たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

久しぶりに満足山行・庚申山

2010年10月24日 | 足尾の山
◎2010年10月24日(日)

<銀山平駐車場(7:20)……一の鳥居(8:06)……猿田彦神社跡(8:54)……一般コース合流(10:23)……庚申山山頂(10:51~11:35)……天下見晴(12:25)……庚申山荘(12:41)……駐車場(14:20)>

 風邪がぶり返した状態ではあったが、日曜日は暇なので、庚申山に出かけた。本当は、中倉山のある尾根(石塔尾根とか中倉尾根というらしい)の仁田元沢を挟んで南側の尾根にある塔ノ峰に行ってみたかったが、日曜日の挑戦にはいささか抵抗がある。まして、夕方から雨なのは確実。おとなしく、庚申山に登りながら、塔ノ峰のある尾根の様子を見るにとどめるだけにしておこう。ぶなじろうさん風に表現すれば、庚申山は、自分にはアイドルのような山で、過去に10回以上は行っている。山頂から見る皇海山、錫ヶ岳、日光白根山の姿が好きなのである。中倉山も好きだが、皇海山の眺めが遠いのが欠点。

 122号線は早い時間なのに混んでいた。不思議に思っていたら、草木ダムの公園駐車場に車がどんどん入って行く。そして「県民登山大会」の幟。後で調べたら、県民の日(実際は29日らしいが)に合わせた行事で、群馬県山岳連盟主催の袈裟丸山登山だった。ここからバスで登山口まで行ったのであろう。200名近い参加者のようだった。参加費用は1,000円とか。庚申山に向かう途中、袈裟丸山に変更しようかなとも思ったりしたが、後で考えれば、これでは、行かなくて正解だったようだ。

 足尾の町内までわざわざ入って、トイレを済まし、改めて銀山平に向かう。駐車場には20台近い車があった。7時20分出発。いつもながら遅い出発だ。天気は曇り。紅葉がちらちらと山肌を色付けている。しばらくは林道歩き。今のところ足の調子は良く、次々と先行者、グループを追い越す。丸石沢の様子を見ておくとしよう。塔ノ峰に行けば、あるいは、ここに下山の可能性もある。沢は二股に流れている。いずれになるかは知らないが、先が見えないので、正直のところ、ここから見てもどうにかなるわけでもない。上流には滝はないとの情報なのだが。

退屈な林道歩きが続く。この時期、滝見客を載せたマイクロバスがよく通っていたが、今でもそうなのだろうか。それにしては、来る度に、道路状況は悪くなっている。今のところ紅葉はきれいではない。

(ようやく紅葉が目に付いた)

(文久の標石)


 一の鳥居を過ぎ、山道に入る。文久年間の石の標示が続く。先行者が結構いる。また抜く。紅葉が次第にきれいになってくる。良かった。期待して来たわけでもないが、きれいな色付きはやはり気持ちも安らぐ。勝道上人と大忍坊の碑を過ぎて猿田彦神社跡に到着。ここは迷わずお山めぐりコースを選ぶ。これを行かないと塔ノ峰を臨めない。案内板には、鬼の耳すりまで80分、一般ルートと合流する大胎内まで40分、さらに山頂までは30分となっている。かたや、一般ルートでは山頂まで1時間ちょいか。これから八犬伝の世界に入る。

(この感じがいい)

(塔ノ峰に続く尾根)

(紅葉も濃くなる)


 なかなか急である。きつい。上に行くに連れ、色付きも良くなる(とはいっても、他の見事な山に比べればB級でしか過ぎないし、例年よりは確かに鮮明な紅葉ではないかも)。曇ったままだが、歩いていて、本当に気分がいい。小尾根に出る。正面向かいに、いよいよ塔ノ峰が見えてきた。しばらく眺めていた。いつか行けるだろうか。歩きたいなあ。庚申山から取り付いたとしても、下山路をしっかりと確保しておかないと迷いものだな。尾根取り付きを鹿が1頭、ゆったり歩いている。のどかな尾根のようにも見える。しばらく右や左を眺めながら歩いた。袈裟丸方面もはっきりと視界に入る。

(周囲はこんな絶壁が続く)


 小尾根から外れ、お山めぐりの核心部に入る。正直のところ、あまり面白みがないし、危ない。景色は頭上を見上げる断崖絶壁だけ。下を見ても恐くなる。随所に鎖場がある。数か所、道を間違えて、先に行ってしまう。蟻の戸渡りのようなところを歩き、変だなと思って、来た方向を見ると、下に正式なルートが続いていたりする。過去にも、同じところで同じことを繰り返している。間違って入った先の岩室に、天保年間の刻みが入った石が安置されていた。大岩の間に、修験僧が籠もったような場所があちこちにある。また、熊野修験の御札を目にした。そのうちに、一般ルートとの合流はまだか、まだかとうんざりするようになる。それにしても、行き交う人がまったくいない。ようやく、反対側から歩いて来た単独氏。聞けば、昨夜は庚申山荘に泊まったとか。計5名の宿泊だったそうだ。お山コースに入る前に行き会った方がいたけど、その方も5名のお一人だったかも。

(富士山のアップ)


 ポイントの鬼の耳すりは気づかなかった。腹ばいになってくぐった岩がそうだったのか。大胎内まで、猿田彦神社跡から1時間半かかった。ようやく命拾いした感じ。ただ、本当に歩く人が少ないルートだ。やはり、コウシンソウの時期向けのコースなのだろうか。一般ルートとはいっても、まだ、危なっかしいところが続く。視界はいいから、遠望はきく。ちょっと休んで、パノラマを楽しんでいたら、富士山らしき山。浅間山の間違いじゃないかと、コンパスを出したら、確かに南西の方向に見える。浅間山なら、むしろ北西だろう。曇っているのに富士山が見えるとは。紅葉はいまいちながら、法師岳や袈裟丸山のように、自分が歩いたルートを正面に垣間見るのは何ともうれしい気分だ。

(庚申山山頂)

(皇海山と鋸山)

(国境平から三俣山。後ろに錫ヶ岳と白根山)


 庚申山の山頂には、今着いたばかりの2人連れ。先に行って展望台。つい、ため息をついてしまった。全部見えた。皇海山ばかりか、錫ヶ岳も白根山も男体山も。しばらく眺望を楽しんだ。残念ながら中倉山は張り出して見ないと見えないからちょっと危険。塔ノ峰も無理。自分の関心事はやはり、未踏の国境平から三俣山の間。ここから見ている限り、それほどきつくは感じないけど、問題は、国境平まで上がるもみじ尾根だなあ。なんて、一人よがりで眺めていた。見晴台には、さっきの2人連れと、オッサンが1人だけ。駐車場の車の台数にしては少ない。オッサンが声をかけてきた。確か、途中で追い抜いた方だ。彼もそのことを知っていて、「何人かに抜かれたけど、皆さん、どこを歩いているのか、だれにも会わないんだよな。あんたが初めてだよ」。オッサンは一般ルートを来たらしい。ということは、自分の後に、お山めぐりを歩いているのだろう。

 さて、このオッサンだが、足尾の山にすこぶる詳しい。それでいながら、実践経験があまりないようで、ちょっとしたはずみで、いろいろ聞かれるはめになった。大平山に行きたいが、シゲト山にも行ってみたいが、小法師尾根にも興味がある…。その都度、オッサンは地図を広げ、ボールペンで書き込むといった具合。少々うんざり気味のところに、鋸山の方から、重いザックを背負った青年が上がって来た。聞けば、松木川経由で、途中テントを張って、皇海山経由で来たとのこと。松木川の水量は膝下程度だったと言っていた。青年は一休みして、さっさと下って行った。これをいい機会に、こちらもザックを背負ったが、質問はまだ続く。そのうち、どんどん展望台にやって来る人も多くなり、「じゃ、お先」と言ってようやく下った。山頂にいる時間が、いつもよりもちょっと長過ぎた。

(六林班峠への道)


 時間的にはちょうどいいのか、結構、上がって来る。帰りは一般ルートを下るとしよう。ここも、上りの展望が良くなるのは、お山めぐりコースと合流してからだ。その先は、中途半端な紅葉を見ながら下った。間もなく庚申山荘。せっかくだし、時間もあるから、その先にある天下見晴に行ってみよう。以前、11月に来た時は、もう紅葉もお終いで、天下見晴からの庚申山も、あせた黄色になってしまっていたが、今日はどうだろうか。山荘を素通りして、六林班峠方面に向かう。ここの紅葉もきれいだ。15分ほど歩く。途中、単独氏と行き会う。疲れている感じはなかったから、天下見晴往復だろうか。もしくは、昨夜、山荘宿泊で、皇海山から六林班峠越えルートかも。

(天下見晴から小法師尾根)


 天下見晴の岩の上には、見るからに母娘といった感じのお2人がいた。風があたって、少し寒い。写真を頼まれ、庚申山をバックに撮ってあげた。以前見たよりもきれいな紅葉。今の景色が「天下の見晴らし」に匹敵するほどのきれいさなのかどうかは、比較のしようがない。天下見晴に立ったのは今回で2回目に過ぎない。ただ、母は娘にこう言った。「こういうのを、日暮らしの景と言うんだよ」と。

(庚申山荘)


 そろそろ、帰るとする。山荘前に戻り、下る。もう、これから上がって来る人もいない。しばらく行くと、前方に展望台のオッサンが右手にポリ袋を提げて歩いている。そのまま下ったのだろう。またつかまるのも何だなと思い、適当に、休みたくもないのに間をあけて、タバコを吸う。しかし、これにも限度があるもの。つい、死角で追いついてしまった。ちょうど、オッサンかが枯葉の間に手を入れて、ガサゴソやっている時で、何をやっているのか聞いたら、キノコだと言う。袋を見せてもらったら、キノコが10本ほど。名前を聞いたら、「通称、コノハカブリと言うんだ」とのこと。正式名称は覚えていないようだ。家に帰って調べたら、「クリフウセンタケ。別名キノハカブリ」というのが似通ったニュアンスだったが、どうも写真のキノコとは違う感じがする。

 林道に出る。天下見晴に行く際に行き会った単独氏を追い抜く。後はタラタラ歩き。長い。モトクロスタイプのバイクがやって来た。あれは、絶対に掟やぶりだろう。ゲートの端に、バイクくらいは通れる隙間があった。掟やぶりは罰金と記してあった。駐車場に到着。何とか雨にもあたらず、富士山を見られて、今日は、久しぶりに楽しめた山行だった。草木ダムでは、県民登山大会も終了したのか、三々五々で駐車場から車が出ていた。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 今日の天気をみるにつけ、昨... | トップ | 台風接近の阿蘇山は当然のこ... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぶなじろう)
2010-10-25 22:20:58
今晩は。
庚申山ファンでしたか!私は未踏です。
登場したオッサンは、まさにおいらそのものです。まさか、おいらだったりして・・・。違いは、キノコを知っているか知らないか。絶対に、ネホリハホリ聞いていたと思いますよ。だから、快く教えてあげてください。実際に難路に行った人の言葉は、重みがありますし、場合によっては安心もしたりして。
搭の峰ですか。石塔尾根を済ませたら、おいらも考えてみようかな。数年先になると思いますが。
返信する
ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-10-25 22:55:14
庚申山はむしろマイナー向けな山ですが、お奨めです。ぜひいらしてください。山荘に泊まって、十一峰を経由し皇海山。そして、六林班峠経由で下るルートなんか、オーソドックスですがいかがてすか?
例のオッサンですが、実は話をしながら、悦に入った心持ちになっていたことは確かで、自身、最初の警戒混じりの謙虚さは、後半からはなくなっていたのも事実です。これではいけませんね。あのオッサンも、絶えず「入口に目印や看板はあるのかね?」と、エントランスのことばかり気にしていましたから。「そんなものはありませんよ」の一言では素っ気なかったかも。重みがあり過ぎたかなと、今思えばですが。
ところで、中倉の入口から先に行き、仁田元沢から塔の峰に入り、庚申山の手前から石塔尾根に下って行くといった手もありますよ。
返信する

コメントを投稿

足尾の山」カテゴリの最新記事