うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

何年ぶりかに、抱いたネコ

2016年10月01日 | きくの事

人の子供は産まれてくると、

大人の腕に抱かれて育つ。

歩けるようになると、

大きくなったねと言われるようになり、

気付けば抱かれなくなっていて、

その大人の腕が、か細く、力を失った頃、

子供は大人に成っていて、

今度は、小さくなった大人を抱いて見送る事となる。

ネコの場合は、少し違う。

 

小さなネコは、ヨチヨチと好き勝手に歩くものだから、

危なっかしくて見ていられない。

抱いては戻し、抱いては戻しで疲れてきたら、

抱きっぱなして寝かしつける。

我が家のきくも、そうだった。

 

子ネコの頃から、しっかり者のおきくちゃんだったが、

抱いてやるとゴロゴロ喉を鳴らして、甘えたものだ。

それが成ネコになってみれば、生意気で、はねっ返り。

抱っこなんて、とんでもない。

気に食わないと、すぐ怒ってわめき散らす。

そうきたかと、無視していると、

おい撫ぜろ、こっちへ来いと更に鳴きわめき、

こっちも負けるもんかと離れて座ると、

目の前に来て、私に口喧嘩を売ってくる。

買ってやろうじゃねえかとなって、

人とネコの大人げない口喧嘩が、見事なまでに成立するのだ。

 

そうして、きくが10歳を超えた頃、

老化のせいで巻き爪になり、

こればっかりは切らない訳にはいかなくて、

泣いて、本気で土下座して、それでも抱っこは許されず、

片手を持って、光のごとく速さでならば、1日1本切らせてくれた。

お礼のつもりで撫ぜてようものなら、ガブーっと本気で咬んできた。

 

お互い、元気に相変わらず喧嘩ばかりをしていたら、

きくは14歳になっていて、

何でも独りで達者にできるわいと豪語していた、あのきくが、

最近、食卓にぴょんっと軽く飛び乗れなくなってきた。

食卓を見上げて、イライラしているきくを見て、

喧嘩ばかりしているくせに、知らん顔ができなくて、

激怒を覚悟で、きくの体に手を伸ばす。

咬むか?くるか?

なんて言いながら、抱き上げてみると、

きくは、ゴロゴロ喉を鳴らした。

だから、私はすぐに食卓の上へ置いてやらずに、

しばらく、きくを抱きしめていた。

 

きくが、この腕に帰ってきた。

子ネコみたいに軽くなっていて、

この腕は、いずれ、きくを抱いて見送る事になるのだろう。

そんな時が、少しずつ、少しずつ、近付いてきたのだと感じた。

 

きく、怒らんのか?

 

もっと、怒ってて、いいんだぞ。

 

きく?

 

おきくちゃん、

おかえり。