うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

美しい場所の生き物

2020年12月05日 | 真面目な日記

朝、出勤するために、

車を運転していたら、

道にうずくまる、1羽の鳥を見つけた。

 

おはようございます。

私は、時々、自分の事を棚に上げて、

「人間の心は醜い」などと吐いたりする。

その日も、そんな事をグチグチ考えながら運転していた。

 

すると、突然、前を走る車が右に逸れたから、

私も驚いて、ハンドルを切った。

「あっ、キジだ!」

 

オスのキジだった。

一瞬の事だから生存は確認できなかったが、

轢かずに済んで通り過ぎたことに、ホッとした。

しかし、信号を越えるだび、

「あれでは、いずれ轢かれてしまう」

と心配になっていった。

車の通りが激しい道だから、なおの事だ。

 

私は、4つ目の信号で、急いでUターンして戻った。

道の端に停車させ駆け寄ってみると、キジは微かに動いた。

「生きてる」

 

生きてる・・・さて、どうしよう?

軽はずみに掴もうとして、

さらに道の真ん中へ逃げていっては大変だ。

 

私は、車内にあるタオルを思いついた。

キジの背後から近づき、頭部にサッとタオルを掛けて、

すぐさま、キジの体を鷲掴みにした。

キジは、足をばたつかせる。

「おぉ、ごめんごめん、すぐ離すから」

 

思いのほか、力が強い。

怖いと感じたと同時に、希望も感じた。

急いで抱き上げ、草むらまで運び、

草の上に置いた。

私は、すぐ走れるよう体勢を整えた。

 

「よし」

タオルごと、キジから手を離し、足早に距離を取った。

 

「逃げろ!飛べ!」

しかし、キジは動かない。

再び近づくと、キジの頭がコトッと落ちた。

そこで、ようやく、私はキジの姿をしっかり見た。

 

「美しい」

しばらく眺めていたら、草むらの向こうで重機が唸った。

以前は草むらだったはずの場所が、

フェンスに覆われていることに、私はこの時初めて気が付いた。

 

重機の耳障りな音に驚いた鳥たちは、一斉に飛び立った。

白いサギやムクドリだ。

空を見上げれば、みな、同じ方角へ飛んでいく。

「逃げろ、美しい場所へ飛んでいけ!」

 

鳥は、美しい場所を知っている。

人間の目からは見えぬ、美しい場所だ。

小さな小川や、草木が茂った空き地、人間が忘れてしまった場所。

私は、青空に小さくなっていく、鳥を見上げ、

取り残されていくような、そんな気持ちになった。

 

しかし、さすがに仕事へ行かなければならない時間だ。

私は、キジの体をそのまま、草むらに置いて車へ戻った。

 

美しいキジは、他の生き物の糧になり、

そしてまた、美しい場所を創る小さな花になるのだろう。

 

「ごめんな、ありがとう」

私は自然と、呟いていた。

 

人間なんて、人間なんて、っと思っていた私は、紛れもなく人間だ。

人を羨んだり妬んだり、文句は放っておいても無限に湧いてくる。

イライラしながら歩く足で、いくつの美しい命を踏みつけてきた事だろう。

美しいキジの死にゆく様に、私は自分が恥ずかしくなった。

そしてせめて、

この胸に湧いてくる醜い心から、逃げない自分でいようと思った。

 

さて、我が家の景色といえば・・・

たれ蔵、おいで~っと呼ぶと

たれ蔵が、ちゃんと来る。

こう見えて見えないが、来てるんだよ。

 

こんな感じで、来てくれてるんだ。

 

たれ蔵、普通に来てもいいんだからな。

普通に、歩いて来れば、いいんだからな。

 

たれ蔵「この方が、楽しいかと思ったんだ、母ちゃん。」

うん、楽しいな。

鼻に、ゴミ付けてるしな。