たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

夕日岳新道を歩いてみた。

2010年11月14日 | 足尾周辺の山
◎2010年11月13日(土)

<大滝駐車地(8:00)……新道合流(9:48)……本沢林道下山分岐(10:36)……夕日岳(10:56~11:04)……薬師岳(12:09~12:20)……-丸山(13:31)……大木戸山(14:05)……三ノ宿山(14:37~14:43)……林道出会(15:21)……大滝駐車地(16:15)>

 ネット情報に、大芦渓谷の紅葉が見頃と記されていた。紅葉を見たい気分もさることながら、その大芦川方面から夕日岳に登るルートには以前から興味があり、時節柄ちょうどいいタイミングかなと思い、歩いてみることにした。そのルートとは「夕日岳新道」という名前らしいが、新道と名付けるわりには古くからあり、ちょうど、庚申山の舟石新道のような存在だろう。むしろ、廃道と呼んだ方が正しいだろう。本来の新道の入口は蕗平のようだが、そこから入ると、せいぜい、夕日岳と地蔵岳の周回になってしまう。そこで、蕗平よりは標高が100m高いところにある大滝の近くにある不動尊から入り、途中から新道に合流し、夕日岳、薬師岳を経由して三ノ宿山に出る。後で考えるに、かなり距離のありそうな周回コースを企ててみた。蕗平からは、いつか改めて歩いてみたいとは思っている。

(大滝)

(不動尊)


 最初からつまずいた。まず、道を間違え、早合点してかなり手前の県道に入り込み、日光市まで入ってしまった。引き返して、正規の道路に入り、大滝の駐車場に着いたのは、もう8時近くになっていた。その間、確かに見頃な紅葉に、車を駐めては見惚れていたりした。急いで支度して出る。車が1台、駐まっていた。車道をそのまま少し北に向かい、ヒュッテの看板を左に入る。ここにも車が1台。ヒュッテの前から沢に下りる。大滝の上流の位置になる。最初のポイントは不動尊。先ずは沢渡り。ところが、1.5mほどの幅ながら、水が結構深く、石の渡りでは徒渉できない。石自体が足をかけたら滑る。ザックから秘密兵器を取り出す。膝まで入るゴミ袋。一度その威力を試してみたかった。一歩進んだ時点でアウト。ゴムで結わえる手間を省いて、いい加減に手で結わえたのがいけなかった。右足には水が入り、ズボンも濡れてしまった(ところが、再利用できるようにと、後で乾かそうと広げてみたが、底の部分に小さな穴がかなり開いていた。つまり、ゴミ袋での徒渉は無理なことが分かった)。さて、何とか渡ったはいいが、その先に不動尊は見えない。うろうろして、尾根の突端らしき所をようやく見つけ、行って見たら、不動尊があった。ルートは、この不動尊のある尾根が取り付きのようだ。いきなりの急登。かなりきつい。どこでも最初はこんなものだろうと思ったが、これが意外にしばらく続く。踏み跡はかすかにあるが、ヤブではないものの、不鮮明で、絶えず、これでいいのか気になってしまう。尾根通しだし、尾根型がはっきりしているから、まずは大丈夫だろう。

(夕日岳が見える)


 急な上りは838mピークあたりまで続いた。8時35分。ここからはいくらか楽になる。すでに紅葉は終わり、枯葉が多く、結構滑る。杖を持って来た方が良かったみたいだ。右手に夕日岳が見えるようになった。この尾根、決して眺望の良いところではないが、疎林の中の登りだから、気分が滅入ることはない。特徴のない尾根といったところ。天気は薄ぼんやりとしている。寒くもない。ただ、今日は、腹のことが気になっている。昨日の夕方から、腹具合が悪い。考えられることは、昼に出前で食べた、のびきったマーボラーメン。夜中に、1度きりだがトイレに起きた。出がけも同じようなもので、ストッパを持参しての歩きだ。今のところ落ち着いている。むしろ、登りに神経を注いで間はおとなしくしていて欲しい。やがて、左手に新道が通う尾根が見えてきた。きれいに色付いている。

(ここで夕日岳新道に合流)

(問題のオオホノチの標示)


 1,294mピークからは夕日岳新道歩きとなる。ここで楽しみにしていたことがある。「オオホノチ」の標示板だ。これを、ぶなじろうさんと親交のあるアキ爺氏がご自身のブログで「オオボッチ」の字の欠落だろうと指摘されていた。まず、これを確認しておきたかったが、この標示が見つからない。しばらくうろうろし、新道方向を戻ってみたらようやく見つけた。なるほどね。うっすらと濁点部分が残っているような気配。確かにオオボッチかもね。下の草むらでペンキの破片を探してみたが、あるわけがない。さて、ここからアップダウンが多くなり、左右が切れた、危なっかしいところが続く。こういうところは、いつまで経っても苦手だ。股間もすくむ。踏み跡は心持ち、鮮明になったような気はするが、ヤセ尾根気味の歩きになったので、方向を失うことはない。

(正面に夕日岳)


 次第にきつくなり、歩きも鈍くなる。新道合流までに体力をかなり費やしてしまっていた。右手に男体山が見えるようになる。さすが、ここからではでかく見える。尾根も岩が交じるところでは急になる。立木を選んでつかまりながら登る。これを何回か繰り返し、ようやくなだらかになった。標示板があった。来た方向には蕗平→、北に向けて本沢林道→。これを見て、場合によって、本沢林道に下りればいいかなとも思った。しかし、本沢林道からここに登って来る人が多いとは思えないし、しっかりした踏み跡を期待はしない方がいいだろう。正面に夕日岳が見える。並木道のような尾根道は気分もいい。ようやく落ち着き、腹の具合が気になったが何とか大丈夫みたい。これまで異変もなかったし。

(夕日岳山頂)

(日光白根山が白くなっている)


 夕日岳山頂には同年代と思われるオッサンが2人いた。細尾峠から歩いて来たようだ。大滝から来たと言ったら、興味津々にいろいろ聞かれた。聞かずともなく会話が聞こえる。お2人はいい山仲間のようだ。冬に来た時は、展望がまったくダメだったが、今日は見える。ただ、青空でもないし、ぼんやりとしている。日光白根山だけが白く見える。三ノ宿山方面はかなり遠くに感じる。そういえば、ハイトスさんが赤倉山から半月山に行かれると予告されていた。ここからでは、残念ながら赤倉山は見えない。今、11時。3時までには林道に下りていたい。オッサンの1人が昭文社マップを広げていたから、「三ノ宿山まで3時間で行けますかね」と尋ねたら、マップを見ながら「急げば3時間で何とか行けるじゃないの」と上州弁なまりの返事が戻ってきた。後で、家で昭文社を広げてみたら、コースタイムが記されているとばかり思っていたが、このルートはオタクコースのため、時間すら記されていなかった。お互い、何を基準に3時間だったのだろう。オッサンがタバコを吸い出したので、こちらも安心してタバコを吸った。吸っていなかったら、ここでは我慢した。

(薬師岳の途中で見かけた石祠)

(薬師岳)


 地蔵岳も考えてもみたが、時間がもったいないのでやめにする。薬師岳に向かう。ここからも長い。グングン下るのが嫌な感じ。その登り返しが必ずある。道は夕日岳新道以上にしっかりとしているし、何人かと出会う。大学生らしき7人グループもいた。大きなザックで泊まりだろうか。迂回ルートがあるのに、そのまま細尾峠に下る感じがして、忠実にピークを回った。ピークを下って迂回ルートに合流。何だか損した感じがする。体力をここでさらに消耗させてしまった。薬師岳にはオッサンが1人いた。山頂を占拠していたので、先で休んで昼食とした。

(三ノ宿山への道)

(夕日岳を臨む)

(丸山手前の石祠)

(三ノ宿山手前の石祠)


 三ノ宿山へのルートの踏み跡は、以前よりもササが覆い被さったようだ。やはり、歩く人もまばらなのだろう。この尾根道は、正直のところ、かなりきつい。じわりじわりと下り気味にはなっているが、アップダウンが多過ぎる。その標高差も100m程度はあるところが何か所もある。次第に歩程がのろくなった。立ち休みも多くなる。やはり夕日岳から3時間では無理な話。明るいうちに林道に出られればいい。4時を目標にする。南側の伐採地跡の紅葉が、終わりにかかってはいるがきれいだ。平地の歩きは心地よい。上りにかかるとダメ。丸山、大木戸山と、ようやく歩いた。後は三ノ宿山だけ。時間も時間だし、だれも歩いていない。もしかして、今日も、だれも歩いていなかったかも。静かな山の、忘れ去られたような石祠を見ていると、気分も落ち着く。夕日岳が遠くに見える。随分、歩いたなあ。

(三ノ宿山)

(右が六郎地山)

(最後の下り)

(とんだ金網デスマッチを体験した)


 三ノ宿山からの下りはかなり急だった。ここも立木につかまりながら下る。ここを歩く人はさらに少ないようだ。上りに使ったら、全然先が読めない感じになるだろう。下りの正面に、六郎地山が見える。山の斜面は紅葉だ。さて、檜林の端を、林道が見えるようになるまでは急ながらも何とか下ったが、間近になって大問題が発生した。こちら側斜面は擁壁工事が施され、入り口が1か所あったように記憶している。ところが、その急な擁壁に、ずらりと、金網フェンスが張られている。記憶にあった入口も、フェンスのために外に出られない。フェンスは下まで達し、くぐることも不可。これでは、動物園の動物と同じ。しばらく、危なっかしく、高い擁壁の上をトラバースしながら先に行ってみた。フェンスがずっと張っている。フェンスが切れたところの様子を探ると、何とか、そこからだけはフェンスの下からもぐり出られそう。幸い、工事用の垂れ下がったロープもあって、これに伝わって下まで降り、そこから這いつくばって、30cm程度の隙間から無理矢理に外に出た。こんな話はないだろうと、しばらく、林道を上に歩いてみたが、コンクリートを流した擁壁が続き、このルートの入口は見つけられなかった。もっと先に行けばあったかもしれないが、つまり、ここからは三ノ宿山には行けないということだろう。しばらく、下りながらも眺めていたが、高い擁壁がずっと続いていた。ちょっと危ない思いをしてしまったが、靴を脱いで下に落として裸足になり、後は、乗り越えガできる金網フェンスを伝わって降りるといった手もあったかもしれない。その方が危険はいくらか少ないだろう。フェンス越えで、かなりの土や木っ端が身体に入り込んだ。着地で転びもした。下着を外に出し、はたいた。フィニッシュでこんな思いをするとは予想外。

(林道の紅葉)

(ようやく駐車地に到着)

(夕暮れの大芦渓谷)


 後は林道歩き。何とか、明るいうちに安全地帯に到達できた。薄暗くなりつつあったが、紅葉を見ながら駐車地に向かう。この紅葉も、あと数日といったところだろう。ひたすら下れば30分といったところだが、ゆっくりと歩いたり、横道に入ってみたりで50分の歩きになった。車が3台、通過して行った。来る際に、大きな見事な紅葉を見つけた。帰りに写真に収めておくつもりでいたが、もう薄暗くなってしまい、写真は断念した。この時間だから、覚悟はしていたが、やはり、高速の渋滞にはまってしまった。

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6 コメント

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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2010-11-15 05:55:53
おはようございます。
野峰の記事は早速拝見しました。2時間20分コースとはいえ、タフですね。私なんざ、翌日はいつもおとなしくというより、歩く気が起きませんよ。野峰もおもしろそうなコースを歩かれましたね。
いつもザイルをご持参ですか。そうじゃないかとは思っていましたが。私は必要な物は持たず、余計な物を持ち歩くところがあるようです。ですから、擁壁だけだったとしても、打つ手無しです。おそらく、降りられるところを延々と探しまくっていたことでしょう。

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大滝起点の周回 (ハイトス)
2010-11-14 22:16:27
こんばんは。
なるほどこういうルートが有るのですね。
薬師、地蔵、夕日へのルートはどうしてもアプローチが楽な足尾からしか考えていませんでした。
今回の周回ルートも結構距離が有りそうですね。ちょっとばかしきつそうだ。
たそがれさんが夕日岳におられた頃、私は林道手前の1514峰辺りでうろうろしていたようです。
総合時間もほぼ同じ様な経過ですね。

しかし金網デスマッチは困りますね。
いつもザイルを持ち歩いているのでコンクリ吹きつけの擁壁は降りられますが、金網は打つ手無しです。
ちなみに私は今日は地元の野峰を徘徊して来ました。ローカルでしょう。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-11-14 20:00:33
それはそれは奇遇でしたね。ぶなじろうさんは、本道志向と見受けられる。やはり蕗平起点でないとダメですよね。起点の選択に、私も少々、迷いはしたのですが、三ノ宿山に至る稜線にある石祠にまた出会いたくなりましてね。そちらを優先してしまいました。
来年の春までは長いですね。私の方がそれまでに欲望を満たしたくなって、さっさと行くかもしれません。ただ、冬場は新道のヤセ尾根の岩場も凍り付くだろうし、気になるところです。
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Unknown (ぶなじろう)
2010-11-14 19:08:01
今晩は。
旭岳の記事の冒頭で、藪山はしばらくお休みとの感触を受けていたのですが、今週もやはりたそがれオヤジさんらしい山行になりましたね。
実は、私もこのたびの土曜日に蕗平起点で夕日岳に行こうかと迷っておりました。標高を考えると上部の紅葉が期待できないのではないかと思い別の山に行きました。こちらに行っていれば、へんなオヤジが記事に登場していたかもしれませんね。
それにしても、物凄い長躯ですね。私ならヒノキガァターあたりでギブアップ、下山だったでしょう。
ヤシオツツジが良さそうなので、春先にでも行って見ます。
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K女さん (たそがれオヤジ)
2010-11-14 17:52:14
戦いとはヤブとの戦いのことでしょうか。金網デスマッチがありましたから同じようなものですけど。
動物対策ではないでしょう。一帯が植林ですから、土砂崩れ用じゃないですか。無計画な伐採をして、林道を通せば、こういう工事が必然になるのも当たり前の話でしょうけど。
旭岳での満身創痍は何とか癒えましたけど、向こう脛は押すと痛いですね。そういう面では、今回はリハビリ山行でしたよ。
大芦渓谷の紅葉は残念でしたね。夕暮れ時の写真しか撮れませんでしたから。日中に満喫してみたかったですわ。
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金網 (K女)
2010-11-14 15:39:32
最後に出口がないとは、思いもしなかったですね。落石用と野生動物用に作った物でしょうか?
今回の木々は背が低いので、前回の戦いの再開にならなくて良かったね、傷は落ち着きましたか。
紅葉はまだまだ、綺麗で鮮やか。山に雪が積もりだしているのだから、あと1週間かな大芦渓谷からの写真は最高
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