鋭角的にカーブしている。ここは休憩するにはいい場所だ。ちょっと広くなっている。辺りは鹿フンだらけ。トラバースもここで終わった。そして、雪が若干少なくなり、また鹿道になった。10時22分、日ヶ窪峠に到着。「日ヶ窪峠」の標識はないが、マークが多い。三角点まで行ってみた。雪に埋まった三角点を掘り起こして写真を撮る。南東方面の展望がいい。地形図では、ここから南に尾根が延びている。下を見ると、テープが巻かれている。この尾根を歩く人もいるようだ。風が強くて冷たい。音を出して流れて来る。

(大岩の景色)

(舟石新道の道型が続いている)

(しかし歩きづらい)


 積雪があるのでは、この辺で今日の探索は終わりにしてもいいのだが、鹿道がまた現れたのでは、もうちょっと先まで行ってみることにする。やがて、雪も消え、左側に大岩が出てくるようになる。南面が開けた展望地に面して、新道の道型がずっと続いているのが見える。道型とはいっても、道にはなっていない。草が固まって歩きづらいし、狭い。ちょっと表現が難しいが、道を造った際の、掘削した工事部分の名残が道型として残っているといったようなものだろうか。鹿は、ここを通らないのだろうか。歩いてくれればいいのに。

(袈裟丸)


 やがて、雪がまた現れ、鹿の踏み跡はか細くなっている。10時45分、歩き出しから3時間経過している。ちょうどいい引き際かもしれない。この先の積雪状況が分からないし、ましてゴム長だ。ゴム長歩きの限界。猿田彦神社跡まで行ける自信はない。雪が融けてから、改めて、反対側から歩いてみることにしよう。ちょうど、新道の半分は歩いたから、満足もした。しかしながら、舟石新道を使って、庚申山を往復していたら、8時間以上はかかるのではあるまいか。

(落ち葉の深さは膝まで来る)


 来た道をそのまま戻る。展望地からは筑波山が見えた。ここずっとつきまとわれている。遠くで犬の吠え声と銃声。こんなところまでハンターが入っている。帰りはやはり楽だ。振り返ると、遠く、白い塔の峰が見えた。雪があると、遙か遠くに見える。今度こそ、取り付きを確認しようとし、新道に出会った林の上部まで至る。その先はどうなっているのか、左側・北東面は切れ、林の中を右側に下るしかない。この先で、マークを見つけたのが最後。ぐるぐる回ったが続きを見つけることはできなかった。そのまま下って、「土神社碑」の看板前に出た。隣には鳥獣観察小屋。

(そして出口)


 「銀山平1.7km」の標柱の脇の踏み跡に合わせて直進、左折し、林の中を登って上部に出る。そこで舟石新道に合流か。今度行く時、また迷わなければいいが。駐車場には自分の車がぽつんと1台。12時53分。男体山は上が見えない。せっかくだから、景色を見、震えながらラーメンを作って食べた。日陰のせいか、路面はまだ凍結している。朝、庚申山ゲート前に車が3台あったが、ここももう1台だけになっていた。

(カシミール3Dで作成してみた。初の試みの自分には、これ以上の加工は無理な相談)


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4 コメント

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幸先いいではありませんか! (ぶなじろう)
2011-01-10 18:59:47
今晩は。
何にしても早い行動で、恐れ入りました。取り敢えず、舟石新道発見おめでとうございます。ロックンローラー氏曰く、「入り口さえ見つければ、うるさい位にマーキングがあるので迷わない。全面的にトラバース道で片足が異常に疲れた。」と、のたまわっておりました。どうも、その通りの感じでしょうか?とは言え、雪が被ったらさらにきつくなりますね。
全踏査は、雪消えの後でしょうか。益々楽しみです。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-01-10 21:04:57
こんばんは。
まさに、そのロックンローラー氏の言質通りでした。舟石よりも、庚申山側から歩けば、マークが目に付き、迷いの度合いは少ないでしょう。ただ、入口探しはそちらがやっかいかも。
「片足が異常に疲れた」とは、言い得て妙な表現ですね。全線歩けばそうだったかもしれませんね。
私の場合、半分ながらも、往復でしたから、幸い、両足がバランスのとれたのでしょうか、痛みはありませんでした。
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舟石新道 (ハイトス)
2011-01-10 23:50:21
お疲れ様でした。
最初の画像を見て、こんなに歩いている人が多いのかとびっくりしましたが、なるほど鹿道になっているとのことで納得。
誘われてミスコースも雪の道ではしょうがないですね。
そして又きちんとそのまま戻っているのが軌跡から判りますが、えらいなぁ・・自分ならなるべくショートカットやトラバースを試みそうです。。
たそがれさんはきちんとやまやの鉄則どおり早出で早上がりなのですね。
今回のレポを見ていて、せっかくあそこまでいったのならば残り2/5ほどで11時前・・・、もったいないなぁの感想もないではありませんが、この先は雪の状態もわかりませんから致し方ないところですね。
カシミール3Dの地図ですが、十分だと思いますが。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-01-11 05:52:13
おはようございます。
日常生活も早寝早起きでやっています。
さて、早速、ありがとうございます。あの先ですか。おそらく、最終点まで行けたとしても、1時は過ぎていたでしょう。雲行きも怪しくなり、とにかくいろいろな面で不安で、行く自信はありませんでした。
雪解け後でもいいのですが、何やら、大型動物が出てきそうな雰囲気はありますね。
軌跡の件、あんなのでよかったら、これから出すようにしますよ。国土地理院からの許可は得ていないのですが。
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