立秋だったというのに、
私の手元には、
出し損ねた暑中見舞いのハガキが残っている。
おはようございます。
去年の秋、我が家は、猫を1匹極楽へ見送って、
その穴を埋めるように、真っ白な子猫がやってきた。
すごく可愛くて、しっかり者で、すごく可愛かった。
すごく可愛いを被せちゃうくらい、可愛かったんだ。
結局、可愛いかったと、3度繰り返してしまったが、
その子は、我が家のメンバーには加わらなかった。
「この子は、里親さんを探すことにする」
私がそう発言すると、
我が家のおじさんからも、実家の両親からも、猛反対された。
「こんな可愛い子を、人にやるなんて、
やっぱり、お前は、頭がおかしい」と母さんに言われた。
母さん?
確かに、貴女の言う通り、私は、どうかしている。
子猫の里親さんに、
可愛いあの子を引き受けてくれた里親さんに、
こんなハガキを出そうとするなんて、どうかしてるぜ!
寸でのところで、とどまれたのは、里親さんからのメールだった。
美しく成長した猫の画像が添付された、
とても丁寧で温かい、季節のご挨拶のメールだった。
うんこ「あの子、元気なの?」
元気に暮らしてるそうだよ。
お転婆さんで、家族の皆さんも、楽しいってさ。
うんこ「よかったわね、貰ってもらって」
そうだな。
お転婆はあやだけで、充分だもんな。
うんこ「今回も救われたわね、かあさん」
そうだな、本当に救われたな。
里親さんは、愛した猫を見送って、空いてしまった心の穴を、
今、あの子がゆっくりと埋めて行っている。
そう感じていると、私の心の穴までが、
埋まって行くのだから、不思議なものだ。