たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

ふたたび南牧村の滝見物。雪降り中の滝見は初めてだったかも。象ヶ滝ついでに熊倉不動滝。そして銚子の滝。

2020年12月22日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2020年12月19日(土)

 ここのところ沢やら滝がメインになっているが、これは致し方ない。季節外れを承知で、ヤマビルが大人しくなっているから行っている。一回でもヤマビルにやられたら、二度とゴメンになるものだ。暑いから涼しい沢へなんて発想は起きなくなったし、氷瀑になってしまったら、むしろ自分の趣味ではなくなる。さりとて、この時期に山奥の滝を選べば、物好きしか行かないのでは、事故でも起こしたら、連絡もできずに最悪は死に至る。となると、どうしても無難なチョイ滝めぐりになってしまう。
 実はそろそろ富士山見物の山登りをしたいのだが、富士山ライブカメラを見る限り、山頂の冠雪はわずかなもので、せめて頭から下3割の雪が欲しい。毎日、情報を見てはいるが、群馬県北部やら日本海側では記録的な大雪なのに、何で富士山はまばらな頭のままなのだろう。やはり、日本の象徴の山は雪に包まれた姿が神々しい。
 ということで、先週は南牧村の薬師の滝だけで終わったが、その続きをすることにした。候補として、南牧三名瀑の一つ象ヶ滝と銚子の滝、二つの本山の滝(一つは「マムシの滝」ともいうらしい)と不動滝。

 行きは高速を使ったが、そもそも出発が遅く、せいぜい四時間回りだと想定していたから、犬の散歩を終えてから家を出て、熊倉不動滝の上の橋近くの路肩に車を置いて歩き出したのはすでに10時近かった。ここに着くまで、車道は、路面が濡れた状態から、南牧村に入ると凍結になり、やがて雪になっていた。みなかみの大雪はともかく、こちらも雪が降っていたとは予想もしていなかった。もちろん、タイヤは冬用にしてあるから不安はなかった。

【象ヶ滝】
 先ずは象ヶ滝。以前は滝寸前まで車で入れたようだが、今は道が崩れて手前から歩かねばならないようだ。車で少し先までは行けそうだが、帰ってからついでに熊倉不動滝を見るつもりでいたから、不動滝の標識のある橋の手前に車を置いた。集落の民家は先にまだ続いている。この熊倉不動滝を橋からちらりと見た。橋から見る不動滝は細長い滝のようだ。ここからでは滝の上部しか見えない。帰ってからどう近づくか検討しよう。雪もあるので、足は長靴にした。積雪は3~5センチくらいか。

(「大黒天道標」とある。ここは大黒天道だったのか。沿線の石碑をここに集めたのかと思うが)


(寒々とした風景。家はあっても何軒に人が住んでいるのやら)


(人面石の標識)


(これか? これじゃわからん)


 道端にいきなり大黒天道標なる石碑群が置かれていた。滝に続く道は、余地峠を経由して佐久に至る古道なのだろう。現に、途中でいくつかの石碑や石仏も見かけた。集落を過ぎ、川沿いの道を行くと「人面石」の看板。肝心の石は川の中で雪をかぶって顔が見えない。雪を払って見たいところだが、石垣が続いていて、河原に降りるにはちょっとした要注意の行動が必要なので、滝見の前だし余計なことはしたくないのでここはスルー。

(道路の陥没)


(陥没穴から覗く水の流れ)


 間もなく道路が陥没しているところを通過。陥没は深く、隙間から川の流れが見えている。これでは車は通れない。手前に「災害復旧工事中」の看板が置かれていて、工事は1月9日までとなっているが、正月休みもあるのに、基礎工事を含めて20日で修復できるとは思えない。それはともかく、こんな細い道は車を走らせたくもない。たいした距離でもないし、歩いた方が無難だろう。駐車地の手前の標識には、象ヶ滝まで2kmとあった。

(路傍の地蔵さん。お姿はかなり風化している)


(南無観世音なんとかとあった)


(ここまで車が入れるようだ)


 左に川を見て車道を歩くだけの道がしばらく続く。先ほどの陥没だけではなく、右からの土砂崩れもある。橋の先の車止めに着いた。通常なら、ここまで車で入れるのだろうが、ゲートの手前に駐車場らしき広場はない。帰るには何回かの切り換えしが必要だろう。先日来気になっているが、『なんもく滝めぐり』のパンフレットを道の駅に置いてPRしながら、その実は整備も標識も完全ではない。半端な観光行政のようで、電話で問い合わせしても、現実は対応内容にギャップがある。南牧村にふるさと納税をしているわけでもないし、地元の自販機で飲料を買ったこともない。これ以上は言う立場にはない。

(右を歩いたが少し緊張した)


(分岐した道を象ヶ滝方面へ)


(今期初のツララ)


(これだもんな。倒木地獄には入らずに手前を右下に降りた)


 そのまま進む。道路状況は車道の延長のまま。ただ、ここにも道の陥没があった。すぐ先に象ヶ滝右手の標識が見えている。ここは緊張した。川側の左は落ちそうなので右を歩いたが、歩ける幅は狭い。しかも雪が積もっている。足を横向きにして渡った。手前から右手に降りることもできたろうが、ちょっと厳しい感じだった。
 標識を見れば、この林道というか歩道は、直進は余地峠になっていて、右手に向かう象ヶ滝は別沢が南牧川に流れ込むようになっているようだ。右に入ると崩れたハシゴ階段。別になくとも歩ける。そして堰堤上に出ると、その先は左からの土砂崩れで間伐が散乱していて先に進めない。その先の道もあやふやなようなので、堰堤の上流に降りて河原を歩いた。
 河原はごちゃごちゃしている。雪面に踏み跡の窪みもないが、歩行の妨げになるのは間伐で、電ノコで切った痕からそれとわかる。災害があれば、放置された間伐がやがてはダムを堰き止めることになる。そんな理屈は素人でもわかる。農水省の予算には、国有林の森林維持はあっても、その処理経費は計上されていないのだろうかといつも疑ってしまう。

(突きあたりに象ヶ滝)


(標識はある)


(象ヶ滝)


(縦にして。どっちにしても岩肌の雪で水流はわかりづらいし、勢いはあっても水量はないので象の鼻には見えない)


(下段)


(一、二段)


(三段目になるが、これが四段瀑なのか三段なのか、自分にはわからない)


(滝つぼは浅い)


(上部をアップで)


(正面右手から)


(もういいでしょう)


 沢に出る。先に滝が見えた。あれが象ヶ滝のようだ。近づくと両岸に雪がついているせいか、残念ながら象の鼻には見えない。ここまで30分の歩きだ。先日の薬師の滝に比べれば楽勝といえば楽勝。ここで雪が降り出した。滝そのものは雪がかぶっている。その中を水流があるといったところだから、自分のような素人にすっきりした滝を撮ることはできなかった。雪と水の流れの区分けがわかりづらい。一応、ビデオにはアップしたので、興味のある方はYouTubeで確認願いたい。
 この象ヶ滝、左右岩壁で、近巻きは無理だが、夏場で沢靴なら何とか上に直に行けそうで、実際にひろたさんが登ったらしく、帰路は古道歩きのようだった。雪付きではどうにもならないのでやめたが、戻って、余地峠への道を使えば大回りながらも上に出られるかもしれない。

(戻るか)


(余地峠に続く道。地図上ではすぐに長野県に入る)


(こんな、まったく雪のないところもある)


 雪の降る中での滝見物だった。なかなか風情があっていいじゃないか。雪の降りが強くなったのでぼちぼち帰る。短時間歩きで済む滝だし、道路修復ができたとして、車のすれ違いに気を遣うよりも、歩きの方が気分的に楽でいい。

(ここにも地蔵さん)


(ムンク石。少し角度がこちら向きだったらそう見えるかもしれない。雪を払うだけではなく、水で流した方がよかったか。そうなれば、今度は乾くまで待つことになる)


(里に戻って来た)


 帰り道で人面石の確認をした。河原に降りて、かぶった雪を払った。直近ではよくわからないので、道路に戻って眺めた。ネットに出ている写真では、ムンクの『叫び』の顔に似ているらしい。意識して見たが、どうも…といったところだった。それもそのはず。人面石の位置と角度が微妙にずれていて、どうも下流に流され、向きも変わっているようだ。確かにここが目で、あそこが口だと言われれば、そうかもと思われるのではあるが。人面石については「象ヶ滝 人面石」で検索すればムンク絵の顔をした石が見られる。一人で角度と位置を変えるとなるとビクともしないままに腰を痛めることになる。看板を出している以上は観光課がやればいい。
 駐車場に戻った。11時15分。滝の見物込みで一時間20分。

【熊倉不動滝】
(駐車地の橋の袂にある石仏群。ここもまた集めて安置したのだろう)


(対岸の道路から熊倉不動滝。雪で見えづらいが、右上から左下に斜めに下って直瀑になっている)


(その斜め部分をアップで)


 この滝は予定外で、車道から眺めるだけで済ますつもりでいたが、橋を渡って対岸から観ても枝と雪ですっきりしない。ここから下るには斜面が急過ぎるし、雪で滑って転げ落ちる可能性もある。下ったらしき窪みはあった。これとてロープを使ったろう。対岸を見ると、民家の脇をかすめて滝下に行けそうだが、一応は家人にことわってから沢に降りた方がいいだろう。

(対岸に戻って、ここからまっすぐ川に下る。廃屋だった)


(馬頭観世音)


(石仏)


(二十三夜塔。短い区間にやたらと石碑類があった)


(これは字面が読めなかったが南無観世音碑かと思う)


(ここをくぐるのが嫌だったので先に行くと)


(枝が邪魔ですっきりしなかった。くぐるしかないか)


 そのまま行くと道は切れていたので元に戻って車道を下る。民家に至る階段を下ると、その民家は廃屋だった。家の脇には馬頭観音碑や石仏が並んでいた。民家が廃屋だったのは、幸いといえば幸いで、沢に出るには、家の屋根に手をかけて支えにしないと無理だった。だが、沢の上に立っても滝は枝が邪魔になる。仕方なく、カメラだけ持って、手前にあった大岩の狭い隙間を抜けると、ようやく滝の前に出られた。この間、全身がヤブと埃で白くなった。

(下段滝しか見えなかった)


(滝つぼ)


(滝はそのまま岩の間に流れ落ちていた)


(少し引いて。上が見えないのでは、何枚撮っても同じだ)


 まぁ、言葉で表現するならいわゆる典型的な滝だった。それ以上も以下でもない。対岸から見ると二、三段になっていたが、ここからでは下段しか見えず、水量が少ないせいか、『なんもく滝めぐり』のパンフレット写真では水流下段二条がメイン一条になっている。
 こうやって下から見ると、右側を伝って車道に出られそうだが、通り穴の向こうにザックを置いたままなので、再び埃まみれになって民家の脇を通って車に戻った。
 ここで横道。今回のザックはワークマンの<イージス防水デイバッグ>。税込み2,900円。昨日、衝動買いして早速のデビュー。軽くて丈夫そう。10mのロープ込みで必要最小限の物は入った。ロングな歩きをしない限りはこれで十分で、これからも重宝しそうだ。難点は、ヘルメットやら鈴を引っかけるところがないことだが、これは工夫して細工するしかあるまい。ここのところワークマンブランドばっかりだ。今着ている上着もワークマンだ。ハードな歩きをしていない立場ではワークマングッズで何も問題はないが、気に入らないのがMade in China であることか。

【銚子の滝】
 なぜか南牧三名瀑の<三段の滝>用の駐車場だけはトイレ付きでしっかりしている。三段の滝は碧岩に登る際に、ここに駐車して途中で三段の滝も見ている。銚子の滝はその駐車場から歩くつもりでいたが、向かう途中で路肩の広いところがあったのでそこに駐車した。
 この銚子の滝もまたあっけないものなのだが、ただ注意しながら歩いただけの象ヶ滝やら埃だらけになった熊倉不動滝とはちょっと違う歩きになった。
 長靴はスパ長にチェンジ。沢の淵が凍り付き、ツララが下がっているのではノンスパでは不安だった。この後に予定している本山の滝と不動滝では、沢歩きになるので、おそらく沢靴にせねばなるまいが、銚子の滝はそこまでは必要ないだろう。

(あそこから左の南牧川に下る)


 ガードレールが切れたところから川に降りる。ここにも銚子の滝の標識はない。パンフに載せたからには、滝の標識だけはしっかり置いたらと申し上げたい。パンフには「落差約50m 車道から約20分 沢沿いを歩く」となっている。20分も歩くことはなかったが、ど素人さんも行くことを考慮すれば、どの位置から眺めて満足かといったレベルにはなるが、滝つぼまで行くとしたら、「直下に行くには多少の危険が伴う」くらいは添えた方がよいかと思う。後で気づいたことだが、イラストマップには「岩場のため危険です」と記されていた。

(御神楽沢)


(3mほどの小滝)


(水の流れは楽しめる)


(太いツララ)


(銚子の滝。これでは真っ白で何がなんだかわからない)


(これなら少しはわかるか)


(もっとよく見ようと左岸側の岩を登った。結構厳しかった)


(その先はこうなっていたのでさらに行くのはやめ、ここで数枚撮って戻る)


(右岸側に溝が見えた。あそこなら上まで行けそうかも)


 南牧川を渉り、右岸に流れ込む沢(御神楽沢というらしい)に入る。大きな石がゴロゴロした沢で歩きづらい。そして岩の続く沢になった。その間から小滝が流れ落ちている。脇を通って脆そうな岩場を登って行くと滝の前に出た。この滝もまた、岩に付いた雪の白さと水流が同化して、滝の全体像がわかりづらい。もっと近づこうとさらに岩を登る。
 ここで行き詰った。岩の上は狭い斜めの空間で、写真を撮るにも不安定。その先は段差にはなって沢に落ちてはいるが、それを経由して沢に出るには、自分には至難の業。こちらは左岸側。そこに至るにはわけがあった。ずっと左岸側を歩いていたから、自然にそうなった。何だ、ここまでしか来られないのかとがっかりしたものの、ふと右岸側を見ると、何だ突破口があるじゃない。落葉の堆積した溝状のものが滝下まで続いている。

(夏なら、平気でここを登ったろうが、この時期にずぶ濡れにはなりたくない)


(滝のメイン部分に到着。『ガイド』掲載の滝写真とは随分と違う。これでいいんだろうかという疑問がずっと続いた)


(ここも滝つぼは浅い)


(ずっと気になっていた、滝の上にかかる鉄の橋)


(位置的にはこう)


 危なっかしく沢に戻って沢を右岸側に渉る。溝を追いかける。かなり不安定だが、さっきの左岸側よりはまともなルートだ。あっさりと滝下に移動できた。ここでしばらく滝を観察する。
 さっきからずっと気になっている物がある。滝の上に架かる鉄の渡し。吊り橋だろうか。現役使用なのかどうかはわからない。『ガイド』には何も触れられていない。かつては上に遊歩道でもあったのだろうか。滝の脇を伝って確認に行くのは可能だが、そこまでの関心もない。

(下を見る)


(滑りそうだがスパイク付きで正解だった)


(そろそろ戻るか)


(しつこく)


(こうなると、銚子の滝はどこからどこまでなのかわからなくなる。最初に登った左岸の岩場が見えている)


(余韻1)


(余韻2)


 雪があれば、滝にも味わい深いものが加わるが、岩肌の雪で水流の形があやふやになっているのが惜しい。象ヶ滝なみの強い水流があれば別だが、今日の銚子の滝のような弱い流れでは、滝の形ですらすっきりしなかった。雪のない、水が豊富な時に再訪して、シャワーを浴びながら登ってみたいが、ヤマビルにはやられるだろうな。

(南牧川を渉って)


(ここは深そうだった)


(戻り着く)


 駐車地に着いたのは13時ちょうど。まだ本日の課題は終えてはいず、不動滝と本山の滝が残っている。だが、特別な理由もなくどうも気が進まない。こういう時は思わぬトラブルになることもある。もう帰ることにする。車載の温度計は2℃。来た時よりも寒くなっている。
 南牧村の滝めぐり。たまたまパンフレットを目にしたから歩いてみたが、もう一回程度の見物でやめておこうかなと思っている。そろそろ氷瀑の時期にもなるし、今日の様に、岩が雪で白いのでは、すっきりした滝の姿も拝めないことだし。もっとも、富士山の冠雪次第だろうが。

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